ロハスな生活・新しい発想の提案
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Lohas ロハスな台所5

ロハスな生活・新しい発想の提案-3

人は、地球というエネルギー回路のなかの「通過点」

わたしたちが忘れかけている「もったいない」というセンス。
今、この言葉には新たにロハスな意味づけがなされ、世界に広まりつつありま す。
地球上のエネルギーの巡りを知ったうえで、地球規模で考える節約とは?
そんなロハスな「もったいない」センスを身につけるためのヒントを市民科学研究室の上田さんに語ってもらいました。

「地球とわたしの快適性」[対談]中村幸代 vs 上田昌文

アンケート「オール電化住宅は、地球にやさしい?」結果掲載

協力/NPO法人市民科学研究室 2006年3月掲載





本当の節約って何だろう?
MOTTAINAIは地球を救う」と言ったのは、2004年ノーベル平 和賞を受賞した環境保護活動家のワンガリ・マータイさん。
彼女は、日本人ならではのモノを大切にするセンスを表した「もったいない」という言葉を、消費の削減や資源の再利用を世界へ訴えるための合言葉として使っています。
「ごはんは最後の一粒まで食べきる」「小さくなった洋服はおさがりに」など、日本人の生活のなかには、もったいない精神に根付いたセンスがそこかしこにちりばめられてきました。そして今、この言葉はもっと広い意味を新たに孕み、環境保護のキーワードとなりつつあります。個人の生活の場からさらに広いステージである、地域、国、地球レベルの視野からみた「もったいな い!」というセンスを身につけることが、地球環境の負荷を減らすことにつながると、マータイさんは考えているわけですね。
そこで今回は、本当の節約とは何だろう?ということを考えたいと思います。わかりやすい例えとして毎日食べる野菜を挙げてみましょう。
最近、大型スーパーへゆくと、有機野菜(あるいは無農薬野菜)と農薬使用の野菜の2種、置いていますよね。どんな店でも前者のほうが値段が高い。だから少し迷った末に農薬使 用の野菜を選ぶ人は多いでしょう。わざわざ高い野菜を買うのは「もったいな い」から。しかし、地球レベルの「MOTTAINAI」センスをここであてはめて考えてみると・・・

化学肥料を過度に使う野菜作りは土壌を疲弊させ環境を悪化させるから「MOTTAINAI
農薬を身体に取り込み続けると、自分の健康を損なう恐れがあるから「MOTTAINAI
こんなふうに変わります。
値段が安くても、環境負荷や健康被害のリスクが 高いものは「もったいない」と考えることができるわけです。これがロハス的 視野からみた節約というわけです。地球と自分の身体にやさしいものを選ぶこ とが本当の節約につながる、と考えます。

もっと強烈に「もったいない!」と共感できる、面白い指標があります。 「エコリュックサック」というもの。たとえば1トンの銅を得るためには、鉱 石、土砂などの自然資源500トンを移動する必要があり、この場合のエコ リュックサック値は500となります。
物質を得るために、他の物質の移動量はどれくらいだったのかを表す数値というわけですね。1を得るために500の労力を使う・・・これは実にMOTTAINAI!

「仮想水(バーチャルウオーター)」という考え方も面白いですよ。これは、 農作物や製品の製造に使われた水を、その製品の購入者が消費したと考えるものです。たとえば一杯の牛丼には牛肉やご飯、たまねぎが使われており、それ ぞれが多量の水を消費することで育てられています。それらをトータルして計 算すると、一杯の牛丼に使われている水は、なんと2トン! なかでも牛肉が 水の消費量を多くしているそう。まさに「もったいない」話ですよね。



本当の節約って何だろう?
また、環境負荷の高いものは私たちへの健康被害のリスクも高い、ということも言えるわけです。私たちは、地球上の物質とエネルギーがめぐる通過点の ひとつ。人と地球は一連托生の関係です。大地や海からとれた食べ物を食べ、それを消化吸収して細胞に取り込みつつ、全身で60兆個ほどある細胞は100日〜200日の間に約50億個も入れ替わります。分子のレベルでみれば、人体 を構成するすべての分子が、速度の違いはあれ、入れ替わります。

これらすべ てが食べ物の摂取によってもたらされているのですから、人間の身体も、大き な物質循環の一部として絶えず流動していることがわかります。まさに物質と エネルギーの流れの“結び目”あるいは“通過点”なのです。環境中に出され た有害なものはその流れをとおしていずれ私たちの身体にも巡ってくる。有害 物は大気や水で薄めて拡散させればいい、大地に埋め捨てればいい、というや り方が危ういのは、あらゆる生物が常に今言った流れの中にいるからなのです。

では、地球環境や私たちの身体にとって負荷が高いものはなんだろう?それを見分けるには二つのポイントがあります。
ひとつは「土に還らないもの」。たとえばプラスティックやコンクリート、 土壌に残留する農薬や重金属などもそうです。これらは分解が困難なせいで、地球上での循環を滞らせてしまうか、あるいは 循環の流れに乗って人体に入っても有害性を発揮し続けるかという、大変やっ かいなものたちです。

ふたつめは「有限の資源を使い切ること」。化石燃料がそれですね。石炭はまだたくさんあるけど、使えば地球がさらに温暖化に傾く。今のペースで消費し続けると石油がもうあと100年持たないことは誰もが認めるでしょう。天然ガスも今 の増加率で消費が進めば同じようなものでしょう。早い段階で再生可能なエネルギー(風力、水力、太陽熱、バイオマスな ど)に切り替えることが急務なのです。
ヨーロッパの一部の国ではこの試みが活発に行われ、大まかに言って、オーストリアでは7割、スウェーデンでは4割、ポルトガルで は4割が再生可能エネルギーにシフトしています。
ちなみに日本は、消費エ ネルギーのうちの自然エネルギー利用はなんと0.2%。このように、非常に立 ち遅れていることはあまり知られていない事実です。



地球環境という外なる自然と私たちの身体という内なる自然とは物質やエネルギーの循環をとおして結ばれていて、よりよく保っていくためのメカニズムにどこかしら共通点があるように思います。そのメカニズムとは何でしょう?
そのため のヒントが、「もったいない」というセンスをはじめとした、日本人の伝統的な生活の工夫や技にあると思うのです。
具体的にいえば、風呂敷や湯たんぽなどいろんな用途に使えたり、ほとんどエネルギーらしいエ ネルギーを使わなかったりする道具。日本の風土のなかで快適に過ごすための機能(日差しを遮る庇や軒、断熱 効果の高い土壁やわらぶき屋根など)がつまっている伝統的な日本家屋。調理が省エネで、様々な保存の工夫ができ、カロリー控えめで栄養 バランスが抜群の和食。
こうした日本的なエッ センスがつまった生活を改めて見直して、現代の生活のなかに取り入れられることを復活させてみる。そして、お金をかけず、モノを持たずにいかに楽しく生活できるかを改めて考えてみてはいかがでしょうか。すると、自分が自然の流れのなかの通過点であるという意識が生きてくる。それをロハスな生活の基 本としてほしいと思います。



地球のエネルギーやモノは、めぐり巡って私たち、子どもたちの身体を通過してゆくもの。上田さんのお話から、いままで意識していなかったことに気がつかされました。身体に取り込むものなら害のないものを、と思うのはあたり まえのこと。ましてや自分の子どもたちのことならなおさらそう思うものです。
とはいえ、ストイックにすべてをエコロジーな生活にシフトするのは、子育て世代にとっては非常につらいこと。CО2を排出する車で保育園へ送り迎えをしていたり、冷蔵庫で離乳食をストックしていたり。ひとつひとつに罪悪感をかかえていたら、ぐったりと疲れてしまいます。

音楽家の中村さんは、まさしくそんな心持ちのときに、ロハスに出会いまし た。「地球にもやさしく、自分にもやさしく。その懐の広さに救われまし た」。
市民科学研究室の上田さんは「環境にかかわるいろんな問題がどこかでつながっています。だからこそ、そ のつながりを見すえながら、自分でできそうなことやってみたいところからエ コロジカルな選択をする。それがロハス的思考」といいます。そんなゆるやかな選択をしていいロハスは、子育て中のわたしたちにも無理なく受け入れることができます。

地球にやさしいそんなライフスタイルは、つまり子どもたちの身体にもやさしいということ。子どもたちは親が守りたいと願う、最も大切で身近な自然。
自分たちも元気に、子どもたちも元気に。さらにもっとその先の子どもたち も…と思いをはせてゆけば、エネルギーやモノの選択に迷いはなくなりそうです。


Lohas ロハスな台所

Lohas ロハスな台所 INDEX

1.キッチンの中のエネルギー

2.ロハス的思考で変わる台所仕事

3.ガスと電気の違いはどこにある?

4.一日に電磁波どれくらい?電磁波チェック!

5.ロハスな生活・新しい発想の提案

地球とわたしのロハスライフ by 中村幸代


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