快適な妊娠生活、そして出産・育児に備えて、今のうちに体を整えておきたい…。
そう願うプレマタニティのために、東洋医学の知恵に基づいた季節ごとの養生法、体のバランスを整える食生活、ストレスのコントロール方法などを伝授します。


東洋医学の知恵袋-2

知っておきたい、
妊娠中の花粉症対策


「今年の花粉の飛散量は、例年の数倍!」。冬に発表された長期予報にがく然とした人は多いはず。花粉をシャットアウトするマスクや、今年注目の健康食品などを買いに走った人もいるかもしれない。
「花粉さえ飛ばなければ、こんなに苦しい思いをしなくてすむのに」と、つい花粉を恨みたくなるけれど、よくよく考えてみると、花粉症とはフシギな病気だ。杉やヒノキ、ブタクサなどが自生する地域の人がかかる病気、というのなら分かりやすいのだけれど、実は、田舎より都会のほうが圧倒的に患者が多い。

ちなみに、最近は動物園のサルも花粉症になるらしい。人と猿とを一緒に語るのもなんなのだが、こういう話を聞くと、花粉症はやっぱり文明病なのだとつくづく思う。動物園のサルが野生のサルよりいいものを食べ、現代的な暮らしをしているだろうことは、容易に想像できるからだ。

こうなると、花粉症の原因を花粉だけに押しつけるわけにはいかない。だいたい、いくら大量の花粉が飛んでも、痛くもかゆくもない人だっているわけだし。かといって、親を恨むのもフェアじゃないので、ここはひとつ現実的に、どうすれば症状が軽くてすむかを考えてみたい。


いろいろなお医者さんに取材してわかったのが、花粉症というのは季節病のようにみえて、実はそうではないということ。秋冬の食生活とか、冷暖房とか、ふだんのストレスなどが大いに影響するのだという。特に大切なのが、シーズンが始まる前の冬の生活だ。
まあ、今年はもう遅いけれど、幸か不幸か花粉の季節は来年もやってくるし、プレマタニティの場合は、薬が飲めない妊娠中のことも考えておきたいところ。なお、妊娠中に発症する人もけっこう多いので、今は花粉症ではない人も予防法を知っておいて損はない。

まず、冬の生活のいちばんの注意点は、暖房をあまりきつくしないこと。ぬくぬくと快適な部屋に閉じこもっていると、自律神経のバランスが悪くなり、春の症状をますますつらくさせてしまう(鼻水やくしゃみには、自律神経の働きが大いに関っているのだ)。
それから、東洋医学のほうからいえば、食生活も冬らしくしたほうがいい。原則としては、ジュースやアイスクリームといった冷たいもの、それから生野菜や刺身などのなまものを控え、あったかいものを中心に食べること。自然界というのはよくできたもので、冬の野菜は、人参やネギ、じゃがいもなど、煮炊きしておいしいものばかり。そういうものをきちんと食べて、エネルギーを蓄え、花粉と戦う力を養っておきたい。


ところで、最近では漢方薬愛用者も多いようだけれど、思うように効き目が現れないとか、同じ薬をずっと飲んでいたら効かなくなった、という話もよく聞く。それはひとえに、薬選びが適切ではないから。漢方薬の場合、花粉症専用の薬があるわけではなくて、個々の体質や症状に合わせてチョイスしなければならないのだが、それがなかなか難しい。

例えば、薬局でよく見かける「小青竜湯」。体を温めて発汗させる薬なので、水っぽい鼻水が止まらないときや、花粉症になって間もない人には効果的だが、鼻水が粘っこく、目が真っ赤でかゆみも強いなど、「熱」タイプの症状が出ていたり、花粉症歴が長い人などには不向き。また、この薬には、発汗作用が強い麻黄という成分が入っているので、長く飲んでいると、汗をかきすぎて防衛力が低下し、薬の効果が出なくなることがある。腕のいいお医者さんなら、体力を補うような薬を組み合わせたり、薬の配合を変えるなどしてくれるのだが、自分で選ぶとなるとそうもいかない。

また、妊娠中も東洋医学的な治療は可能なのだけれど、妊娠すると体質傾向が変わるために、今まで効いていた薬が合わなくなることもあるし、漢方薬といえども妊娠中に飲まないほうがよいものもある。
そういったことを考えると、妊娠前の体のメンテナンスも兼ねて、今のうちに専門医に相談して、自分にはどんな治療法が合っているのかを知っておくのも悪くはないと思う。
なお、花粉症の治療を始めるなら、シーズンが始まる前の秋冬からがベスト。このこともまたプレマタニティ時の備えとして覚えておきたい。

by 高島系子 2000-2002

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東洋医学の知恵袋

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2.知っておきたい、妊娠中の花粉症対策

3.梅雨〜夏は、水分のとり過ぎにご注意

4.「冬仕様」の体に、負担をかけない

5.調味料を薬膳的に使い分けてみよう



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