まず、頭の中を整理してみる
「バースプラン」を書く目的は、要望を伝えるという意味もありますが、もうひとつ大きな意味合いが含まれています。それは「バースプラン」を書くことによって、妊婦さん自身が、自分はどのようなお産を望んでいるのか、頭の中で整理することができるということです。
漠然と「こんなお産がしたいなあ」と思っていても、それをうまく言葉にすることができなければ、相手に伝えることも質問することもできません。言葉にして、書き出してみることによって、頭の中が整理され、自分から積極的にお産にかかわっていくという気持ちが生まれてきます。
一方、病院のスタッフたちは「バースプラン」を読むことによって、妊婦さんたちのニーズを知ることができます。病院の中では、あたりまえに行われていたひとつひとつの処置などが、産む人たちにとっては違和感をもって感じられているということがわかることもあります。
また、希望を聞くことによって、妊婦さんの考え方を知ることもできます。以前は、病院にお任せという人が多かったのですが、最近はちょっとヒントをもらうと、自分なりの要望を多くの方が出してくるようになりました。要望を聞いてもらえるということがわかれば、互いに信頼関係も生まれ、妊婦さんも積極的にお産に参加するという前向きな気持ちが出てくるようです。
お産への前向きの気持ちが満足感につながる
もちろん「バースプラン」を書いたからといって、安産になるというわけではないのですが、ただ「バースプラン」を書いた人のほうが、自分でお産に前向きに取り組んだという気持ちをもっているからでしょう、お産に満足される方が多いようです。
どんなお産であったにせよ、自分のお産について振り返ったり感想を言ったりして、産んだあとに気持ちの上で整理できた人と、そうでない人とでは、お産への満足度は違ってくると思います。お産に満足されることは、その後の育児にも関わってくることです。
今後は、日本でもこうした「バースプラン」を、なんらかの形でとり入れる施設が増えてくると思います。けれど、とくに文書にして「バースプラン」を提出しなくても、健診の際や準備クラスなどで、医師や助産婦に要望を伝えることは可能ですし、それもまた形は違いますが立派な「バースプラン」になると思います。