マタニティのセルフケア

マタニティのセルフケア

マタニティのセルフケア-7 おっぱいの話2

おなかの中の赤ちゃんにもやさしい、自分でできるナチュラルケア法「マタニティのセルフケア」の8回目は、おっぱい(母乳哺育)について。

食事とおっぱい1

おっぱいと母親の食事は、密接な関係。妊娠中、産後の食事について気をつけたいこと。

協力:志村季世恵(取材当時)癒しの森治療院・整体療術室


おっぱいを生産するのはお母さんのからだです。からだは、口に入る食べ物によってエネルギーをつくり、おっぱいを生産します。食べたものがそのままおっぱいに出ると言ってもいいくらい、おっぱいと母親の食べ物はとても密接な関係にあります。

おっぱいは産後2〜3日目ころに出はじめますが、この頃からすでに食事はおっぱいに反映されます。おっぱいをスムーズに分泌するために一番いい食事は、粗食で和食。 リッチな病院でお祝い膳や、豪華なデザートなどを食べることは、母親にとってはうれしいことですが、授乳をスムーズにすすめるためには、残念ながらあまりいい食事とはいえないんです。お祝い膳は産後4日目に出ることが多いようですが、4日目は初乳が出るピーク。そうしたときに油分の多い洋食や生クリームなどの甘いものをたくさん食べると、乳質も悪くなり、また栄養が過多になって母乳が過剰に生産され、乳房はパンパンに張ってしまいます。赤ちゃんのほうは、まだそんなにたくさんの量を飲むことができませんから、乳腺がつまって便秘状態になってしまうこともあります。



入院中は、実家のお母さんやお姑さんから、甘いものやおもちなどの差し入れがあるかもしれません。昔は人々の食事が粗食だったため、産後はおもちなどで栄養をつけておっぱいを出そうとしたのですが、現代は昔と違って飽食の時代。昔と現代とではおっぱいの状態も違います。ふだんから私たちは、御馳走ばかり食べていますから、おっぱいはどんどん生産できる状態になっています。ですから産後、栄養価の高い高カロリー、高脂肪のものを食べてしまうと、トラブルがおきやすくなってしまうのです。

親の時代は、「産後は栄養をつけて母乳を出す」と言われてきたために、おばあちゃんたちは孫のためにいっしょうけんめい差し入れをしてくれるのですが、こうした時代間ギャップはどの家庭でも見られるもの。「今は栄養過多の時代なので産後はむしろ粗食のほうがおっぱいにいいんだって」と、おばあちゃんたちに妊娠中から情報を流しておきましょう。「差し入れはヒジキの煮物や野菜の煮物をつくってくれる?」など、別な案を出しておくと、気を悪くされることもないかもしれませんね。



おっぱいのためにいい食事はなんといっても和食。しかも粗食がいいんです。昔から女性たちは驚くほど物のない時代でも、何人も子どもを産み、おっぱいで育ててきました。からだは栄養過多ではなくても、赤ちゃんを身ごもり、おっぱいを出す機能を備えているのです。

主食はなんと言ってもお米。朝昼晩、食べられれば一番です。日本人は稲の文化が遺伝子の中に組み込まれているのでしょう、パンや麺類よりもご飯のほうが、おいしいおっぱいをつくります。

おかずは野菜を中心にした煮物、味噌汁など。肉は脂肪の少ない赤みの部分を。魚は白身の魚や小魚がいいですね。青魚はおっぱいに生臭い匂いが出てしまいます。授乳が軌道にのるまでは、さんま、いわし、さばなどの青みの魚はさけたいもの。こうなごなどの小魚でカルシウムは十分にとれます。

粗食の和食は体重を増やさないためにも効果的。お産の2〜3ケ月前くらいからおっぱいをつくる準備として、肉を赤みに切り替えるとか、ご飯を3食食べるなど心がけてもいいでしょう。パンはおやつに食べる程度に。
もうひとつ授乳中に気をつけたいのは洋菓子類、生クリーム、チーズなど。ピザやシュークリームを食べると、乳質が脂っこくなり、おっぱいをしぼると中に油が出ているのがわかるほどです。赤ちゃんはよくわかっているので、いやがって飲んでくれないこともあります。そういうときには、母乳を絞って出してからおっぱいを飲ませてあげましょう。




babycom おすすめ関連コンテンツ

妊娠・出産、母乳ワード101妊娠・出産・産後ワード101
安産と楽しいマタニティライフに役立つ101用語を解説しました。
監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長


babycom おすすめ記事
babycom Site
あたたかいお産と子育て-babycomあたたかいお産と子育て
お産は子育ての出発点。産む人と生まれてくる人が尊重される「あたたかいお産」の環境ついて考える、産婦人科医のコラム。

TOP▲