babycomでは21世紀ライフクリエート・ラボと共同の「卵子提供・代理出産を考えるプロジェクト」で、さまざまな方の経験や制度、書籍を紹介するなど情報提供とともに、皆さんからもアンケート・インタビューを通して意見や経験をうかがっていきます。


卵子提供・代理出産プロジェクト資料室

日本では、2011年2月現在、生殖技術・不妊治療に関する法律はありません。
したがって、卵子提供、代理出産を含め、何か生殖技術や不妊治療が、法に触れるということはありません。合法でも違法でもないというのが、現状です。
法制化を目指して審議会や専門委員会で報告書が作成されましたが、立法には至っていません。また、生殖技術・不妊治療をめぐって、裁判もありますが、異なる判決が出ていたりします。


1. ガイドライン・報告書

卵子提供・代理出産に関する法制度はありませんが、いくつかのガイドライン(方針)や報告書が出ています。


日本産科婦人科学会

・精子提供は、匿名ドナーで非営利(1997→2006年改正)

・卵子提供は、法が整備された場合に認める。その場合匿名

 ドナーからで、近親者間は認めない(2001年)

・精子提供は婚姻している夫婦で不妊に限る。

・精子の死後生殖を認めない(2007年)。

厚生労働省・厚生科学審議会・生殖補助医療部会
「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」
2003年)


・精子提供、卵子提供、受精卵・受精胚提供を認める。

・加齢による理由は認めない(50歳目安)。

・提供は匿名のドナーからで、兄弟姉妹間は認めない。

・金銭対価を禁止。

・子の出自を知る権利を認める。

厚生科学審議会先端医療技術評価部会・生殖補助医療技術に関する専門委員会(2000年)

・精子提供、卵子提供、受精卵・受精胚提供を認める。

・兄弟姉妹間からの提供を認める。

・代理出産は認めない。

・金銭対価を禁止。

・営利目的の提供、代理出産の施術斡旋は罰則。

・ドナーが許した範囲内で出自を知る権利を認める。

・出産者が母。

法制審議会生殖補助医療関連親子法制部会(2003年)


・出産者が母。

日本学術会議(2008年)

・代理出産は原則禁止、処罰対象は施術者、斡旋者、依頼者。

・子宮をもたない女性への臨床試験の余地は残す。

・海外で生まれた場合も、出産者が母で、養子縁組・特別養子縁組によって依頼者が親となる。

日本生殖医学会(2009年)

・卵子提供を受ける女性は45歳以下

・匿名でない提供(近親者・知人等)を認める。

・子の出自を知る権利を認めるが、一部制限(提供者の意思の範囲内)。

・卵子のシェアリングは見合わせる。

・テリングを促す。

有限責任中間法人 日本生殖補助医療標準化機関(JISART)(20087月)


・精子提供、卵子提供による体外受精を認める。受精卵・受精胚提供と代理出産は認めない。

・非匿名(近親者・知人等)の提供、卵子のシェアリングも認める(個々に検討する)。非営利に限る。

日本不妊学会(2006年)

・事実婚カップルにも体外受精を認める。ただしカップルの精子・卵子に限る。

日本受精着床学会(2003年)

・非営利の代理出産は法律で禁止するべきではなく、依頼者女性が子の母となるべき。

・卵子提供は妻55歳まで可能。

・提供は合意があれば匿名的関係でない場合も審査可能。

・凍結精子の死後生殖は、全面禁止か条件付き許可か今後見定める。(2004年)

日本弁護士会(2007年)


・死後生殖と代理出産の禁止を国に提言。

第三者が関わる生殖技術についての各団体の方針、報告書の内容について、詳しくは、
白井千晶『不妊当事者の経験と意識に関する調査 2004 報告書』6章をご覧下さい。

http://homepage2.nifty.com/~shirai/survey02/pdf/0601_chap6_AID.pdf


2. 判例・裁判例

●出生届の不受理

代理出産を依頼した女性(夫婦)を出産者(生まれたの子の「母」)とする出生届の不受理
<解説>子どもが生まれて原則的に2週間以内に提出することになっている書類は、左側が出生証明書、右側が出生届になっています。
出生届には、生まれた子の父母を書く欄があり、現行民法では「分娩者を母とする」解釈が判例になっています。依頼者女性、遺伝上の母を母とする出生届を自治体が受理しなかったことに対する裁判では、「子を懐胎し出産した女性が母」として、不受理は妥当だとしています。

●死後生殖

夫が死亡後に、凍結精子を用いて人工授精を受け出産した女性が、夫の子とする認知請求を訴えた裁判。
裁判所によって、異なる判決が出ています。(2006年最高裁では、夫の死亡後の生殖について認知請求を認めない判決。)

3. 日本国内で施行・施術する病医院の状況

●精子提供について
日本産科婦人科学会では、精子提供を実施する病医院は登録する決まりをもち、病医院を公開しています。

●卵子提供について
日本国内で実施を公表している病医院は多くありません。海外での卵子提供のサポート(情報提供等)をおこなっている病医院はいくつかあると言われています。
JISART会員施設では、JISARTの基準に則って精子・卵子の提供による非配偶者間体外授精をおこなっています。

●代理出産について
日本国内で実施を公表している病医院は1施設しかありません。

(文責/白井千晶)





points of view 1

ジャーナリストへのインタビュー
 日本の卵子提供のこれから

points of view 2 

コーディネーターへのインタビュー
 ▼ 卵子提供エージェンシー

 ▼ 生殖医療コーディネート会社

points of view 3

卵子提供を受けた方へのインタビュー

points of view 4

DIで産まれた方へのインタビュー
 非配偶者間の提供精子で生まれて

points of view 5

提供者のお話
 オープン・ドナー ダンさんのお話

Lecture

AIDで生まれるということ
 〜加藤英明さんに聞く〜

  Part1 AIDについて考える
  Part2 生まれてくる子どもの権利


卵子提供・代理出産プロジェクト資料室 資料室

卵子提供・代理出産についての日本の制度/海外の制度

精子提供・卵子提供で生まれた人と、提供した人をつなぐネットワーク


卵子提供・代理出産プロジェクト図書室 図書室

卵子提供・精子提供・受精胚提供・代理出産・告知(テリング)等


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