アメリカ不妊事情レポート-5
babycom ARCHIVE

ニューヨーク、ボストン、ロスアンジェルスで不妊治療を取材。 2002.12月

アメリカの家族観(2)

「国際養子縁組み」

養子縁組みという選択

国際養子縁組み

アメリカの家族観の中で



Bさんは46才。夫が1才半の娘を座らせたベビーキャリーを押して、会場に入ってきた。テーブルについたアメリカ人カップルに抱かれたその女の子は、黒髪のアジア系。ぽっちゃり太って、とても健康そうだ。

Bさんは40才のときに再婚。不妊治療を続けていたが、44才のときに養子縁組みをすることを決意したと言う。
「養子縁組みをするにあたって、いろいろな選択を考えましたが、私たちは中国からの養子を受け入れることにしました」
国際的に縁組みを紹介するエージェントは、アメリカにはたくさんある。ロシア、中国、韓国、南米からの養子がとくに目立つ。
Bさんカップルが依頼したのは、北カリフォルニアにある国際養子縁組みを行なっているエージェント。養子縁組みをするためには、さまざまな手続きが必要だが、多くの手続きはエージェントが代行してくれる。中国はひとりっ子政策が続き、ふたり目以降の子どもが生まれると養子に出さなければならないという事情を抱えている。

「カップリングが決まって、エージェントから赤ちゃんの写真が送られてきました。ファックスで写真が送られて来たのですが、私も夫もファックスの前で狂喜していました。『髪が見えてきた。顔が見えた。からだが出てきたわ!』と。そうしたら夫が『ずいぶん簡単な出産だなあ』って笑っていました。でも、私にとってはそれくらいうれしかったんです」
手続きに4ケ月ほどかかり、その後夫婦は2週間の日程で中国を訪れた。
「あちらの両親にとっては、ふたり目のお子さんでした。私たちは両親にも会って、生まれたばかりのときの写真をもらいました。私たちもこちらに戻ってきてから、娘の写真を送っています。でも、こうしたつき合いができるのは、ひじょうにめずらしいケースだとエージェントの方も言っていましたが」
Bさんカップルが支払ったコストは、エージェント料、渡航費、滞在費などを含めて、13000ドル。これは国内養子縁組みより低コストで、そのあたりも需要の多い原因のひとつになっているという。
「中国の人は野菜を多く食べている。アメリカみたいにハンバーガーショップで食事をすませることもないし、ノースモーキング、ノードラッグ。妊娠中の女性がとても健康です。その点も安心だと思いました」とBさん。

「目や肌の色が違っても、私たちの愛しい子どもです。彼女が来てくれたおかげで、夫婦の絆も強くなったように思います。今回、中国にははじめて行きましたが、あの国がますます好きになりました。自分の子どもの祖国なんですから」

取材:きくちさかえ(2002年12月)

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