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babycomの育児Q&Aでは、子育ての悩みや不安そして疑問に専門家の方からアドバイスをいただきました。こちらもあくまで参考意見。ご心配の点は、お近くの専門家にご相談ください。

Q

海外での予防接種について

5歳の女児と10カ月の男児の母です。夫が単身赴任していた中国北京市に来て早1カ月がたちました。もっと早く家族揃って生活したかったのですが、下の子の予防注射の三混とポリオが終わらなければ来るなと夫に言われ、1年余り家族バラバラに過ごしました。本当は、日本脳炎やB型肝炎、麻疹等もしてきたかったのですが、生後五カ月で気管支炎で入院するという予期せぬ事態もあり時間がなくてできませんでした。中国の外国人向けクリニックでこれらの予防注射をしようかと思っています。

上の子も産まれたのが外国(英国)だったので、余り違和感がないのですが、日本と違って、一度にいくつも接種可能と言われます。4カ月の赤ちゃんを持つ日本人のお母さんと話す機会があったのですが、先日、三種・ポリオ・B型肝炎・Hib(髄膜炎)を一度に接種したとのこと。接種時も医師の検診はなく看護婦が接種します。「大丈夫か?」と聞くと、「一つずつするのは、日本だけ」と言われたそうです。英国でも三種とポリオは同時でしたが、Hibはその後でした。私も子供をクリニックに連れていったときに予防注射を勧められ、うるさく質問していたら、「日本人でしょう?日本人はみんな同じ事を言う」と言われ少々憤慨しました。

そこで、質問ですが、どうして日本では、一度に一つずつしかできないのでしょうか。日本式と英国やこの中国方式のどちらに従うべきなのでしょうか。それと、日本にいるときHibをしてくれるところを探したのに、ありませんでした。アメリカではHibは必須とも聞きます。なぜ日本では接種しないのですか。小児科の先生は髄膜炎は人種によって発生率が違うからと言っていましたが、接種する必要はないのでしょうか?予防接種についてどのような考え方を持っておくべきなのか悩んでいます。


A なぜ、まとめてしないのか、という点について。3種混合ワクチンや、一時日本でも行われたMMR(麻疹、風疹、おたふくかぜ)はいっぺんに3種類のワクチンをやるわけですから、日本でひとつづつしかしない、というのは厳密には正しくありません。
ではなぜ3種混合とポリオ、あるいは肝炎のワクチンを一緒にやらないのか、といえば、日本のワクチンを一緒にやって、免疫がつくのか(抗体ができるのか)、副作用がないのか、ということについてデータがないのです。

アメリカなどでは、随分前から7種混合(3種混合プラスMMR,プラスポリオ)をやっており、安全性が確立されています。ですから(日本のワクチンでは確認されていないことですが)私自身はその辺のことを親御さんに説明して7種一緒にやったことがあります。しかし、繰り返しになりますが、ワクチンは国によって少しづつちがうので、日本の現在やているワクチンで安全か、ということになると、「多分安全だが、確認はされていない」ということになるのです。また、万が一まれな副作用がでた場合、一緒にやるとなにが原因なのかわかりにくい可能性があるのです。ワクチンだけでなく、薬についても、外国で安全性や有効性が確率していても、日本で使うためには、独自の効果判定試験が必要なのです。それが良い制度なのかどうかわかりませんが、こどもの健康についていうと、少なくとも統計的に、世界一低い乳児や5歳以下の死亡率を作り出している背景の一つに、現行の医療制度があるのです。

 インフルエンザ菌のワクチン(Hib)は、髄膜炎を予防するためにアメリカで開始されました。日本でもやってはどうか、という意見がありますが、髄膜炎は日本は発生率がアメリカなどより低いのです。でお、それは人種差ではなく、住環境などの差だと思います。日本人でもインフルエンザ菌による髄膜炎が多いところに住むのでしたら、Hibをワクチンをしたほうがいいでしょう。でも、日本ではこのワクチンはつくられていません。

( 答えた人:榊原洋一先生/東大病院小児科/BC Message Boardより'98/5)

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