Donor Conception Network

Donor Conception Network

イギリスを拠点とする当事者の世界的ネットワーク、ドナー・コンセプション・ネットワーク

「ドナー・コンセプション・ネットワーク」は、世界的に著名な、配偶子(精子・卵子)の提供による親子のネットワークです。2016年、白井千晶さんが訪問し、インタビューを行いました。

白井千晶『「日本における妊娠葛藤・養育困難相談および養子縁組支援の現状と制度設計に関する研究」報告書』183ページより転載
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/handle/10297/10013


(掲載:2017年11月)

1993年に5つのDI家族で開始。卵子提供、受精胚提供などの方法によるメンバーも加わる。子どもの成長に従って、親のサポートだけでなく、子どものサポートもないように加える。子どもや周囲に開示すべきか、どのように開示すればよいか答えを探している家族が集まる。家族をつくる、子どもを育てることについての感情や経験の研究、支援をおこなっている。

Donor Conception Network
ホームページのタブは、異性愛カップル、同性カップル、シングルマザー、提供を受けた成人、友人や家族、専門職、の6種に分かれている。 内容別のタブは、ショップ、図書館、パーソナル・ストーリー、手紙、イベントやワークショップ、用語集、リンク集、問い合わせ、Q&Aに分かれている。

以下に紹介するように、様々な情報が提供されているが、会員になるとさらに次のような利点がある。

①メンバーとの個々の連絡(地域別リスト)、②オンラインフォーラムへの参加(会員制クローズド)、③電子リソース(電子メールによる月刊ニュース)や図書館へのアクセス(貸し出し可能)、④年2回の会議、⑤地元のインフォーマルなグループへの参加、⑥子どもや親の本、⑦子育て、テリング、対話に関するワークショップへの参加、⑧機関誌、⑨連絡やつながり、⑩電話やメールでのヘルプライン、⑪他の人との個人的な関係、など。

会員はイギリスが中心だが、世界中から参加可能。会員数は世界一と記されている。会員になると地域のメンバーリストが配布され、中心となる人を介して連絡を取り合うことができる。全国会議は、年2回、ロンドン(9月か10月)と、それ以外の都市で開催され、毎年140〜200任が参加する。託児もあり、スピーカーセッション(講演会)と、小さなグループでのワークショップがプログラムされる。8〜12歳の子どものために、専門職による子どものワークショップも開催される。親にも子にもぞれぞれ、よい関係性が形成されるだろう。地域の会合や、地域ごとのワークショップもある。機関誌は年に1〜2回で、そこには論文、記事、パーソナルストーリーや研究資料など様々な情報が含まれている。
DCNはHFEA、医師、研究者、カウンセラー、セラピスト、弁護士、衛生局などとつながりをもっていて、会員が抱える問題に応じて、紹介することもできる。また緊急ヘルプラインが10時〜15時に開設されている。メールでの連絡も可能。

年会費
二人親家庭 55ポンド
ひとり親家庭 45ポンド(無職は35ポンド、25ポンド)
専門職 30ポンド
提供を受けた成人は無料

ワークショップ
ワークショップは(異性愛カップル、レズビアンカップル、ゲイカップル、シングル別)
・将来親になる準備のワークショップ
・テリングとトーキングのワークショップ
・提供で生まれた子どものワークショップ

イベント
・全国家族カンファレンス
・メンバー同士のグループ
・地域別グループ

出版の例
Donor Conception Network
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提供を受けるかどうか
 イギリスでは事前のカウンセリングが半ば義務化している。(クリニックが実施したがらない)。気持ちを整理せずに子育てに入ると、もっと難しい感情が生まれてしまうので、ポジティブな感情で決定するのがよい。また、何かあったら、いつでもカウンセリングに戻ってきた方がよい。

子どもへのテリングについて
 子どもの年齢や成長段階によってテリングへの反応や周囲との関係が異なる。
例えば、子どもが就学時くらいは、本人は「かっこいい」から、提供で生まれたことを話したい。しかし周りはわからないので、関心がなく、すぐに別の話題になってしまう。
 7、8歳になると周囲もわかる。本人は関心があり、かっこいいから周囲に話したいが、学校ではからかわれたりするため、フラストレーションがたまる。
 10歳以上になると、周囲も理解できる。友人がからかうと「友人は程度が低い」と思い、傷つかない。提供で生まれたことは「comfortable」だと思う。unusual でspecialなことだから。身体の特徴を言ってからかうのと同じように、提供で生まれたことを周囲が話しても、アイデンティティを強く持っているので、傷つくことはない。

提供を受けて親になった人について
 子どものことを考えるには、自分を受け止めていないと、子どものことを考える段階でなくなってしまう。悲しみ、罪の意識、自然でないという考え、恥、隠し事といった感情があったら、グループに入る前に、一対一で話した方がよい。
 グループで話すときには、相手を否定しないこと、互いを理解しそれを示すこと、一緒に歩むこと。
 グループのファシリテート役の人は、オープンクエスチョンで(例えば、テリングの年齢はどう思いますか?)質問する。レクチャーしたり、結論を告げるのではなく、違う意見を聴き、皆で考えて答えを出せるように、グループワークをおこなう。会話の中から質問を取り上げたり、対立している部分について、どう思うか聞いて、それぞれが考えながら、全体で一つの結論が導き出せるとよい。

カンファレンス
 DCNではさまざまなワークショップを開催しているが、その他に年に2回、大きなカンファレンス(会議)がある。そこでは8〜12歳の子どものワークショップがある。
 このワークショップは、親が運営するのは望ましくなく、児童心理学の専門家、チャイルド・カウンセラーがおこなう。子ども中心で、サポーティブで、年齢に沿った、楽しい遊びをおこなう。楽しいと次の年も来る。その前に、どんな親か(異性愛カップル、レズビアンカップル、ゲイカップル、シングル、等々)、テリングしているか、どのようにしているか、を個別に把握しておく。テリングしていないと学びの場にならない。テリングは親の責任においておこなうことである。

白井千晶『「日本における妊娠葛藤・養育困難相談および養子縁組支援の現状と制度設計に関する研究」報告書』183ページより転載
http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/handle/10297/10013

卵子提供

卵子提供・代理出産を考えるプロジェクト CONTENTS

卵子提供の「いま」points of view

AIDで生まれるということ
 〜加藤英明さんに聞く〜

 Part-2:生まれてくる子どもの権利

卵子提供を受けた方へのインタビュー

資料室
卵子提供・代理出産についての日本の制度/海外の制度

図書室
卵子提供・精子提供・受精胚提供・代理出産・告知(テリング)等

カウンセリング
不妊相談/不妊カウンセリングの紹介


babycom テリングのための絵本
絵本 ずっといつまでも

『ずっと これからも—卵子提供で家族になった物語』

発行:babycom

精子提供をテーマにした映画


キッズ・オールライト


人生、ブラボー!



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