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こんな産院あんな病院

豊島産婦人科

院長:豊島 克 産婦人科医師
東京都杉並区西荻南4-3-19  Tel.03-3333-2305
診療内容/産科婦人科

アクセス/JR中央線、総武線、地下鉄東西線 西荻駅より徒歩12分

ホームページ http://toyoshima-sanfujinka.com/

取材/きくちさかえ 2001.12月掲載 2006.4月更新

杉並の西荻駅前の商店街を抜けた、閑静な住宅街の中に豊島産婦人科はあります。 豊島産婦人科は、現在の院長である豊島 克先生のお父様がこの地に開業したことにはじまりました。昭和12年のことです。開院当初の戦前は、まだ東京でも自宅出産が多かった時代。先代の院長は自宅出産に呼ばれていったこともあったとか。



二代目の豊島先生も、医院を受け継いでから長年自然なお産に取り組んできました。豊島先生は白衣を着ないお医者さん。産む人の気持ちを尊重し、できるだけ自然でしかも安全なお産の環境づくりを提供することをモットーに、「医療はあくまでお産の裏方。必要な場合には素早くそれを見つけて対応するのが役目」と言います。先生の気さくで謙虚な人柄と自由な考え方は、多くの人に親しまれていて、ダンディな姿に密かなファンがいるほど。

その姿勢は出産にも表われています。自由な分娩姿勢を取り入れ、水中出産も数多く行なっているほか、希望があれば助産院や自宅出産のバックアップもしてくださる心強い存在。「お産はこうでなければならない」と現代医療を押し付けることなく、一方で水中出産やフリースタイルのお産を肩ひじはらずにさらりと行なっている。そうした姿勢に院長先生の人柄と技量の深さがうかがえます。

1階の玄関を入ると、そこは待ち合い室。奥が外来です。2階には分娩室と入院室。
分娩室は、水中出産ができるバースプールが設置されている部屋と、通常の分娩台のある分娩室、そして手術や処置のできる部屋があります。


豊島産婦人科が水中出産を取り入れるようになったのは90年代の初頭。日本のクリニックの中ではかなり早い時期からの取り組みでした。今では、出産全体の5分の1が水中出産というほど、ここでは日常のお産の風景の中に溶け込んでいます。バースプールはイギリス製。楕円形で、ゆったりとしたひとり用のお風呂くらいの大きさです。この中で陣痛期を過ごすこともできますし、赤ちゃんを産むこともできます。

バースプールのまわりにはカーテンがひかれ、部屋の中でもうひとつの空間を演出しています。照明を落とし、音楽をかけリラックスできるような配慮も。水中出産の特徴は、お湯をつかったリラックス。和痛の効果もあります。深めのバースプールに入ると、そこはプライベートな空間となり、外で起こっていることに気を散らせることなく、自分の世界に入っていくことができます。産婦は自分のからだに起こっていることを感じ、湧き上がってくる産む力を、存分に発揮することができるのです。

水中出産の祖ともいうべきフランス人産科医ミシェル・オダン先生は、「お産のときに一番必要なものはプライバシーである」と言っています。バースプールの中は、プライバシーが十分に守られる空間として最適と言えるでしょう。

お湯はのぼせない程度のぬるめで心地よい温度。バースプールの中で産む場合には、赤ちゃんは空気に触れる前にいったんお湯の中を泳ぐように出てきて、水面に上がったときに第一呼吸をします。
水中出産と言っても、その場に応じて、バースプールから上がってお産をする人もいます。海外などでは、水をつかって陣痛を緩和するお産のことをウォーターバースと呼んでいます。お産には決められたスタイルは本来ありません。その場その時に応じて、産婦が一番楽な姿勢や場所で、自分の力で産むこと、それが水中出産を含めたアクティブな自然なお産の考え方です。

豊島産婦人科ではもちろん、分娩台のある分娩室で出産する人もいます。分娩台は最新式のゆったりしたつくりで、背もたれが自由に動かせるようになっています。仰向けの固定した姿勢ではなく、一番楽な姿勢に合わせて角度を変えたり、横向きなど自由な姿勢で産むことができます。

豊島産婦人科のもうひとつの特徴は、母子同室で母乳哺育を積極的にすすめていること。入院室はすべて個室。ベットのとなりに赤ちゃん用のかわいらしいコットが置かれています。母乳哺育を成功させるために、助産婦が丁寧に指導してくれます。
「赤ちゃんがそばにいることで、お母さんには愛情ホルモンがたくさん分泌され、母乳が出るようになります」と、助産婦の山口さんは言います。
入院室の大きな窓からは、木立が見え、赤ちゃんと蜜月の時間をゆったり過ごすことができます。
3階には、家族室と呼ばれる和室付きの部屋があり、ここは家族同伴での入院が可能で、バス、トイレがついています。中には上の子やおばあちゃんが泊まっていくケースもあるのだとか。
同じ階には、退院したお母さんと赤ちゃんが月1回集まって「赤ちゃん会」を催す、多目的ルームがあります。取材にうかがった日は、ちょうど赤ちゃん会が開かれていて、育児とおっぱいの相談や情報交換の場として、たくさんの赤ちゃんとお母さんたちが集まっていました。

豊島産婦人科のパンフレットには、こんなメッセージが記されています。


「とくに異常のない赤ちゃんは、お母さんが分娩室から入院室に戻るとき、一緒に連れて帰ります。
それからは退院までお母さんは赤ちゃんといつもいっしょです。
生まれたばかりの赤ちゃんでも、お母さんの形は見えますし、声も聞こえます。匂いも覚えています。どうぞ赤ちゃんが目を覚ましているときには、目を見ながら話しかけたり、からだのいろいろなところに触れたりして遊んであげてください」
赤ちゃんにも、お母さんにもやさしい豊島産婦人科の姿勢が、その言葉に溢れています。

取材/きくちさかえ 2001.12月掲載 2006.4月更新


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監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長




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