きみなんかだいきらいさ
ジヤニス・メイ・ユードリー/文 モーリス・センダック/絵
こだまともこ/訳 冨山房 ¥734-
この世に生まれて共に4ヶ月の時、散歩の途中で運命的に出会い(笑)、一緒に水を浴
び、砂にまみれ、泥につかりながら成長してきた息子のタイガと近所のこうちゃん。
初めての会話は「行こ」「うん」。初めてのサイクリング。初めてのギャグ。
初めての・・・シリーズはいくらでもあるけど、ケンカだけは覚えていない。
一緒に遊んでどちらかが泣かない日はなかったような気がする。どうも本気なんじゃ
ないかと感じる時は、それぞれの子を抱えながら、母親同士が困った視線を送り合う
んだけど、あっという間にゲラゲラ笑ったりなんぞしている。あきれるほど真剣、笑
えるほど単純だ。
「ジェームスとぼくはいつもなかよしだったよ。
でもきょうはちがう。ジェームスなんかだいきらいさ」
ここから始まるお話は・・・どこかで聞いたものばかり。
ひとり遊びが多い時期から少し成長し、友達と遊ぶ時期になると、問題が起こるのは
当然だ。
公園で、親が子どものケンカをすぐに止めてしまったりするのをよく見かけるんだけ
ど、友達におもちゃを取られた時のくやしい思いや、砂をかけられた時の嫌な感じは、
ホントはたくさん体験した方がいいのにと思う。何回かくやしさを体験したら、それ
をバネに自分の主張ができるようになったり、人に優しくすることができたり・・。
子ども同士で解決できる力は、ホントは子ども自身の中に持ってるはずだと思うんだ
けど。
・・・でも注意しなければしないで、親が文句言われたりするのも辛いけどね。
その点、こうちゃんのお母さんとは、「いつものこと。お互いさま」の関係ができて
いて、「とりあえず見てようか」という視線を送りあう。こういう友達はありがたい。
さて、息子はもうすぐ幼稚園。
「幼稚園行かないよ。先生のいうこときかない。お友達と仲良く遊ばない」
と今のところ言い続けている彼に、一体何が起こるのか?!
この絵本の最後にある2人の笑顔を心に秘めて、来るべき事件を楽しみに待ち受け.
ることにしよう。
(文;森 ひろえ)