みずたまレンズ
今森光彦/作 福音館書店・かがくのとも絵本 ¥972-
くもの巣にひっかかった小さな雨つぶは、並んでひとつひとつが輝きを放ち・・・。
みずたまりに落ちた「みずたま」は、静かな水面に芸術的な形をつくり・・・。
ジャンプしたカエルの足から長くのびた水は・・・少しずつ形を変えながら、また「みずたま」になっていく。
水に形はないけれど、水は自分でまるくなろうとしているのかな。
みずたまは、時には小さな虫の上、虫が歩く葉っぱの上、花びらの上にとまり、私たちの目に、向こう側の世界を、そっとのぞかせてくれる。
1−2歳の子どもたちが、この写真絵本を、最後までくいいるように見つめていた。それが何の虫か、何の花かは知らなくても、この写真が美しいということは、小さい子どもでもよ−く知っているのだ。
朝、雨上がりのにおいに早起きした息子を、みずたまレンズを探しに、庭へ誘い出した。息子は狂喜し、後で起きてきた夫を「お父ちゃん、みじゅたまれんじゅ、あったよ」と、庭に引っ張り出した。庭にしゃがんでのぞきこむ父子のどんな表情を、みずたまレンズは写していたのかな。
こんなすばらしい世界を見せて・・魅せて・・くれた作者に、感謝せずにはいられない。
(文;森 ひろえ)