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Interview 専門家インタビュー1アトピー性皮膚炎の原因と「ステロイドフリー」という治療法(1)
インタビュー:木俣肇(守口敬任会病院アレルギー科部長)2004年10月掲載(プロフィールは掲載当時)
木俣先生はアトピー性皮膚炎の治療を長年続けてこられた専門家です。
先生の病院には0才から80才まで大勢の患者さんが来られ、その改善率は90%だとか。
今回は、根治が難しいアトピーをどうやってそこまで改善できるのかをお話頂きたいと思います。
アトピー性皮膚炎の原因と「ステロイドフリー」という治療法
談・木俣肇(守口敬任会病院アレルギー科部長)
「アトピー性皮膚炎の原因は主に3つあります。ひとつは『アレルギー』。これは特定の食品を食べて起こすもの、ダニや花粉など吸い込むことで起こすもの、ダニや色々な物質などが皮膚に接触して起こすものなどがあります。
「生活を便利にしてくれる道具ではありますが、私たちは無意識にそれらの電気製品からストレスを受けています。それらの道具から出ている電磁波は、アトピーを悪化させる原因になっている可能性があります。アトピー患者が携帯電話を使うと、アレルギー反応が強くなることが研究によって明らかになりました(データ1参照)」【データ1】
アトピー性皮膚炎における、携帯電話の電磁波による、スギ抗原へのアレルギー反応

「アトピーの原因はこれ、とひとつに断定できるものではないと考えています。
「まずは『プリックテスト』というアレルギーの検査をします。腕の内側に20〜30種のアレルゲンを塗り、反応がでるかどうかチェックします。あとは患部に細菌がいるかどうかの検査。 患者さんの9割方に、悪化因子となる細菌が検出されますね。
「アトピーの人は夜寝ているときにかゆみが強くなることが多いからです。というのも、就寝時は身体から分泌される天然のかゆみ止め『ステロイドホルモン』の分泌が減るんですね。そのため、夜に無意識にかきむしって悪化したり、かゆみのために熟睡できなかったりする。抗ヒスタミン剤は眠くなる副作用があるので、就寝前に飲むのは利にかなっているんです。
「この場合は皮膚の消毒用の『イソジン消毒液』を使います。原液又は2〜5倍に薄 めたものを綿棒等に含ませて患部に直接塗ります。そのままつけているとかぶれるの で、2、3分後に洗い流す。その後、抗炎症剤と保湿剤を混ぜ合わせた塗り薬を塗布 します。重症の場合は抗生物質をぬったメッシュをはり、包帯をまいて患部を保護し ます」
「ステロイドはアトピーを悪化させる因子のひとつだと考えているからです。ステロイドは皮膚の炎症を抑える薬ですが、大きな問題が3つあります。【データ2】
副作用1.ステロイド軟膏塗布によるアトピー性皮膚炎での血液中の卵白特異的1gE値の増加


「私の患者さんのなかには、ステロイドによる治療を20年以上続けてきたという人もいます。そうした方々も、基本的な治療法は先に説明した流れと同じです。しかし、治癒にはやはり時間がかかります。ステロイド軟こうの使用期間が長いほど、副腎の機能回復には時間がかかります。早い人で1週間、長い人では数カ月から1年以上かかることも。その期間、リバウンドとの戦いになりますが副腎の機能が戻らなかったという人はいませんし、9割の人は改善しています。
「そうですね。治療に対して理解してもらえるように説明し、励まし続けることが必要です。もちろん、家族の励ましが一番大切。
ある女性の患者さんで、診察にくるたびに『辛い!やめたい!こんなことなら治療を始めなきゃよかった!』と毎回文句を言うためにきているような人もいます(笑)。しかし、その横には彼女の夫がいて、彼女を励まし続けているんです。『オレもよくなったんだから、おまえも頑張れ!』と。彼もやはり当院でステロイド中止によるリバウンドを乗り越えて、完治したアトピー患者でした。また、2週間に一度、車で片道3時間かけて二人の娘をつれてくる御夫婦がいました。二人ともアトピーだったんですね。私が『大変でしょう』と聞くと、娘さんたちは『ピクニックみたいで楽しいよ』と答える。辛い治療にいくのではなく、ドライブのついでに病院へ。そんな雰囲気づくりを両親がしているんです」
長期間、一人で辛い思いを抱え込んでいては気持ちが暗くなるばかりです。ステロイド中止と同時に、リバウンドを乗り越えるための心理的なケアも考える必要があります。笑うとアレルギー反応が低くなる、なんてデータもありますし、明るく感情豊かな生活はアトピー治療に必要だと思います。
適切な治療、生活の改善、笑顔のある生活! これがアトピー治療に必要な3要素です」
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