こんにちは いぬ
きたやまようこ/作 あかね書房 ¥756-
「おれ さんぽにいくと いろんなやつに あう。
いろんなやつ いろんなこと いう。」
犬を連れて散歩に出たことはあまりないけど、
ベビーカーに子どもを乗せて、毎日せっせと歩いていた頃は、
良いも悪いも、いろんな出会いがあったもの。
「今が一番大変でしょう」・・・うるうる。ありがとう。
「今が一番いい時よ」・・・これからは下り坂かい?
「ずいぶん日焼けした赤ちゃんねえ」・・・黄疸ですよ。
「紙おむつじゃないの? うわあ珍しい」・・・。
ある時は、いきなり赤ちゃんのほっぺをぎゅっとつまみ、
「うん、この感じは母乳ね!」と言うおばさんまで現れた。
たいていのことは、笑ってすませるんだけど、
あまり元気がない時は、悪気のない言葉にも、
何だか落ち込んでしまったりしたものだ。
犬もそうなんだ・・・と、この絵本を読んで気がついた。
「ぼっちゃん? おじょうちゃん? おなまえは?」
「何たべさせてるの?」
「すごいかお。この犬おこってるの? かみつく?」
「おおこわい。あっちにいこうね」
行きずりの人の言葉に、ゆううつな顔になるゆうた。
じんぺい(犬)は、ゆうたをひっぱるように首輪についたひもをピンとはって、
メッセージを送ってくる。
「ゆうた ひとのいうことなんか きにするな。
おれはおれだ。」
(文;森 ひろえ)