ちいさなヒッポ
マーシャ・ブラウン/作 内田莉莎子/訳 偕成社 ¥1,296-
父親が子育てに関わるようになってきた…とはいっても、家族と食事をとる暇もないような、父親不在の家庭はまだまだ多い。
”今が一番幸せな時よ”なんて人に言われても、来る日も来る日も、いつ終わるの?と思う子育ての日々。
毎日子どもと向き合う中で、自信をなくすことも度々おこる。
この絵本は、かばの母子のお話なんだけど、父親が全く出てこない。
(もちろん、動物の父親が子育てに関わることは殆どないんだけど)
だから、かえって勇気づけられる気がするのだ。
川辺で子どもを産んだその日から、母は生き延びるための業を伝えつづけ、その心地よい背中の上で、子どもは少しずつ厳しい自然の生業を感じていく。
危険に出逢った子どもを助けるために、猛然と立ち上がる母の姿に、親が子どもに伝えるものは、命だけでいいのかもしれないと感じた。
”きっと私もとっさの時、こんなふうに闘える”
そう思えば少し自信のようなものが湧いてくる。
(文;森 ひろえ)