おじいちゃんと森へ
原作/ダグラス・ウッド　絵/P・J・リンチ　訳/加藤則芳 エッセイ/C・W・ニコル　平凡社

一緒に森をゆっくりと散歩しながら、おじいちゃんは、ぼくのいろいろな質問に丁寧に答えてくれる。
ある日、「祈り」のことについて聞いてみると、“この世で生きる者たち、すべてがそれぞれの方法でお祈りをしている”という話をしてくれるんだ。
「じっと耳をかたむけて聞いてみると、お祈りそれ自体が、(問いかけではなく)その答えだってこともよくあるんだ。」
おじいちゃんの言葉は、きっとたからもののように、ぼくの心の中に響いたように思う。
そして、おじいちゃんが亡くなって、少し大人になったとき、その森のなかで、ぼくはお祈りの言葉を聞いたのだ。

子どもが大人になって、幼い頃、自分と関わった人を思い出すとき、その人が自分と過ごした時間のイメージがあるはず。
買ってくれた「モノ」とか、連れてってくれた「場所」のイメージしかないのは、寂しいなあ。
こどもの「どうして?」がお祈りのひとつなら、それに答える大人の、真心のこもった言葉も「お祈り」であり、そんなことばを受け継いだ世界中の子どもたちの心と心が、いつかつながっていくのだと信じたい。

（文；森 ひろえ）

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