
電磁波の健康への影響5
妊娠と電磁波
電磁波の影響、おなかの赤ちゃんは大丈夫?
妊娠中の女性にとって、元気で健康な赤ちゃんを生みたい!というのは一番の願い。そのために食べ物や生活習慣など、今まで以上に気をつけるようになるものです。そんなプレママさんたちにとって気になるものの一つは、やっぱり電磁波の影響。お腹のなかの赤ちゃんにどんな影響があるの? どうすれば電磁波から赤ちゃんを守れるの? など気になる疑問を、上田さんに教えてもらいました。
妊婦さんだけでなく、これから赤ちゃんが欲しいと考えている人にとっても知っておきたい情報です。
babycom&NPO市民科学研究室 電磁波プロジェクト 2003年11月掲載 2005年9月更新
胎児は環境リスクにとてもセンシティブ
お腹のなかの赤ちゃんに電磁波はどんな影響があるのか?妊娠した女性たちが一番気になる疑問ですが、このことについては、今どれくらいのことがわかっているのでしょうか?
「まだまだ研究段階で、確実なことはわかっていないのが現状です。受精卵から60兆もの細胞になって、1人の人間となってゆく過程を猛スピードで経てゆくのが胎児期ですから、それぞれのステージでどれだけの影響を受けたのかをお腹のなかにいる状態で調べることはとても難しいんですね。しかし、はっきりしているのは電磁波に限らず、胎児が環境リスクに対してとてもセンシティブであるということ。既に生まれた子どもや大人と比べて、放射線や化学物質、電磁波などの影響を受けやすいということは確実です。」
イギリスでは、子ども達は脳がまだ発達の途上で頭蓋骨も薄いから、携帯電話からの電磁波の影響を受けやすいということが発表されていましたね。それを考えると、胎児は子ども以上に電磁波に対して無防備だと……。国立環境研究所の疫学調査では、小児白血病の原因に妊娠中のお母さんが電磁波を浴びたことが関係している可能性をあげていましたが?
「そのとおりです。疫学調査や動物実験では、いくつか妊婦と関係する電磁波の影響がデータとしてあがってきています。
約6倍ですね! ずいぶん確率が高くなるようですが、その16ミリガウスというのはすごく強い電磁波なんですか?
「それが、特別に強いものではないんです。身の回りの家電でも数十ミリガウスの電磁波を出しているものがありますし、電車に乗っていても場所によってはそれくらい被曝します。あとは影響の大きいものとして一番にあげられるのが携帯電話ですね。鶏卵を使った動物実験をフランスのBastideたちが行っていますが、携帯電話と同じレベルの電磁波を21日間鶏卵にあて続けたところ、ひよこの死亡率が50〜60%にもなったという結果が出ています。」
死産、流産に電磁波が関係するかもしれないことを示しているのですね。
「死産に関してもうひとつ注目したい驚くべきデータがあるんです。
ずいぶん急激に増えていますね! 男の子の出生数が減っているということですか?
「死産の性比の変化がただちに出生性比の変化に影響するとは言えないのですが、出生性比は確かに変わってきているのです。一般に出生数は女の子より男の子が多く、その出生性比は一定であることが知られています。女100に対し男106で1.06です。ところが戦後、主に先進諸国では男の子の出生比が徐々に下がってきました。このこと自体も何らかの環境の影響の現れだと考えられます。男の子の胎児というのは、環境のリスクを女の子よりも受けやすいと言われています。電磁波を浴びることで不妊になる可能性も
死産、流産に電磁波が影響していることがわかりましたが、不妊はどうなんでしょうか?
「不妊というのはプライバシーに関わることから、なかなか表に出づらい問題ですが、子宮内膜症の増加や精子数の減少を指摘する報告が出てきていることは事実です。妊娠したら周囲に理解を求めて
電磁波が妊娠、出産に何らかの影響を与えてしまうことを示すデータが出てきているんですね。
「いつどれくらいの量を受けると危険とか、どの程度なら安全とかがはっきりとしていない以上、胎児の影響を考えればできる限りリスクを避けることは大切です。
日本ではまだそういった国レベルでの指導がない以上、お母さん達は自分でできるかぎり気をつける必要がありますね。
「そのとおり。以前にお話したような予防方法(「知っておきたい電磁波の基礎知識:電磁波から身を守るには」、「この家電のここに注意!&こんな対策」参照)は最低限とって欲しいものです。
自宅だと自分で気をつけてある程度対策もとれますが、働いている妊婦さんの場合、オフィスでの対策が難しいと思いますが……。こういうことを言い出すのはとても勇気がいりますよね。少し変わった人、といった風にみられてしまうことも……。
「一般にはあまり知られていないことですから、なかなか口に出して言いずらいでしょうね。こういった、電磁波の弊害や対策についてはっきりと口にできない現状が、電磁波問題のやっかいな点です。勇気を出して、職場の人たちと相談してみてください。胎児の基準で考えたい安全基準
電磁波問題は、身体にどう有害なのかといったメカニズムがまだ解明されていないため、なかなか社会全体に認知されていません。きっと科学的に解明されてゆくのはまだまだ先ですよね。
そのとおりです。今まさに妊娠しているお母さんたちにとってはまったなしの問題ですから。社会が対策をとってくれるまでのんびりと待っていられないんです。
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