プレマタニティ養生法で
快適な体と心を手に入れる

「今までは、すぐに薬に手が伸びていたけれど、出産を考えたときから、薬はできるだけ飲みたくないと思い始めた」というプレマタニティはけっこう多いはず。

...........心と体を緩める、極上のひとときを持とう

...........自然のサイクルとともに

...........「どう食べるか」は、「何を食べるか」より大切

...........症状別・おすすめハーブティー

監修:菅沼 栄 イラスト/白浜美千代



「肩がこる」「おなかの調子が悪い」「風邪をひいたみたい」など、ちょっと具合が悪いとき、どうやって治していますか? 「今までは、すぐに薬に手が伸びていたけれど、出産を考えたときから、薬はできるだけ飲みたくないと思い始めた」というプレマタニティはけっこう多いはず。

重大な病気の場合はもちろん薬も必要ですが、風邪や肩こりといった日常的な症状なら、薬に頼らなくても治すことは可能です。そもそも人間の体には、病気を自然に治す力が備わっているのですから、軽い病気なら、その自然治癒力を最大限に活かす方法をとりたいもの。

その方法のひとつが、休息です。「なーんだ」と思うかもしれませんが、体の不調は、「ちょっと休ませてよ」という体からの合図ととらえることもできるのです。それなのに、薬で無理やり症状を抑え込み、休息をとらずにがんばってしまうと、体に何らかの歪みが生まれ、本物の病気の原因を作りだしてしまうことになりかねません。

なお、休息といっても、単に体を休めるだけでは不十分。心も体もリラックスさせることが大切です。言うは易し、行うは難し…ではありますが、自分なりの休息法をみつける努力だけは、ぜひとも続けてください。
また、病気や不快な症状を防ぐためには、元気なときにもがんばりすぎず、ときには心と体、そして頭の緊張をとく時間が欲しいもの。好きな香りのアロマバスをゆっくり楽しむもよし、プロのマッサージを受けるのもよし。「忙しくて休む時間がとれない!」という人は、ごろんと横になって、おなかの底からゆっくり静かに呼吸をする、というだけでもかなりの効果があります。


自然界の中で生きている私たちは、自分でも気がつかないうちに、気候や風土の影響を体に受けています。植物が春になると芽吹き、秋になれば自然に葉を落とすのと同じように、人間の体も季節に応じて微妙な変化が起こっているのです。
そのため、毎日を元気に過ごすためには、自然のリズムに合わせた生活を送ることも大切。例えば、夏にエアコンをかけっぱなしの部屋で1日過ごしたり、冬に冷たいジュースや南国の果物ばかり食べるなど、季節に逆らうような生活をしていると、体調を崩す原因になってしまいます。
やはり、夏は夏らしく適度に汗をかき、どうしても蒸し暑いときには、冷房ではなく除湿にするなどの工夫が必要。冬も、暖房はほどほどにして、服装や食生活で冷えを防ぐようにしたいものです。

なお、プレマタニティの生活「東洋医学の知恵袋」で、季節に応じた生活術を紹介しています。今月のテーマは梅雨どきの上手な過ごし方。こちらもぜひご覧ください。


古代中国には、食べ物の薬効をすべて把握し、皇帝の健康管理を行う「食医」という職業があったのだそう。この「食医」は、病気を治す「疾医」より身分が高かったといいます。病気になってから治すより、病気を防ぐほうが重要、と考えれば、それも不思議ではありません。
プレマタニティ養生法で、快適な体と心を手に入れる
では、毎日の食事で健康を維持するためには、どんなことに気をつけたらよいのでしょう。体にいい食事というと、「体にいいものを毎日欠かさず食べること」だと思っている人もいますが、いちばん大切なのは、何を食べるかより、どう食べるかということ。まずは「バランスよく、規則正しく、腹八分」が大原則。また、食事は単に栄養を摂取する行為ではないことを考えれば、季節感や味、会話を楽しみながら、おいしく、気持ちよく食べることが基本といえるでしょう。
中国の養生法に、「朝は暖食、昼に良食(栄養のあるもの)、夕に少食」という考え方があります。まず、胃にまだエンジンがかかっていない朝は、胃の働きを損なわないように温かく消化のよい食べ物をとります。朝がゆは、もっとも理にかなった朝食といえるでしょう。昼は、いちばん活発に動く時間なので、栄養のあるものをとっても消化されますが、夕食は少しにしておくのが健康を守る秘訣。この養生法からすると、朝食抜きで夜重いものを食べる…という食生活は、あまり健康的とは言えないようです。

なお、食べ物の薬効を考え、食生活に取り入れるときには、「これとこれを○個ずつ、毎日必ず食べる」などとあまり構えすぎずに。ふだんの食生活に、東洋医学の知恵をプラスする、ぐらいの気持ちで十分です。また、「体からのSOSを見逃さないために」の【体にいいものは人によって違う】のところでもお話したように、自分の体質を考えた食生活を送ることも重要です。

※自分の体質傾向や、体質別の食生活アドバイスが知りたい方は、
【体質診断チェック】をどうぞ。




ちょっと具合が悪いとき、薬に頼らずに治すには、食べ物やお茶などによる手当ての方法も知っておくと便利。ここでは、おいしいくて手軽に作れるオリエンタルハーブティーを症状別にいくつか紹介しましょう。

【風邪】

黒砂糖入りジンジャーティー
寒けがする風邪のひきはじめに。スライスした生姜を2〜3枚お湯に入れ、軽く煮出してから黒砂糖を適宜加えます。

ミントティー
のどがひりひりと痛む風邪に。鼻づまりにも効果的です。フレッシュミントにお湯を注ぐだけ。新鮮なミントが手に入らない場合は、ドライミントでもOK。

ハチミツ入り菊花とビワのお茶
空せきとのどの痛みに。ビワの葉と菊花(乾燥品)を適量ポットに入れ、お湯を注ぎます。5分ぐらいしたら、ハチミツを加えて飲みます。(枇杷葉枇杷葉は自然食品店、菊花は中国茶専門店で手に入ります)



【食べ過ぎ】

サンザシ茶
脂っこい料理を食べ過ぎて胃が重いときに。サンザシは、甘酸っぱくておいしい中国の果物。肉など脂っこいものの消化を助ける働きがあります。スライスして乾燥させたものにお湯を注ぐか、軽く煮出して飲みます。(サンザシは中国食品店で手に入ります)

スパイスティー
冷たいものを食べ過ぎて、胃が冷えてしまったときに。生姜、シナモン、フェンネル、カルダモンを紅茶に加えて飲みます。このお茶は、胃を温めて、消化力を助ける働きがあるので、食前のお茶としても最適です。ただし、紅茶を濃く入れすぎないように。


【生理中のトラブル】

生姜とシナモンのお茶
冷えによる生理痛によく効くお茶です。生姜のスライスとシナモンスティックを軽く煮出し、黒砂糖を加えて飲みます。

ドライフルーツティー
血が不足がちになる生理中は、補血作用のある食べ物を積極的にとることも大切。おすすめは、とてもおいしいドライフルーツティー。干ブドウ、プルーン、クコの実、ナツメ、竜眼肉などのドライフルーツを、甘味が出る程度に煮出して、少量の紅茶を加えてすぐに濾します。(竜眼肉は、ライチに似た中国のドライフルーツ。乾燥品が中国食品専門店で手に入ります)


【胃の痛み】

ハマナスの花茶
形も香りもバラそっくりのハマナスの花は、東洋医学では「マイカイカ」と呼ばれる生薬。気や血をめぐらせ、痛みを止める作用があるので、ストレスによる胃痛にはぴったりです。熱いお湯と一緒に適量のハマナスの花をポットに入れ、そのまま飲みます。香りはよいのですが、味がほとんどないので、プーアル茶などとブレンドしても。(ハマナスの花は、中国茶専門店や中華食材店で手に入ります)

アジアンハーブティー
ごく薄目に入れた紅茶に、シソの葉、ミカンの皮(陳皮)、生姜を加え、濾してから飲みます。思いがけない組み合わせですが、オリエンタルな香りが魅力のおいしいお茶です。胃を温めて、消化を助ける働きがあります。

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