私の出産体験記

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私の出産体験記

陣痛促進剤と無痛分娩

〜いろいろなことを考えた、初めての出産でした〜

BANKOさん(1999)


私は、本日(2月16日)が出産予定日でした。でも、今家にいます。初産なので、予定日が遅れるのは当たり前…なんですが、実は12日に一度入院しました。

近所の個人病院で、多分人手の関係だと思うのですが、そこは結構誘発分娩をすることが有名で、私自身も、覚悟はしての通院でした。(先生の腕は良いとのことでしたし)もっとも、何とか予定日前に陣痛が起きないかなあとせっせと重いものを持って歩き回ったり、買物に行ったりもしましたが。(猫の砂10kg入り2袋+猫缶2ダース購入とか…)でも全然いわゆる「下がってきた」という感じがしなかったのです。
相変わらずお腹の中では子供がボコボコ動いているし。(出産が近くなると胎動が少なくなると雑誌には書いてあった。人それぞれらしいですが)しかし、とにかく子供の頭も大き目らしいとエコーを見た先生がおっしゃいますので、ちょっと早めの12日に入院することになったのです。

ところが、メトロをいれても(痛かった!)陣痛は起きず、翌日とうとう促進剤の点滴をされることに…。結局13日の午後に「10適/分」で促進剤を点滴されても、夜に「15適/分」に! 変わっても陣痛が起きなかったのです。真夜中に空になった点滴が取り外されました。翌朝、食事が済んでからもう一袋の点滴。相変わらず、動き回れず、テレビも退屈で本を読むのにもあきて、こらえ性の無い私はだんだん苛立ってきていました。寝不足だし(不慣れな場所の上初日はメトロ入り、2日めは点滴つき。夜中に何度も目が覚めた。)クスリのせいでお腹は張るけれど陣痛は来ないし…。風邪引きの夫を3日も通わせてるのに産まれる気配はないし…。(12日の午後だけ仕事に行ったが後は休みを取ってくれていた。)私の中に「なんて無駄な3日間だ。」という気持ちがむくむくと湧き起こってきてしまいました。そして、一応は納得していたはずの「促進剤」使用への憤りも。

もともと必要ないのに、まだ身体も子供も準備が出来てないのに、無理矢理クスリなんか入れたって生まれやしないんだ、と。様子を見にきた助産婦さんが、「陣痛、微弱ですね。」と何の気無しに言ったことにも心の中で憤り「陣痛が微弱だったら使うのが促進剤でしょう!促進剤使って微弱ってなんなのよ!」(でも言えなかった…)
「これ、予定日より2週間たってからの処置だったら納得したんでしょ。今だから、本当は納得していなかったんでしょ。」とボロボロ泣き出す私に夫が言いました。
そうでした。このクスリのおかげで無事出産できた妊婦も多いのだから「陣痛促進剤」使用を闇雲に拒否するのは考え物だと思っていました。それでもやはり本当は「自分に陣痛促進剤が必要である」とは思えていなかったのです。私の読んだ物の中では「陣痛促進剤」は胎盤機能の低下や微弱陣痛などで、難産になりそうな時あくまでも母子の安全のために使用されるもので、使うときには医師からの説明を受け、検査をし、分娩監視装置をつけながら少しずつ使用されるべきものでした。でもたった一人の先生に自分が納得するまで説明を求めるなんて現実には出来ない。自分で選んだ病院なのだから、お任せしよう。そう、自分で自分に言い聞かせていました。しかし一度流れ始めた涙は一向に止まらず、夕食にも手をつけられず、先生が外来を終えて回診にみえても恥ずかしいから泣き止まなくては、とすら思えませんでした。内診がたまらなく痛くて、力を抜いて、と言われてもどうにもなりませんでした。やはり、まったく開いておらず、子供も下がっていませんでした。

「たまにはあることですが、本人が精神的に参っているみたいなので、一度家に帰られますか?そして今度は自然に陣痛が来るのを待ちましょう。」先生が、夫にそう言いました。とたんに、あんなに止まらなかった涙がピタリと止まりました。私は本当に家に帰りたかったのでした。
その夜は久しぶりにゆっくりと眠れました。入院中は夜中に何度も目を覚ましたのに。自分の家のベッドの中で、夫と3匹の猫たちと一緒に・・・。昨日(15日)も今日(16日)も、買物に歩いています。車も運転しています。今日は、美容院にも行ってしまいました。(美容師さんに「いつごろ予定日なんですか?」ときかれてまさか今日とも言えず「臨月です。」とだけ答えておきました。)
今も、胎動を結構感じますが、なんとなく子供が下がってきたように感じ始めました。張り、というのか、きゅっと来る痛みの位置もかなり下に頻繁に感じられるようになりました。今私は自然の陣痛を待っていても良いことに、ほっとしています。なんだか、お腹の子が私の気持ちを察して、頑張ってくれたのかなとまで思ってしまいます。(だからついでに「夜中に急に出てきちゃ駄目よ。」とまで頼んでいます。)

こんなことがあったからといって、別にこの病院が嫌になったわけではありません。先生は、なかなか陣痛が起きない私を気にかけてか、ずいぶん遅くまで病院に残って何度も様子を見に来てくださったし、いい年して泣き出した私を怒らずに帰らせてくれたし(クスリの使い方に無茶をしないから出来ることなんじゃないの?と夫は言いました。)、休診日である日曜日にわざわざ「その後具合はどうですか?」と電話がかかってきたし…(もっともその時は「産まれているハズ」と思われている親戚や友人たちに「実は…」の電話をかけまくっている最中のキャッチホン受信だったので、やや短めに切り上げてしまいましたが。)
結果的には、陣痛促進剤が効きにくい体質ってことで、今後のお産のときにもクスリ使わずに産む方向でお願いできるきっかけになったのかもしれません。かえって良かったかも。

もっとも今現在私の中で動いてる子供が、とにかく無事に産まれてきてくれないと困りますが。この子が、予定日よりかなり遅れてもうどうしようもないとなったら、帝王切開もあるのかもしれません。それはもう仕方が無いだろうと思っています。でも、私の親戚も、夫のお母さんや妹さんも、予定日より遅れて大き目の子供を産んだとのことなので、頭が大きめなのは血筋で仕方が無いのでしょう。ただみんな帝王切開ではなく、普通に産んでいるとのことです。(予定日2週間経過での促進剤使用のケースはあり)だからあまり細かいこと気にしないで、おまけの妊娠生活を楽しもうと思います。

もし似たような経験をされた方がいたら、(促進剤を使って「産んだ」という経験談は見かけましたが「効かなくて家に帰った」というものは私が今まで見た中ではありません。私の病院では時々あることらしいのですが。)その後どうされたか教えていただきたいです。あと、どういう人が「効きにくい」のか。

<その後のこと>

促進剤を使っても陣痛が起こらず帰宅してから10日、出産予定日をちょうど1 週間過ぎた日が再入院と決まりました。が、今度こそなんとか自然な陣痛が起こるようにしたいと、とにかくいろんな事をしていました。

2月23日、再入院予定日の朝、夫を車で駅まで送るつもりでいたぐらい元気な私でしたが、破水らしきことが起こっていることに気付き、逆に夫に病院まで連れてきてもらいました。そして、先日と同じ部屋に再び入りました。
午前中は痛みがまだ無く、のんびり過ごしました。午後、先生の診察を受け、子宮口が開きつつある事が分かり、このまま陣痛が来るのを待つことに。 やった!誘発をしないで出産できる!と本当にうれしかったです。 午後2時過ぎから少しづつ不規則な痛みが始まり、1〜2時間のうち、あっという間に2・3分間隔に。午後5時ごろ、分娩室に入りました。順調に子宮口は開いていたようです。

しかし私の頭の中は「陣痛ってこんなに痛いものなの?」という気持ちでもういっぱいでした。「間欠のときは力を抜いて。」と指示されても「まだまだかかるんだからそんなに力入れてると肝心なときにいきめませんよ。」と言われても、自分の身体がコントロールできる状態ではすでになかったのです。

「ほとんど全開。」「あと少し。頭の毛に触れますよ。」と言われる頃には恥ずかしながら絶叫してたと思います。そう言われても自分の身体が「いきみを我慢している」状態ではないのです。とにかく痛い!!!でも先生も助産婦さんも部屋からいなくなってしまうのです。隣にいる夫の(立ち会い可だった)手を何時間もものすごい力で握っていました。
次に先生が来たとき、「今からでも無痛にお願いできませんか?麻酔できません か?」と、私はついに頼んでしまいました。陣痛促進剤が嫌だの自然がいいだの言いながら情けなくもこの有り様でした・・・。
腰に麻酔注射をしてもらい、徐々にあのものすごい痛みから開放されていきました。左下腹だけ、陣痛がわかるようになのか痛みを感じる場所があり、そこが痛んだらしっかりいきむように言われました。麻酔をしていても少しずつ何かが出ていく 感覚はわかりました。しかしそれでもなかなか進まず、少し赤ちゃんが酸素不足になってきたと吸入器を当てられたりもしました。
最後は、多分吸引されていたのだと思います。機械の音がしました。 そしてやっと身体からスポッと大きな固まりが抜ける感じがし、元気な産声が聞こえました。私と夫も思わず「やったーっ!」と声に出していました。「女の子です。」と言われたときもびっくりしましたが(エコーで見たとき尋ねたら『多分男の子』ということだった)もっとびっくりしたのはその後です。 「4380gです。」
午後9時を過ぎていました・・・。

びっくりして、笑って、これで終われば良かったのですが・・・。 今度は胎盤がなかなか出てきません。この間に、隣の分娩台に他の妊婦さんが上がり、ついたて越しにあっという間に出産し、胎盤も出てきたようでした。(私には魔法のようだった。経産婦さんだったらしいですが)
その後(といってもこの間30分以内)また先生が私の台にやってきて、胎盤を取る処置をしました。胎盤も大きく、700g以上あったとのことです。
「やー、いろいろやったお産でした。」
すべての処置が終わり、先生からの一言でした。(ひどくお疲れのご様子でした )

後から知ったことでしたが、この胎盤の癒着はがしはものすごく痛く、陣痛の比ではない処置であったとのこと、また病院によってはこの処置が出来ず大きな病院へ移動させられることもあるとのことでした。私は麻酔をしていたので、胎盤はがしも切開の縫合もまったく痛みを感じないままでいられたのでのほほんとしていましたが 、これをされた知り合いの知人の女性は、2度と子供をつくらなかったそうです。
翌日の朝、職場に出産を知らせる電話をしました。 出生日時と性別と体重だけ知らせておきましたら、「その大きさでは多分、帝王切開だろう、でも翌朝それでよく電話がかけられたものだ。」と、ちょっと話題になったそうです。

結局私は次に子供が出来ても、この病院にするだろうと考えています。 出産直前、特に誘発のための入院をしてから再入院するまでは、この病院の陣痛促進剤の使用法に不満があったこととその後の自宅待機のとき「今日再入院ではないのか。部屋を暖めておいたが来ないのか。予定日を過ぎているのに。」という電話が来た事が決定打となり(様子を見せに来るよう指示された日より前だったので何かの手違いだったと思いますが、その日は予定日のたった2日後だったのです。) 「そんなに予定どおりに産まれてくれなきゃ困るならもう2度と世話にはなるまい。」と密かに泣いて決意していましたが・・・。
家から近く、噂のとおり先生の腕は確かだし。噂のとおり予定日近くには誘発を行うけれど効かなければ家に帰してもらえるし 。
(初診のとき最終月経日を1〜2週間遅れらせて言えばいいだけと言いきった人もいた。)

でも、本当の本当は誘発というのは少し寂しいです。 人が生まれる「時」というのがどことなく神聖なものに感じられるからかもしれません。
分娩誘発に抵抗のある人って、副作用のことだけではなく、こういう感覚的なものでというのも多いのではないでしょうか。
今回は、「育ち過ぎだったね。」と方々で言われたとしても、朝破水して、午後陣痛が来てその日の夜に出産したのですから、子供も私の身体も「産まれるぞ」「産むぞ」状態になっていたのだと思えます。
産まれてきたジャンボ娘の真ん丸顔を見ながら「うーん、人生勝った!とはいえないかもな」とシツレイな事を口にする私に「何言ってんの。点滴2本されてもふんばって12年に1度の大幸運期に出てきた子だよ」と夫が言いました。 今年星占いでは「うお座」は12年に1度の大幸運期だそうです。前に友人に教えてもらったのですが、「予定日の2月16日は『みずがめ座』だよ。」とか言っていたのです。
こんな、ちょっとした事が嬉しいということも、あるものです。

病院の事情で行われる誘発分娩というのは、結構あるのではないかと思います。 でも、妊婦雑誌やインターネットで発言している医療関係者の方は「誘発は微弱 陣痛・早期破水・逆子・予定日超過で胎盤機能低下等の必要な場合に適切に使う」というようなことしか言わないのですよね。
また「陣痛促進剤は分娩監視装置できちんとモニタリングしながら最新の注意を払って使用します。」なんて雑誌に書いてありましたが、私の病院では点滴されただけでした。
上記のような「必要な場合」とも言えず、分娩監視装置などつけずに病室に点滴と共においておかれていた私は、出産前の情緒不安定状態もあって、「ここは、本来やるべき事を適切に行わないひどい病院だ。」とまで考えてしまいました。 でも私と同じような誘発をされていた人というのは意外と多いのです。(帰してもらえただけマシ。最後には卵膜を割られる処置までいった、と言う人もいた。)

それなら、誘発は必要なときだけ行う、とか、点滴のときは必ず分娩監視装置をつける、とかの奇麗事だけを並べるのは出来れば止めて欲しいものです。 かえって不安になります。
現実にはどのような使用方法がされているのか、もっと具体的な情報が欲しいです。
と、いうようなことなどいろいろ考えた初めての出産でした。 そして本日(3月1日)東京は午前中大雪でしたが、無事に退院しました。
次の子供のときは、体重増加に注意して(今回は+13キロ)、もっともっと動き回って、目指すは予定日前の「自然分娩」です。

1998年


妊娠・出産、母乳ワード101妊娠・出産・産後ワード101
安産と楽しいマタニティライフに役立つ101用語を解説。 監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長





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