妊娠中の健康

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「妊娠中の健康」

1.お産に向けてのからだの準備

.......食生活を見直す

.......生活の中に運動をとり入れる

.......からだを整えるヨーガ

.......からだはやわらかく柔軟に



自然なお産、しかも安産を望むのなら、お産に向けてからだの準備が必要です。これは、昔の人でしたら、あえて準備なんかする必要もなかったのですが、現代の都会に生活している人にとっては、やはり準備は必要です。

まず、これまでの自分の生活を見直してみましょう。からだは、食事(エネルギーを入れる)ことと、運動(エネルギーを消費して整える)によって保たれています。
非常に大切なこれらのことは、毎日あたりまえにだれもが行っていることですが、問題は中味。どんな食事をとっていても、多少からだを動かしていさえすれば、今の時代では、生きていくことができるのですが、こと、お産という、人間本来の原初的営みを行う場合には、現代の生活はあまりに人工的。自分の食生活、運動状況をふりかえってみて、人工的かつ自然と遠く離れてしまっている思われる方は、そのままの生活を続けると、それなりの人工的な出産にならざるえないかもしれません。
楽で便利で、安易な生活を望む妊婦には、楽で便利で安易な医療的な出産がちゃんと用意されています。ただし残念なことに実際は、そうした医療的な出産は、結果的には切ったり、薬物をつかったりして、産後、母親にとってけして楽とは言えないこともあります。でも、医療機関では、いくら産婦が病的になろうとも、最終的には救ってくれるのです。

さて、クリニックや助産院、自宅などで、自然なお産がしたいと思われる場合には、結局、自然なお産ができるように、自分でからだを調整する必要があります。
昔の人は、安産が多かったと言われますが、彼女たちは、自然の中で自然のリズムで生活し、妊娠中でも畑仕事や労働を続け、陣痛が始まるまで、からだをつかって仕事をしていました。さらに、昔は、穀物と野菜を中心にした食事。今のように甘いものをバクバク食べられるような状況にはありませんでした。そんな生活だったからこそ、とくに準備をしなくても、自然なお産はできました。
都会で生活している人たちは、普段とても自然な生活とはいえませんから、自然なお産をするためには、準備が必要です。これは、それまでの食生活や習慣を変えることです。やはりかなりシビアです。私はこれは「ご修行」だと思います。それくらいに、甘いものではなく、ある程度の覚悟も必要です。でも、覚悟をして、生活の一部を変えるくらいの努力をすれば、カナラズ、自然なお産は自分の手元に獲得できる。
これは、事実です。
 さて、何をすればいいのか。


甘いもの、とくに白砂糖が入っているものは、やめましょう。少しくらいなら、と自分を許す場合には、5日間にケーキひとつくらい。
チョコレート、キャンディ、ガムもちょっとくらいなら、と思わないこと。そのほか、料理、お茶、コーヒーなどには砂糖は絶対に入れない。

食事は、野菜を中心に。油ものも、できるだけ少なく。肉は同じものを毎日食べない。豚肉、チキン、魚、牛肉、魚、チキンなど、日変わりに蛋白源は変えていく。さらに、1回に100g以上、肉を食べない。ほとんど菜食でも、問題はありません。その変わり、豆、豆腐類、海草、小魚を多めに。
ジャンク・フード、ファースト・フードは食べない。食品添加物、農薬の多く入っているものも避ける。

毎食、おなかいっぱいになるまで、食べない。間食はしない(これは、つわりのときなど、基本的に食欲のないときはあてはまりません)。間食は、単なる悪いくせです。この際、一気にやめてしまおう。
味つけは薄味で。味噌汁、おかず、すべて若干薄めに。これも習慣ですから、今、習慣を変えてしまえば、子どもの食生活は、ばっちり健康です。
老婆心ながら、子どもにも少し大きくなるまで、親として甘いものはやらないほうがいい(親がやらなくても、自然に社会は子どもに甘いものを与えたがる)。



生活の中に運動をとり入れる
運動の目的は、入れたエネルギーを消費すること。エネルギーを蓄え、消費することによって、人間のからだは新陳代謝がよくなって、いい調子を保つことができます。
まず、からだの調子をよく自分で判断して、何も問題のない人は、とにかくからだを動かす。水泳をしてもいいですし、山登りをしてもいい。今まで何かスポーツをやっていた人は、妊娠したからといってやめる必要はありません(もちろん自分のからだの様子を見ながら判断する)。

仕事をしている人、通勤している人は、からだを動かしているように感じがちですが、毎日、同じ筋肉をほんの少しつかっているだけで、神経はつかっているものの、ほとんどエネルギーの消費にはなっていません。妊娠中のエクササイズとしてからだを動かすときには、それに専念する時間をつくる必要があります。時間がある人は、毎日時間を決めてできるだけ歩く。となりの駅くらいまでは歩く。買い物がてら歩きたい場合には、少々格好が悪くても、コロコロ引いて歩けるカートに荷物を入れて歩こう。自転車にも乗ってかまわないのですが、自転車に乗る距離なら、歩いてしまおう。ウォーキングは、自分なりに運動量が調節できるので、妊婦には最適。疲れたら、止まって休めばいい。もっと運動量を増やしたいと思うなら、小走りに早く歩けばいい。このとき、呼吸に意識を向けると、呼吸法の練習にもなる。住宅地や公園を散歩して、木や草、花を見て、季節感を感じながらぼーっと歩けば、胎教にもよし。

家事の中でからだを動かすこともできます。拭き掃除、手で洗う洗濯、庭や外周りの掃き掃除、窓を磨いてもいい。あったかい時期なら、風呂に洗濯ものを入れて、足踏み洗濯だってできる。雪かきは、つらいかも。しかし、なんでも、急にはりきってやってしまって、自分のからだの声を無視したりしないこと。大事にし過ぎることもないけれど、反対にはりきり過ぎて、赤ちゃんが「しんどいよ〜」と言っている声を聞けなくなってしまっては逆効果。このへんが、むずかしいと言えば、むずかしいのだけれど、自分のからだなんだから、自分が一番わかるはず。自分のからだの声に耳をすまして、自分で判断する習慣をつけよう。危険なときには、自分でわかるようになるはず。
水泳、エアロビクス、ヨーガ、太極拳、気功法。なんでもクラスに通えるなら、それでも可。クラスに行っても、そのとき限りでなく、自分でも家で毎日、何かのエクササイズかウォーキングをやろう。もちろんお金をかけずに、自分ですることもできる。クラスに通うと、その時間だけでもみっちり、正確にできるので、いいことはいいと思いますが。



ヨーガは、エネルギーの消費というよりは、からだを整えるもの。安産になるようなからだをつくるものです。ほかにも、安産に備え、からだを準備するものには、整体やお灸があります。みな東洋的な療法です。西洋的なものは、どちらかというと、エネルギー消費を目的としたものが多いので、スポーツ系をやっている人にも、東洋系の体操も同時にやることをおすすめします。

さて、ヨーガも、安産を目的とし、目指すのなら、少しの時間でもいいから、できるだけ毎日やりたい。ヨーガは、呼吸を意識しながらからだを動かすので、呼吸法の練習にもなります。意識して呼吸法をしなくても、からだを動かしながら呼吸を感じる練習をするだけで、呼吸法が身についていきます。
ヨーガは理屈ではなくて、からだで覚えること。だから毎日の練習が、一番効果的です。お産はからだが行うこと。最後は、ごちゃごちゃ考える暇もないし、からだに任せるしかない。だから、任せられるからだをつくっておく必要があるわけです。からだに自信がない、という人は自分のからだに任せることはできないでしょう。からだは、お産の方法を本来知っているし、女性のからだには産み出す力が備わっています。これは、左脳で考えることじゃなくて、ちゃんとすでに右脳が知っていることなんです。その原初的な力を疎外しないで、任せておけば、からだは自然に開きます。
そうした自然な力を引き出してやるのが、ヨーガです。
理屈じゃないので、だまされたと思って、とにかくやってみて下さい。毎日やれば、必ずからだは変化してきます。
けれど、人には向き不向きというのがあります。で、ヨーガはどうも、という人は、気功法でもお灸でも、整体でもマッサージでも、ウォーキングでも、自然食でもなんでもいい。とにかく、要は、からだを意識していたわってあげる時間をもつこと。

今のからだには、おなかに赤ちゃんがいる。からだをいたわることは、赤ちゃんをいたわることでもあります。私は、お風呂が好きだから、という人は、ぬるめのお風呂に長く入って、アロマを入れたりなんかして、さらにお風呂の中や上がったあとにマッサージをしてもいい。夫とマッサージしあえるなら、うらやましい。これも、ていねいに、感じながら(セクシーに感じなくてもいいけど)。どこかに呼吸法をとり入れるとなおいいですね。
とにかく、自分なりにからだと向き合う時間をつくりましょう。それと同時に食事を見直せば、からだは自然に変わっていきます。もちろんストレスのある人は、そのストレスの元を断ち切る努力も必要です。

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からだはやわらかいにこしたことはありませんが、これは人と比べることではなくて、自分の今までより少しでもやわらかくなることが大切。とくに股間接が硬い人、以前事故か何かでからだのある部分がゆがんでいる人、そんな人は、毎日少しずつそこを伸ばしてあげましょう。無理は禁物。痛むようなら、無理にはやらないように。

※参考までに毎日のエクササイズの見本:詳しくはマタニティ・ヨーガで

 開脚:脚を広げて、ももの内側を伸ばす。上半身をゆっくり回して(左右前後に傾ける)、股間接の今日の様子を感じる。ゆったり、数分間。

2 片足開脚で前屈:1から、片足を恥骨のほうへ寄せて、片足は伸ばしたまま。前を向いて、合掌。まず、正面を向いて合掌を上に上げて、背筋を伸ばす。背筋が伸びていることを感じる(いつでも、感じることが肝心)。次に、伸ばした足の親指に手の指をかけて、息を吸って、吐きながらその足に前屈。伸びた脚の裏を感じて。息を吸いながら戻す。左右、2回ずつ。

3 首回し:気持ちよく首を回す。今日の調子、どこがこっているのか、感じながら。

4 スクワッティング:しゃがむポーズ。この姿勢で、上半身をゆ〜らゆ〜ら揺すってみる。どこかにひっかかりがないかどうか、感じる。気持ちよく、ゆらゆら。この姿勢で、骨盤底筋肉の運動(膣周辺の筋肉を収縮&緩める)を、10回ほど。

5 脚を伸ばし:脚全体をマッサージ(さする)してあげる。

6 立ってねじり:立って足を開き、ゆっくり息を吸いながら、左右の手を肩の高さに上げる。ゆっくり吐きながら、右にねじっていく。指先を見ながら。ねじれていく自分のからだを感じる。自然の呼吸で、少しその姿勢を保ってから、息を吸いながら戻し、吐いて、両手を降ろす。左も同じように。左右、2回ずつ。

7 リイラックス:シムスのポーズ(横向きの姿勢で、上の脚を曲げておなかを床につける)でもいいし、自分が一番楽な姿勢で。音楽をかけて「気持ちいいな〜」と感じてもいいし、単に赤ちゃんのことを思ってもいい。もちろん、何も考えなくてもいい。5〜10分。

8 呼吸法:あぐらをかいて座る。腹式呼吸をゆっくり10回。自分の息に集中する。どうやって鼻から息が入ってくるのか、どうやって鼻または口から息が出ていくのかを感じる。呼吸を意識することが呼吸法です。だからどんな呼吸法でもいいのですが、お産のときは、息を吐くゆっくりとした呼吸がベストなので、吐く息をとくに意識して。吸おうとしなくても、全部空気が出てしまえば、自然に息は入ってきます。その感覚をわかろう。それをわかるために練習します。

以上、これだけやっても15〜20分はかかる。もちろんもっとやりたいという人には、マタニティ・ヨーガの本もありますから参考に。

たまには、自然の中へでかけて行って、いい空気をたくさん取り入れましょう。息の中には、酸素だけでなく、ヨーガではプラーナと言って、気のようなものも含まれていると言われています。自然の気をたっぷりとり入れて、自然なお産をしようよ、ね。
からだを大切に。みなさんが安産になりますように、私もお祈りしています。



はじめての妊娠 妊娠中の健康 INDEX


1.お産に向けてのからだの準備

2.妊娠中の基本姿勢

3.気持ちのいいバス・タイム

4.妊娠中のお灸


妊娠・出産、母乳ワード101妊娠・出産・産後ワード101
安産と楽しいマタニティライフに役立つ101用語を解説しました。
監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長



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