快適な妊娠生活、そして出産・育児に備えて、今のうちに体を整えておきたい…。
そう願うプレマタニティのために、東洋医学の知恵に基づいた季節ごとの養生法、体のバランスを整える食生活、ストレスのコントロール方法などを伝授します。


東洋医学の知恵袋-4

「冬仕様」になっている体に、
負担をかけない


寒くなるにつれて、体の動きはなんとなく鈍くなってくる。ふと気がつけば、春から秋にかけて目を楽しませてくれたベランダの草木も、借景の緑地も、なんとなく寂しい感じだし、友人宅のリスも、心なしか昼寝の時間が多くなった気がする。人間だって、動きが鈍って当然なのだ。
だけど、人間界の場合、動物のように冬眠するわけにもいかない(したいけど)。

それどころか、師走だ、新年会だと、いつも以上に忙しい生活が強いられる。社会生活を営んでいる以上、ある程度仕方がないことなのだが、よく考えてみると、他の生き物がみんなおとなしくしている中、人だけが活発に動くというのも、ちょっと不自然な気がしないでもない。



体感するのは案外難しいけれど、実は、自然界に季節がめぐってくるように、人間の体にもまた季節に応じた変化が起こっている。
「体の変化?犬の夏毛・冬毛じゃあるまいし」と思う人がいるかもしれないけれど、夏と冬では、毛穴の開き方も血のめぐりも、明らかに違っているのだ。
例えば、冬と夏の体感温度。冬といっても、部屋の温度はだいたい23〜25℃くらい。場所によっては、27℃くらいまで上がることもある。一方、夏の冷房温度はといえば、やっぱり23〜27℃。つまり、部屋の中にいる限り、冬も夏もさほど気温は変わらないのだ。
でも、いくら家の中といっても、1年中同じ格好をしている人はいないはず。たとえ27℃でも真冬にTシャツ一枚では肌寒く感じるし、冷房の20℃だったら、セーターを着込むほどではない。冬と夏とで、これほどまでに体感温度が違うのは、湿度や光といった条件の違いだけでなく、人の体にも「夏仕様」と「冬仕様」があるからに違いない。

東洋医学では、こういう自然界と人間とのかかわりを重視するところがあって、季節ごとの養生法なるものもちゃんとある。それによると、冬は蓄えの季節、つまり、1年のエネルギーを養うべきときなのだという。体を温め、「気」を補うような食事を心がけ、たっぷり睡眠をとるのが、1年を元気に過ごすコツなのだそうだ。

冬に動作が鈍くなるのも、「ちょっと休もうよ」という体からの合図なのかもしれない。だとすれば、せめて寝られるときは寝て、体を外側からも内側からも温め、「冬仕様」になっている体に負担をかけないようにしたい。
これは、妊娠・出産を控えている人にとっても重要なこと。体を整えるためには、特別な健康法を実行するより、日々体に負担をかけない生活を送るほうが、ずっと効果的なのだ。
だからといって、冬にせっせと食いだめ…というのはNG。エネルギーどころか、よぶんな脂肪まで蓄えてしまうことになる。お正月や新年会ではくれぐれもご用心を。

by 高島系子 2000-2002

お産のための中医学 あわせて読みたい

お産のための中医学

中医学は、日常生活に活かせる知恵の宝庫。そして妊娠・出産、育児の 強い味方。

妊婦は太っちゃいけないの? あわせて読みたい

妊婦は太っちゃいけないの?高島系子(著)

妊娠中のさまざまなできごとについて東洋医学(中医学)の見地から書かれた他に類をみない本。


東洋医学の知恵袋

1.ダイエットは、自分の体に適した方法を

2.知っておきたい、妊娠中の花粉症対策

3.梅雨〜夏は、水分のとり過ぎにご注意

4.「冬仕様」の体に、負担をかけない

5.調味料を薬膳的に使い分けてみよう



babycom おすすめ記事
babycom Site
妊娠のために知っておきたいからだのこと妊娠のために知っておきたいからだのこと

月経のしくみ、基礎体温でこんなことまで分かる、男性の体もきちんと知っておこう、性感染症(STD)など


高齢出産&妊娠高齢出産という選択
ともするとリスクばかりが強調されがちですが、高齢出産でなければ得られない喜びやメリットもある。


babycom企画・著作 ebook
卵子story―女性のからだと卵子のひみつ
卵子も老化する!知っているようで知らない自分のからだ、卵子のこと。韓国、台湾でも出版

babycom おすすめ関連コンテンツ



TOP▲