産院を選ぶとき
出産場所を決めるときには、まずいくつかの施設に、電話で問い合わせてみるといいでしょう。電話での対応も判断基準のひとつになります。直接行って、説明を聞いたり、パンフレットをもらってくることもできます。
医療内容に関しては、外来や出産準備クラスなどで質問したり、その施設で出産した人に聞くことができるでしょう。
何回か受診してみて、「自分には合っていないかもしれない」と感じたら、転院することは可能です。里帰り出産や転居など、途中で転院される方はたくさんいます。
葛飾赤十字産院では、妊娠検査に来られた方には、外来のあと助産婦による相談室でガイドを受けていただいています。病院の健診や出産の内容をいくつか紹介して、まず選択肢があるということを説明します。もちろん、ご希望があれば、それも聞いています。さらに、出産の準備クラスなどで具体的に説明した上で、バース・プラン*を書いていただいています。
インフォームド・チョイス
葛飾赤十字産院では、産む人のニーズに答えるために、選択肢を用意しています。これまでは分娩台の上で仰向けの姿勢で産むことがあたりまえのように思われてきましたが、産む人が一番楽な姿勢で産めるようにも配慮しています。こうした出産方法はフリースタイル出産と呼ばれているものです。
また、分娩姿勢だけでなく、正常な出産の場合の医療的な処置についても説明しています。従来の出産には、ルーチンと言って、あらかじめ用意された医療処置がたくさんありました。たとえば浣腸や剃毛、会陰切開などは、ほとんどの出産で適応されていたのですが、こうした医療処置は今、医学的にも見直されるようになってきています。
必要のない場合には医療介入をできるだけ避け、前回帝王切開の方も、できるだけふつうに出産できるようにトライするなど、産む人の希望を尊重しています。このように、産む人が、医療関係者から診療内容や出産方法について説明を受け、その中から自分にあったものを選ぶことをインフォームド・チョイス*といいます。
出産場所や出産の方法は、情報を集め、自分なりにバース・プランをたてることによって、選ぶことができると思います。それには、まず、出産に対して積極的にかかわっていく姿勢が大切でしょう。
<babycom注>
バース・プラン
自分の出産についての計画書。どのような出産をしたいか、希望や計画を書き込む。
インフォームド・チョイス
「いくつかある可能性のそれぞれについて、利点と欠点の説明を受けたあとに、その選択肢の中から自分にもっとも適していると思われるものを選ぶこと」(『WHOの59ケ条 お産のケア実践ガイド』戸田律子訳 農文協)。WHOでは1996年に出したガイドブックの中で、“出産する場所についてのインフォームド・チョイス”の必要性を上げている。