環境危機で変る子どもの生活
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環境と健康に関する科学報告書を読み解く

環境と健康に関する科学報告書を読み解く

近年、IPCCにみるように、科学の専門家らを組織して作られた委員会が出す報告書が、健康や環境に関する取り組みに大きな影響力を与える、という事例が増えています。ただ、そうした報告書はえてして大部で高度に専門的な部分を含んでいることもあり、読み通すことは大変です。
そこでこのコラムでは、子どもの環境と健康にもかかわりの深い重要な科学報告書をいくつかを取り上げて、それらを読み解く手がかりをさぐってみたいと思います。

上田昌文(NPO法人 市民科学研究室 代表)

2007.8〜2008.2


 地球温暖化に関するIPCCの第4次評価報告書(第1〜第3作業部会の3冊)が今年になって相次いで発刊されました。この報告書の結論や勧告自体が各国の政策に直接反映されるというわけではありませんが、たとえばもし1997年の温暖化防止京都会議で約束したこと(2005年に京都議定書が発効)が守られることなく温暖化が進行すれば、私たちはどのような影響を実際に受けることになるのかを、科学的確証度の高いデータを使って予測するものだと言えるでしょう。
各国がエネルギー政策を決める際に決して無視するわけにはいかない重みを持ち、一般の市民もどのような温暖化対策が取られるのかを注視していくうえでも、報告書の要点をしっかり理解しておく必要があります。

 近年、IPCCにみるように科学の専門家らを組織して作られた国際的な委員会が、長年の検討の末に報告書を出し、それが健康や環境に関する政治の取り組みに大きな影響力を与える、という事例が増えてきています。新聞やTVニュースなどでそうした科学委員会の動きを大まかに追うことはできますが、やはり、最近はホームページなどからフリーにダウンロードできるようになったそうした報告書そのものに目をとおし、もう一歩ふみこんで理解しておきたいものです。
 ところが報告書はえてして大部で高度に専門的な部分を含んでいることもあり、読み通すことは大変です。そこでこのコラムでは、最近になって発表された、環境と健康に関する重要な報告書のいくつかを取り上げて、読者の皆さんがそれらを読み解く上での手がかりとなることがらを提示してみようと思います。


第1回:送電線などの電磁波対策に新勧告
WHO『環境保健基準』「超低周波電磁界」を読み解く

電磁波の健康影響の様々な研究を10年かけてレビュー
小児白血病のリスク上昇を確認
求められる日本の対策

第2回:子どもの化学物質暴露のリスク
WHO『環境健康基準』第237巻
「化学物質への暴露に関連した子どもの健康リスク評価の原則」を読み解く

子どもは小さな大人ではない
子どもの病気の原因は、30%以上が環境的要因!?
着床前から未成年期まで、暴露の時期で異なるリスク

第3回:ヨーロッパ全体で40%の節水が可能
「節水に関する欧州委員会報告書」を読み解く

水問題を真剣にみすえるヨーロッパ
水を無駄にしないことで得をする

第4回:環境政策づくりに生かされる市民からの評価
「大気の質に関する市民陪審報告書(英国)」を読み解く

今、注目される新しい手法「市民陪審」とは?
議論を深めることで生まれるユニークな提言

第5回:子どもの脆弱性をふまえての取り組みの行方
「子どもの環境保健研究の10年:環境保護庁科学プログラムの成果の要点(米国)」を読み解く

子どもの環境健康リスクに対する米国の取り組み
“子どもの脆弱性”の科学的課題
日本での大規模疫学調査と私たち


CONTENTS 関連情報
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インデックス

1.地球温暖化はどこまで進む?
  生活はどう変わる?

2.光化学スモッグから子どもを守ろう!

3.温暖化時代の地球にやさしい食育

4.感染症から子どもを守るために

5.温暖化時代を生きる子どもたちのために



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子どもの発達の基礎知識とともに、最新の脳科学や発達科学の研究成果なども紹介し、環境や発達の視点から、健やかな脳に育てるために親が知っておきたいこと、親ができることを考える。




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