子ども環境問題
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子ども環境問題

未来の子ども達へ(2)

2005年3月月掲載

babycomユーザー・トーク「子育てと環境リスク」

このシリーズでは、5回にわたってアレルギー、化学物質や電磁波の曝露、現代の子ども達の身体的な変化について取り上げてきました。妊娠から出産、子育てを通して、母親と子ども達を取り巻く環境のなかにどういったリスクがあるのかが見えてきたことと思います。
今回は、そういった数々のリスクを子育て中のお母さん達はどう受け止めればよいのか。そして、自分と子ども達にしてあげられることはどんなことがあるのか。市民科学研究室の上田さんといっしょに話し合ってもらいました。

CONTENTS



座談会に参加してくださったお母さんたち

中島彩乃さん
1歳1ヶ月の娘さんを持つ自然派ママ。自宅では有機野菜を取り寄せ、離乳食づくりに励む毎日。

飯島いづみさん
自身に多少アレルギーがあるため、健康意識は高いほう。1才になったばかりの娘といっしょにアロエジュースを飲んでいるそう。

小山光子さん
出産前はかなりのハードワーカーだったという元キャリアウーマンママ。昨年、長男(1才0ヶ月)を出産してから環境が気になるように。現在はキャリアカウンセラーとして活躍中。

床島直子さん
1才8ヶ月の娘とそろってアトピー体質のため、無農薬、無添加食品など食べ物には一応気をつけているワーキングママ。

 今回お集り頂いたお母さん達は、ベビーコムのサイトユーザーの皆さんです。ベビーコム主宰のマタニティヨーガクラス、ベビークラスにもご参加頂きました。皆さん、妊娠、出産という出来事に対して積極的に楽しもう、学ぼうという意識が高い方ばかりです。今日はそうしたお母さん達が、妊娠、出産、そしてこれからの子育てのなかで今回のテーマである『環境リスク』についてどんな認識を持っているのか。それについてどんな疑問を持っているのかをお話頂きたいと思います。そして、これからどんなことを環境に望み、そのためにできることは何かを、市民科学研究室の上田さんといっしょに話し合いたいと思います。
ベビーコム主宰のマタニティヨーガクラス、ベビークラス


<上田さん>
 まず、ざっと私たちをとりまく環境と子ども達の異変について振り返ってみましょう。
子ども達の大きな変化にはふたつあります。ひとつは、昔ではみられなかった行動異変が少しずつ増えてきているということ。子どもによる凶悪事件や多動性障害、発達障害などですね。凶悪事件を起こした子どもは、自分がどうしてそんなことをしてしまったのか、自分自身でわからないことが多いといいます。そう言う子がここ数年で目立ってくるようになりました。

 もうひとつはアレルギーの急増です。とくにアトピー性皮膚炎は顕著で、2004年には子どもの2割がそれにあたるというデータがあります。化学物質過敏症や注意欠陥多動性障害、自閉症の増加もみられます。いずれもここ数年で目立ってきた異変であり、ひと世代前には珍しかった病気なのです。
こうした子ども達の変化を見てみると、こういう考えが出てくるのです。もしかしたら、その子たち自身に問題があるのではなくて、子ども達を取りまく環境に問題があるのかもしれない、という考えです。
 私達を取り巻く環境はここ10年をみても大きく変わりましたよね。テレビゲームやパソコン、携帯電話があたりまえにある世界。その中に子ども達は生まれ落ち、今やそこから外れる世界では生きづらいと言う現状があります。そして、空気、水、食べ物のなかに含まれる多種多様な人工化学物質。それらにまったく接触せずに生活することもほぼ不可能に近いでしょう。

上田晶文さん
 そして、最も大きい環境変化が電磁波です。私達は今や四六時中、電磁波にさらされている環境に生きています。見えない、聞こえないが故にまったく意識されることのない大きな環境変化です。しかし、疫学調査ではその健康被害が無視できない形で起きています。電磁波はお母さん達や子ども達、そしてお腹の中にいる胎児にも影響を与えている可能性があります。しかし、携帯電話、パソコンが爆発的に普及し、人類が体験したことのない電磁波があふれる環境ができあがっていることに気がついている人は少ないのです。
 それらの環境の変化が人間の精神や身体の発達にどう影響してくるのか? どんな風にその子に影響してくるのか? このたびの連載では、今ようやく少しずつ見え始めた「こどもの発達と環境の関係性」をいつくかのトピックで探りを入れてみたわけです。

 皆さんもこういった問題は、テレビや新聞で目にしたことがあるかと思いますが、まず妊娠中や今でも気になったり疑問に思ったりすることからお話いただけますか?

<小山さん>
私はずっとパソコンを家で使っていいのかどうか、気になっていました。電磁波の影響があるのではないかと心配がありました。

<中島さん>
私も出産数日前まで、会計の仕事でパソコンを毎日使っていましたね。妊娠中はやっぱり気になって、防御エプロンや眼鏡も買ったけど、結局気休めでしかないと知って使うのをやめましたが…。仕事でパソコンはどうしても使わなくてはいけないものでしたから避けようがありませんでしたね。

<飯島さん>
私も出産後は人とコミュニケーションをとる方法がメールしかなかったから、出産前よりも使うようになりました。

<上田さん>
電磁波問題を話題にするときによく挙げられるのがパソコンですが、実は電磁波の強さを測ってみると、ディスプレイから出ている電磁波はさほど大きくはなく、心配はいらないと思われます。むしろ身体に密着させる携帯電話や電気毛布などのほうが、電磁波が強く、影響が気がかりです。


<床島さん>
同じ家電でも気をつけるべきものとそうでもないものがあるのですね。

<上田さん>
そうですね。口にするものでもそれは言えます。例えば、皆さんは毎日お茶を飲んでいらっしゃると思いますが、どんなことに気をつけていますか?

<小山さん>
お水は浄水器のものを使って、子どもが口にするものは湯冷ましをつかっています。水道水をそのまま飲むことはできないですね。抵抗があります。

<飯島さん>
私も沸騰させる派。小さな浄水器も蛇口につけていますが、フィルター交換をマメにしないから効果がないかもしれない。

<上田さん>
皆さん、わりとお水には配慮をされているようですね。沸騰させれば塩素は抜けますしね。でも、実はお茶を入れるときに一番気がかりなのは茶葉に残された農薬です。水道水は美味しさを保証するものではないですが、感染症を引き起こすことのないように、そして一生のみ続けても身体に悪い影響は出ないようにと、相当厳しくチェックされています。それにひきかえ、確かに農薬使用量の規制はあり、残留量のチェックも一応なされているとはいえ、本来毒性の高い農薬を微量ながらも取り続けることの方に、より注意を向けるべきではないかと思います。環境リスクを軽減する、という意味で言えば、ペットボトルの水を買って飲む習慣よりも、無農薬の茶葉を購入する習慣のほうが賢明だと言えるのではないでしょうか。

<飯島さん>
日常的に口にするもので、他にもそれにあてはまるものはありますか? 例えばお米とか?

<上田さん>
今、玄米が健康に役立つとして人気が高いのですが、玄米、胚芽米は農薬が残留している率が高いのです。白米のように、精米していると表面に残った農薬が除去されるようです。ですから玄米を食べるなら、信頼できる無農薬のものを選ぶといいですよね。
 また、油分の多い食事も要注意です。PCBといったある種の脂溶性の化学物質は脂肪として体内に蓄積され、排出されにくくなりますから。脂肪控えめで化学物質の排出をサポートする食物繊維をたくさん含む食事が理想でしょう。

<床島さん>
食べ物を選ぶコツや気をつけ方で口にする化学物質の量はずいぶん変わってきそう。いまお話ししていただいたような気をつけるコツやポイントが、情報として私たちに伝わってこないんですよね。『環境問題』と聞くと個人ではどうにもならないと思って関心が向けにくいのですが、そうした生活のなかで生かせる環境リスク軽減の方法はたくさん知りたいと思うのです。

<小山さん>
そんなことまで考えていたら生活できない!と思ってしまって終わりにしてしまいがちですよね。でも今のようなお話だと取り入れようと思えます。

未来の子ども達へ、今何ができるか?

<飯島さん>
妊娠中は特にそういった話が知りたいとき。でも、なかなかそういう機会が少ないことを自分のときに実感しました。アレルギーに関することなんて特にそう。私は母親学級に全部参加しましたが、アレルギーの話は一切ありませんでしたね。栄養や食事のことは教わりましたが、アレルギーの対策についてはまったくの情報不足でした。自己判断で、妊娠中はアレルギーが出にくいというヨード卵に変えたりはしましたが…。

<中島さん>
私はベビーコムのマタニティクラスでアレルギー対策として卵や牛乳を控える話を始めて聞いて、実践していました。でも周りの理解がまったく得られない。家族からもそんなことをしても無意味なのでは、という意見がほとんどでした。

<上田さん>
植物油なら安心、という意識を持つ方も多いと思いますが、過剰摂取はやはりよくない。コーン油やベニバナ油などの植物油はリノール酸という物質を多く含むのですが、この過剰摂取がアレルギーを起こしやすくすることがあります。とくにアトピー等の湿疹が起きやすくなるという話もありますので注意が必要です。

<床島さん>
これだけアレルギーの子どもたちが多いのに、あまり理解が進んでいないことは私も感じます。娘を公立保育園に預けているのですが、1才になるとそこでは皆そろって牛乳を飲ませる方針をとっています。娘や私はアトピーがあるので避けたいという意志を伝えても、理解してもらうことが難しかった。子ども達の3人に1人はアレルギーをもつ、といいますが、子育ての現場で働く人たちの栄養や治療法に関する理解が追いついていないような印象を受けました。

<小山さん>
育児書にも1才になるとフォローアップミルクから牛乳に変えましょう、と書いてありますものね。私も妊娠中、卵、牛乳はとりませんでした。市の栄養士さんから「栄養が足りない」と小言を言われましたけど。でも色々な立場の人たちが色々なことを言うから、情報を自分で取捨選択する必要があると思いましたね。

<飯島さん>
妊娠中にアレルギーはどういったもので、どう対策すれば怖くないかなど、そういった話をしてもらえる機会をつくって欲しいものですよね。


<上田さん>
食べ物、飲み物、衣服、住居など、生活のなかのいろいろなモノにどんなリスクがあって、どういうことに気をつければよいのか。アレルギーの発症の予防や化学物質をできるかぎり避けるためにどういったモノの選び方や使い方をすればいいのか。生活者の立場に立って判断するための情報が欲しい、というのが皆さん一致した意見のようです。
今、お母さん達に必要なことが見えてきましたね。妊娠前、妊娠中、妊娠後を通して環境を見たとき、気をつけるべきポイントをアドバイスするシステムの確立がそれなのではないでしょうか。

<床島さん>
妊婦時代にそういったレクチャーを受けることができれば、その後の出産、子育てを通してずっとその知識が生かせると思います。

<上田さん>
みなさんのお子さんはちょうど赤ちゃんから幼児期へと成長するころですね。親子だけの世界から、子ども社会へと徐々に踏み入れてゆくことになると思いますが、心配に思うことや気になることなどはありますか?

<小山さん>
やはりテレビゲームはさせたくないな、と思います。精神的な影響が気になりますよね。対、人とのコミュニケーション能力が養われないような不安があります。やっぱり大勢の人のなかで摩擦がありながらもつき合ってゆける、人間関係のさじかげんを知って欲しい。それは外で身体を使って、友だちとたくさん遊ぶなかで学んでゆけることだと思う。

<飯島さん>
凶悪犯罪を起こした子がゲーマーだったというのをニュースで知ると不安になりますよね。私も外で元気に遊ばせてあげたいなと思います。

<小山さん>
かといって全面的にやらせない、持たせないと仲間はずれになるのではないかという不安もあるのですが…。

<上田さん>
そうですね。例えば子ども達が大きくなって、携帯やパソコン、テレビゲームを欲しがるときがくると思うのです。あたりまえに周りがそれらを無制限に使っている世界の中で、ある程度の制限を子どもに与えたいと思った時、親は説得力を備えていなくてはいけない。際限なく使うことで身体と精神にどんな害が現れるのか。そういった情報を持っていると、大きな力となると思いますよ。

<babycom>
正しい知識を身につけて、それを生活のなかで実践していれば、子ども達にも受け入れる素地ができることでしょうね。このシリーズで紹介したことをぜひ、生活のなかで生かし、子ども達にもわかりやすく伝えてあげて欲しいと思います。
今日はみなさん、ご参加頂きありがとうございました。

トークから導かれること
「未来の子ども達へ 今、何ができるか?何をなすべきか」につづく


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子ども環境問題 インデックス

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2.子宮内環境は今・・・

3.ライフスタイルという環境

4.子どもの脳が危ない/脳の発達と環境リスク

5.胎児・子どもの電磁波感受性

6.未来の子ども達へ


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