赤ちゃんの歯の健康は、胎内からスタート!

歯育・子どもの歯を育てる

2. 赤ちゃんの歯の健康は、胎内からスタート!【Part.2】

取材協力・監修:北原信也 先生(2006年11月掲載・2017年11月再編集)

妊娠初期の胎生7週目には乳歯のもとが、14週目には永久歯のもとがつくられ始めます。しかも、胎児の時期からお母さんの羊水を通して味覚も形成されていくのです。
赤ちゃんの歯や味覚が健やかに発育するためには、お母さんの食生活やライフスタイルは重要なポイント。
シリーズ2回目は、胎児の歯はどのようにつくられるのか、妊娠中の喫煙や化学物質が胎児に及ぼす影響、そして赤ちゃんの健康な歯をつくるマタニティの食事について学んでいきます。

【Part.1】虫歯予防はマイナス1歳から!

【Part.2】喫煙が妊婦と赤ちゃんの歯に及ぼす影響

【Part.3】妊婦の食事が赤ちゃんの健康な歯をつくる



赤ちゃんの発育を妨げるタバコ

妊娠中の喫煙は、母体はもちろんおなかの中の赤ちゃんの健康にとって、よいことは何一つありません。出生児の体重減少や、流産、早産率の上昇、周産期死亡率の上昇、そして赤ちゃんの催奇形性を呼び起こすと言われています。また、喫煙している人の歯は一般にヤニや化学物質で黒く汚れており、虫歯や歯周病の率も高くなっています。

タバコによる悪影響を及ぼす因子としては、大きく「一酸化炭素」と「ニコチン」が挙げられます。一酸化炭素は胎児の酸欠状態を引き起こすと考えられています。ふつう、酸素とヘモグロビンが結合して胎児の組織に酸素を運びますが、一酸化炭素は酸素よりも300倍の強さでヘモグロビンと結びつき、その結果胎児の末梢組織に酸素が運ばれず、酸欠を引き起こしてしまいます。また、ニコチンは母体の血管を収縮させ、子宮や胎盤の血流量を著しく低下させます。喫煙によって一酸化炭素やニコチンが胎児への酸素の供給を減らし、胎児の発育を妨げるもととなります。


赤ちゃんの受動喫煙

受動喫煙にも注意を!

そのほかにもタバコに含まれるシアン化合物には毒性があり、発がん性や催奇形性があるベンツピレンも胎児の成長に何らかの悪影響を与えると考えられます。また、自分がタバコを吸わなくても、夫や職場の同僚などの喫煙によってタバコの煙を吸ってしまう受動喫煙も高リスク。実は、受動喫煙の方が胎児に対する影響は強く、ニコチンの濃度は3倍にもなると言います。これによって、低体重児の出生リスクが高まります。

出生後、赤ちゃんの乳歯に形成不全などが見られる場合、母体で歯のもとが形成される時期に何らかの障害が発生したことが原因であると考えられます。喫煙は、赤ちゃんの歯の健全な発育を妨げる要員になり得るのです。また、喫煙は歯周病の第1のリスクファクター。歯周病が早産や低体重児出産を引き起こす可能性については第1回目でも指摘した通りですが、赤ちゃんの健やかな健康を考えたら妊婦の喫煙はタブーであることは言うまでもありません。
マタニティの歯のケア

One Point Advice
北原先生のワンポイント・アドバイス
妊娠中は赤ちゃんにカルシウムが取られるって、 本当?

北原 信也(きたはら・のぶや)先生(ノブデンタルオフィス院長)
顔、唇、歯、歯肉それぞれを科学的かつ審美的に分析し、一般治療から審美修復治療、メインテナンスプログラムにおけるまで、口腔プロデューサーとして治療・予防に全力を尽くす。著書や講演会も多数。歯のケアを通して子どもの知的発達を促すことを目的とした歯科医と教育カウンセラーによる日本初の「歯育」プロジェクト、ノブキッズ・プロジェクトの代表でもある。


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1.赤ちゃんのために知っておきたい
 マタニティの歯のケア

2.赤ちゃんの歯の健康は胎内からスタート

3.乳歯の生える時期と赤ちゃんの虫歯

4.0歳からの歯のケア

5.はじめての離乳食と歯の健康

6.よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!

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