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『マタニティ・ムーン』第一回...........世にもめずらしい妊婦たち!?
『マタニティ・ムーン』第二回...........マタニティ・クラスが始まった
『マタニティ・ムーン』第三回...........マタニティ・ヨーガ その1 概論編
『マタニティ・ムーン』第四回...........マタニティ・ヨーガ その2 技術編
『マタニティ・ムーン』第五回...........『からだと向きあう』
『マタニティ・ムーン』第六回...........『人間が生まれるということ』


ようこそ、マタニティ・クラスへ

おなかがポンポコリンの妊婦たちが、今日も『マタニティ・クラス』にやってくる。いつもの見慣れた風景だけれど、ときどき「何人もの妊婦さんに囲まれて、これってフツーじゃないなあ」と思うことがある。妊婦がいればそのおなかの中には、もうひとりのかわいらしい命がいる。出産にかかわる仕事をしている者にとって、妊娠はごく日常のあたりまえのことだけれど、一般的には妊娠というのは「フツー(日常的な状態)のことではない」と言うらしい。だから、フツーじゃない人たちに囲まれているっていうこともまた、フツーではないのだ。でも、そんな日常とかけ離れた空間にいられる私は、とても幸せだ。クラスには、おなかの中の人たちもいっしょにやってくる。私はいつも胎児たちを意識しながら、『マタニティ・クラス』を楽しんでいる。

『マタニティ・クラス』というのは、出産を準備するための妊婦とその家族向けの講座のこと。始まったのは、かれこれ15年も前。今考えれば、助産婦ではない私がいきなり自分の1回の出産経験だけで、クラスを開こうなどとよく考えたものだと、我ながら恥ずかしくなる。でも、石の上にも…というように、長年やっていると、それなりにプロはでき上がっていくものだ。
そこに集まった妊婦と胎児たちは、私にたくさんのことを教えてくれた。妊娠は子育てのほんの始まり。出産してからが、育児の本番だ。そんなことを考えると、妊娠というのは、花が開く前のつぼみがひっそりと蓄えて膨らみ、準備している時期に似ている。ポンポコリンのおなかは、まるで満月みたいだ。中からは、太陽のようなとびっきりの命が飛び出してくる。

「月満ちて生まれる」という古い言葉のように、妊娠という期間は、陽というより陰(月)の時期なのだろう。そんなお月さまのような妊婦たちが、つれづれに私に教えてくれた話を『マタニティ・ムーン』として綴っていきましょう。


『マタニティ・ムーン』第一回...........世にもめずらしい妊婦たち!?
『マタニティ・ムーン』第二回...........マタニティ・クラスが始まった
『マタニティ・ムーン』第三回...........マタニティ・ヨーガ その1 概論編
『マタニティ・ムーン』第四回...........マタニティ・ヨーガ その2 技術編
『マタニティ・ムーン』第五回...........『からだと向きあう』
『マタニティ・ムーン』第六回...........『人間が生まれるということ』<


*この原稿は、メディカ出版「ペリネイタルケア」(1999)に掲載されたものです。


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