ねぎぼうずのあさたろう
飯野和好/作 福音館書店 ¥1,296-
実家の朝。息子と私。私の父と、三人の静かな朝ごはん。大好きなのりごはんを口に運びながら、
窓の外でさえずる鳥の声を聞いたとたん、
サッと表情を変える息子。
そして出た言葉は「・・・・はるがすみ~」
驚いてふっと顔をあげる父。息子は絵本の導入を語り始めた。
「むさしのくにのつちのかおり とあるのどかなむらのなは ちちぶごうりは あさつきむらよ いろじろまあるくぴりりとげんき はたけそだちのおとこのこ そのなもねぎぼうずの・・・あしゃたろー」タイミングよくチ−ン!と箸で茶わんをたたく父。お見事。何ごともなかったかように、のりごはんの世界にもどる息子をまじまじと見て、父が私に言う。
「おめえは一体、子どもに何を教えてるんだ?」まあ、そう思うのも無理はねえよ。おっとさん。
[二代目広沢虎造風浪曲節]って言われても、何かよくわからないけど、読んでるうちに、それなりになってくる自分を止められない。盛り上がり過ぎて眠れなくなるので、我が家では寝る前におっとさんに読んでもらうのだけはやめました。
みんなで散歩してた時、畑を指差して
「あっねぎぼうずだ~」と言う子どもに、
「あれはね、あしゃたろうっていうんだよ。あしゃたろう!」と力説し、煙たがられて半べそかいてた息子。
起承転結はバッチリ。
一度読んで聞いたら忘れられないあさたろう。日本人の遺伝子がくすぐられるこの絵本を一緒に楽しめる 3才児はどこかにいませんか?
(文;森 ひろえ)