子どものからだと病気 子どものからだと病気について
ウイルス性胃腸炎

まだすごい流行という程ではないのですが、ぼちぼちでてきているな、という印象があります。ウイルス性胃腸炎というとなんだか重症みたいですが、お医者さんではわかりやすく「おなかにくるかぜ」といわれます。
おなかの症状、つまり下痢や嘔吐が症状の中心である病気です。

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夏にも夏風邪の一種として流行ることがありますが、多くは冬に流行ります。
有名なものにロタウイルス性の胃腸炎があります。別名、冬季乳児白色下痢症。白っぽい(または、クリーム色の)下痢が特徴です。症状としても重いことが多いと同時に、とても他人にうつりやすいということで有名です。だから、集団生活をしている赤ちゃんにより多く、病院でうつってしまったという話もよくあります。

典型的な経過では、最初に発熱と嘔吐があり、続いて下痢が続きます。発熱は結構高いですがあまり長くは続かないことが多いです。嘔吐も激しいけれど、これも長くは続きません。問題は下痢。これは、重症だとかなり長引きます。冬に、このような症状で始まった下痢が白っぽかったら、迅速診断でロタウイルスと診断できる病院もあるので(また特徴的だと見ただけでもわかる)、一応診察を受ける時は便を持っていって診てもらうのもいいと思います。ただ、ロタウイルスとわかっても、このウイルスに効く特殊な治療があるわけではありませんが。
こういうおなかにくる風邪は、嘔吐下痢が急激で改善せず、水分をどうにも受け付けないということになると脱水になります。発熱だけでも脱水になりやすくなります。大抵は吐き気がおさまりなんとか水分がとれるようになって、発熱も落ち着き、下痢だけ続いてもなんとかしのげるということが多いのですが。でも、なかには点滴が必要なほどの脱水になったり、もっとひどい時は入院して持続点滴をしなくてはならないこともあります。

おなかにくる風邪の治療はおなかを休めること。 嘔吐も下痢も激しく、脱水症状が明らかなときの治療は、つまり絶食絶飲治療です。
これは全く口からは何もあげない治療で、これは家ではできません。口から何もあげないで、水分を点滴で血管にいれてあげ脱水にならないようにします。
ここまでひどい状態でなく家での看病ができる場合でも、やはり口からあげるものには注意しないと、再び下痢が悪化したり、いつまでも長引いたりします。下痢は長引くほど、簡単にいうと腸の粘膜が荒れて二次的な乳糖不耐症という状態になり、ますます治りにくくなります。

はじめに多い症状である嘔吐がひどい時は、吐き気止めもあります。座薬で処方されることが多いのですが、吐き気が止まったからといって、急に水分をいっぱいあげるのはやめましょう。最初は少しずつ、様子をみながらあげます。吐いているときの水分はお茶や湯冷まし、赤ちゃん用のイオン飲料などがいいでしょう。

おっぱいは大丈夫です。吐きやすいときの水分補給は少量頻回を心がけてください。嘔吐が落ち着いて、下痢の症状が中心になってきてからが水分補給と食事療法ということになります。水分はこまめにとって、おしっこが出てるか注意してみてください。


家での治療で一番大事なのは、食事療法

家での治療で一番大事なのは、食事療法です。いかに下痢を悪化させずに食べられるようにするか、ですね。おっぱいは好きなだけあげていいと思います。ミルクはひどい下痢の間は半分くらいに薄めに作ってあげるのもいいでしょう。
食事療法といっても、何も難しい食事を作りなさいというのではなくて、消化のいいものを少量づつ開始しておなかの様子をみながらゆっくり元に戻しましょうということです。

最初はおかゆやよく煮たうどんなどをを少し、それから、澱粉質の多い野菜や消化のいいたんぱく質など。離乳食をやりなおすつもりでね、とお話しています。もちろん、おなかの具合をみて大丈夫そうなら量も内容もアップしていっていいのだけれど、加減がわかりにくいですよね。慎重に・・・ということです。果物はりんごのすりおろし以外はやめておいた方が無難でしょう。
この食事療法、これが思っているよりも大変なことがあります。「みんなは食べているのになぜダメなの」と、もともと食欲旺盛な子は泣くでしょうし、うっかり出してあったものを勝手に食べちゃうということがあったり、同居している家族があげてしまったり。

薬の治療もありますが、食事療法がきちんとできていないとやはり長引きます。薬は、抗生物質は普通使いません。ウイルス性ですから細菌に効果のある薬は意味がないだけでなく、副作用としても下痢があるからです。処方される薬は、先ほどの吐き気止めや整腸剤などが中心です。

下痢は普通の場合で、1週間弱といったところでしょうか。長いと2週間近くかかってしまうこともあります。それともう一つ、下痢を処理したら手をよく洗いましょう。赤ちゃんほどの激しい症状はないですけれど、大人にも感染することがあります。看病疲れのお母さんに感染してしまって子どもは治ったのに・・・ということって結構あるのです。子どもの病気の間は気を張っていて、子どもが治ったとたんにという感じです。子どもの看病とともに、お母さんも健康管理を忘れないように、部屋は汚れててもいいから、お母さんは最低限の睡眠と栄養を確保しましょうね。



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