東洋医学からみたプレマタニティの体

女性の体は不思議です。何もしなくても、ある年齢になれば初潮が起こり、徐々に妊娠・出産が可能な体になっていきます。


.......14歳、35歳、49歳…。女性の体は7の倍数で変わる?

.......女性の一生は、「血」につかさどられている

.......舌で健康チェック

.......血のめぐりと、目やストレスの関係

   監修:菅沼 栄  イラスト/白浜美千代

診断プログラムで、ぜひチェックしてみて下さい。

一分間診断法

女性の体は不思議です。何もしなくても、ある年齢になれば初潮が起こり、徐々に妊娠・出産が可能な体になっていきます。そして、加齢とともにその能力も低下し、どう努力しようとも、いずれは誰もが閉経を迎えることになります。

「人類は進化しているんだから、妊娠可能な年齢もどんどん長くなっていくのでは」と思うかもしれません。確かに、初潮を迎える年齢は年々早くなっていますし、高齢出産も増えています。でも、人類の歴史からみたら、それはほんのわずかな差でしかないのです。今から2000年くらい前に書かれた中国の医学書に、こんなことが書いてあります。「女性の体は7の倍数で変化する」。

例をあげてみましょう。まず、「7歳で乳歯が永久歯に抜け代わり、14歳で初潮を迎える」。これは、現代と多少のずれはありますが、2000年にして2〜3歳の差というのは、ちょっと驚きです。そして、「28歳で体がもっとも充実するが、35歳になるとだんだんと肌や髪が衰えだし、42歳では髪に白いものが目立つようになる」。これに至っては、「痛いところをつかれた!」という感じではないでしょうか。

昔と比べたら、今の女性はとても若いように思えますが、肌の衰えや体力の低下などは、けっこうみんな早くから悩んでいるもの。見た目はともかく、中身は思うほど進化してはいないのかもしれません。
そして、「49歳で月経が停止する」。これは、多少の個人差はありますが、平均としては現代もほとんど同じ状況です。


妊娠中に貧血になったり、産後に髪の毛がごそっと抜けて驚いた、という話を聞いたことがありませんか?
これは、妊娠・出産、そして授乳はとにかく血を大量に消費する仕事だから。妊娠中は、おなかの赤ちゃんを育てるために、今まで以上に血が必要になりますし、出産には出血がつきもの。母乳を作るのも血の役目です(なお、東洋医学でいう「血」は、西洋医学の血液とは少し解釈が異なります)。
髪の毛もまた血から栄養をもらっているので、抜けたり、ツヤがなくなったりするのも道理なのです。健康な人なら、そのうち血の量も機能も回復しますが、もともと血が不足ぎみの人、血のめぐりが悪い人などは、産後に体調を崩してしまうこともあります。
また、出産を経験しなくても、毎月月経という出血がある女性は、男性に比べるとどうしても血にトラブルが起こりがち。そのトラブルを最小限に防ぎ、血を健康な状態に保つことが、プレマタニティ養生法の第一歩、といえます。

「私の血はどうなっているのだろう?」と心配になった方。
まずは、次の【1分間診断法】で血の状態をチェックしてみてください。



プレマタニティにとって、血を健康な状態に保つことは、とても大切なこと。バロメータとなる月経の状態、肩こりや頭痛の有無、肌や髪の調子などには、いつも気をつけていたいものです。
それからもうひとつ、ちょっとおもしろい方法を紹介しておきましょう。それは、自分の「舌」をみる方法です。血が滞っていると、舌全体がくすんだ色をしている、舌の表面に紫色の斑点がある(小さな突起がところどころ紫がかっていている)、あるいは、舌の裏の静脈が紫色になっている、といった特徴が現れます。また、血が不足している人の舌は、全体的に淡い(赤みが薄い)色をしています。

舌で体の状態がわかるというのも、ちょっと不思議な気がしますが、これは、れっきとした東洋医学の診断法(舌診といいます)。毎日観察していると、「胃腸の調子が悪いときや、ビールを飲み過ぎた翌朝には舌の白い苔が増える」といった変化も分かり、舌は体調を映し出す鏡だということが納得できるはずです



東洋医学には、血のめぐりや量をコントロールしているのは、「肝」という臓器(西洋医学の「肝臓」とは解釈が異なります)だという考え方があります。
肝の働きは、まず、血を蓄えたり、流れを調節すること。女性の月経をコントロールするのも肝の役目です。そしてもうひとつ、肝には「精神・情緒面をつかさどる」働きがあると考えられています。
「血を調節する機能と、精神面とが一緒に管理されているなんて」と不思議に思うかもしれません。でも、よく考えてみてください。カッとなったときに、頭に血が昇ったり、ストレスで生理不順になってしまったり…。血のめぐりと精神状態は、実に密接な関係があるのです。
女性の体は7の倍数で変わる?
なお、目の症状も、肝の機能と深い関係があります。よく、産後は目が疲れやすくなるので、テレビや文字を見ないほうがいいといわれますが、これは、出産による出血で、肝が蓄えられていた血が大量に消費され、目にまで栄養が行き渡らなくなるから、と考えることができます。

産後でなくても、目が疲れやすくなったり、しょぼしょぼするのは、肝が機能失調を起こして、血に何らかのトラブルが起こっているせいかもしれません。一時的なものなら問題はありませんが、あまり長引くときは、単なる疲れ目と侮らず、「1分間診断法」にあるような症状が他に出ていないかどうかチェックしてみたほうがいいでしょう。

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