マタニティと子育てに役立つ栄養学、シーフードベジタリアン

マタニティと育てに役立つ栄養学


5.海と大地のテーブル
かまぼこの栄養の中身


手間ひまかけずに魚を食べるなら、かまぼこがいちばん。前回はそんなお話をしました。主菜、副菜、汁もののどれにもとけ込めるうえ、保存もきく便利さがその理由。「でも加工してあるんだから栄養はもうないでしょ?」と思っている人は多いですよね。でもそれは大きな誤解。
今回は、かまぼこは栄養面でもとても優れているということをお話したいと思います。


タンパク質の宝庫、かまぼこ

低カロリー、脂肪燃焼成分も!

夏の栄養補給に「ひやおでん」

世界のSURIMIプロダクト


取材協力:鈴木たね子(すずき・たねこ)氏

農林水産省研究機関を経て、日本大学教授、国際学院埼玉短期大学教授。大日本水産会おさかな普及学術諮問会議座長、海洋開発審議会委員等を歴任。 現在は、国際学院埼玉短期大学客員教授、おさかなマイスター協会講師。「健康のための食生活」をテーマに、執筆、講演活動をしている。著書に『なぜ、魚は健康にいいと言われるのか?』(成山堂書)、『お魚を毎日食べて健康になる』(キクロス出版)など多数。



優秀な点を一番にあげるならば、まずタンパク質が豊富であるという点です。タンパク質は、私達の身体の筋肉や脳、内臓、皮膚などの材料。また、免疫細胞やホルモンをつくる材料でもあります。65歳以上の高齢者のうち、たんぱく質をしっかりとっている人ほど健康であるというデータが出ている程、私達の元気のもととなっています。かまぼこはそのタンパク質の宝庫。さらに、その質も非常に優秀であることがわかっています。

かまぼこの多くは、白身魚のスケトウダラ等を原料にしています。このような白身魚のタンパク質は筋肉をつくるということが最近の研究で明らかになってきました。歳をとって筋肉が少なくなり足腰が弱くなるロコモティブ症候群の予防にかまごこは有効です。

よもぎとうもろこしかまぼこちくわ

 では「タンパク質の質がよい」とはどういうことなのでしょうか? それは、タンパク質を構成している「アミノ酸」の内容にあります。タンパク質のなかには、食品から必ずとらなくてはならない「必須アミノ酸」というものがあります。ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン、フエニルアラニン、スレオニン、メチオニン、トリプトファン、リジン、バリンの9種類です。それぞれがエネルギーになったり、身体の材料になったり、生きるために必要な代謝に関わる重要なアミノ酸。魚には、これらのアミノ酸がバランスよく、すべて含まれているのです。それをまるごと加工したかまぼこも同じこと。原料となった魚が持つ良質なタンパク質が100%残っています。
 では肉のタンパク質はどうかというと、必須アミノ酸がちゃんと含まれています。しかし、肉を主なタンパク源とすると、脂質のとり過ぎになり、どうしてもエネルギーが過剰になってしまうんですね。その点、かまぼこならば低エネルギーなうえ、その脂肪は体内に蓄積されにくいという特徴も持っていますから安心。しかも赤身の魚に豊富な必須アミノ酸「ヒスチジン」は、脂肪の燃焼を促す酵素を活性化させることが、最近の研究でわかりました。かまぼこは様々な栄養をもっているうえ、食べても太りにくいといううれしいおまけ付き食品なのです。


 そんな栄養の宝庫、かまぼこに、野菜、こんにゃくなどを組み合わせれば、ほぼ完全食です。そこで私がおすすめしたいのが、かまぼこが主役のおでんです。暑い夏におでん?と思うでしょうが、これがおすすめ。かまぼこに豊富なアミノ酸が疲労を回復してくれます。しかもすり身で消化にいいから、弱った胃腸にもやさしいでしょう。にんじんなどをプラスすれば、カロチンなどのビタミンも補給できます。冷房による冷えが悩みなら、作りたての温かいうちに頂いて。暑い夜のビールのおつまみにするなら、一度冷蔵庫で冷やしてよく味の馴染んだ冷たいおでんもおいしいですよ。“夏のひやおでん”、ぜひおためしを。


かまぼこのような魚のすり身製品は日本だけで食べられているものではありません。魚に食塩を入れてよくすり混ぜ、ネバネバになった肉糊を形にして、加熱するというつくりかたは、意外にだれでも思い付くものなのでしょうか?
日本で発明された「かまぼこ」は、米国、中国、ヨーロッパ等でも人気でよく食べられています。原料はスケソウダラのすり身です。

■■■ヨ-ロッパ
クネール(quenelle):鶏肉や子牛肉、魚肉、エビなどの肉に塩を入れてすりつぶし、これにつなぎとして卵、小麦粉、牛乳などを入れます。これを絞り出し器やスプーンなどでボール状にして、茹でたり、オーブンで蒸し焼きにしたり、バターをぬった型にいれて蒸したりします。原料とする魚はマダラなどの白身魚やサケ、赤身の魚を使います。スープの浮き実にしたり、ソースであえたりして食べます。日本のかまぼこのように強い弾力はありません。卵白を入れ、はんぺんのように空気を抱かせて軽くしあげたりしますが、日本のはんぺんと違い生クリームやバターも使うため、味は濃厚です。

■■■東南アジア

マレイシア
魚ボール(Bebola ikan):白い外観の魚肉ボ-ルで、すり身に、塩、胡椒、たまねぎ、とうがらし、タピオカ、でんぷん等を入れます。ボ-ル状に成形して茹でたり、スープにいれて食べます。
魚ケーキ(Taahu ikan):魚すり身を型に入れて固め、適当な形に切り分けて油で揚げたもの。ス-プに入れたり、そばと一緒に炒めて食べます。

フィリッピン
魚ボ-ル(Bola-bola): 白身魚のすり身にコーンスターチ、ベーキングパウダーを加え、ボール状にして茹で、水切りしてから油で揚げます。野菜と一緒に料理したり、スープにいれて食べます。

シンガポール
魚ボ-ル(Hi-ei): 原料魚はタイから冷凍または、チルドで輸入されたものを使用しています。すり身に食塩1.5%、砂糖1.5%、コーンフラワー1.5%を加えてボール状にして茹でたもの。これを油で揚げる場合もあります。スナックにしたり、そばやスープに入れて食べます。

タイ
魚ボール( Luk-chin Pla): 魚のすり身に食塩2.5%と氷を混ぜて練り、ボール状にして茹でたもの。スナック的な食べ方では、串揚げにしたり、焼いたりし、辛いタレや甘いタレにつけて食べます。そのほか、そばやスープに入れても食べます。
フィシュ ヌードル(Ba Mee Pla):すり身に塩、小麦粉、グルタミン酸ソーダ、重曹を加えて練り上げ、そばにして食べます。

中国 
魚団:すり身に塩、デンプンその他調味料などを入れて練り、ボール状にしてから茹でます。日本のかまぼこのように弾力は強くなく、ボテボテした感じがあります。そのまま食べることはなく、油で揚げたり、油で炒めて食べます。原料の魚には淡水魚も使われています。

(談/鈴木たね子 構成・文/babycom)



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2.子どもの食卓、一日に一度はシーフード!

3.子どもたちの脳と心を健やかに育てるDHA

4.手間ナシ!魚のタンパク質たっぷりSURIMIプロダクト

5.かまぼこの栄養の中身

6.妊婦さん、授乳期のお母さんに“鉄分強化”

7.シーフードで離乳食

8.シーフードでおいしい母乳育児

9.子どもたちの“からだにおいしい”おやつとは?

10.幼児向けのシーフードおせちをつくろう

11.幼児食としてのかまぼこの健康機能性

12.マタニティのためのかまぼこの健康機能性




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