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お母さんと赤ちゃんの栄養学

授乳しているお母さんの栄養と食事
赤ちゃんのための栄養学

文:鈴木たね子(すずき たねこ)農学博士



無事に生まれた赤ちゃんは4週令ぐらいまでを新生児と呼び、完全離乳するまで約1年間は乳児と呼んでいます。当然のことながら乳児の間は母乳が大切な栄養源です。

赤ちゃんが生まれて最初に飲ませる母乳を初乳といいますが、新生児にとって特に大切なものです。なぜならば、初乳には赤ちゃんを病気の感染から守る成分が入っているからです。赤ちゃんを生んでから日が浅いお乳ほどこの成分が沢山含まれています。

お母さんが自分の分泌するお乳で哺乳することは、栄養の面は勿論、赤ちゃんの病気の感染防止からもきわめて大切です。そのほか、母乳はアレルギーを起こしませんし、また授乳することで子宮の回復をうながします。さらに、最近の統計では、授乳したことのない女性は、授乳した女性と比べて、乳癌の発症率が数倍も高いことがわかっています。
そのように母乳を飲ませることは良いことづくめですが、では授乳しているお母さんの健康のためには、日頃どのような食事の注意が必要でしょうか。厚生省で決めている日本人がどのくらいの栄養素や、エネルギーを一日にとったらよいかを示している栄養所要量というのがあります。少し前は授乳している女性は普通の人より、かなり沢山のエネルギーや栄養素をとるよう示してありましたが、最近はそれ程でもありません。なぜかというと家事や、育児のための労働が昔と比べて楽になったからです。栄養のとりすぎで肥満になることのほうが多いようです。

普通の20歳代の女性の一日のエネルギー必要量は、1800キロカロリーですが、授乳している女性はこれに700キロカロリーを上乗せして2500キロカロリーとしております。たんぱく質や脂肪もそれなりに上乗せ量があります。しかしそのような数字を並べても実際に何をどれくらい食べたらよいか分かりにくいので、実例で示してみます。

以下は一日にこれ位い食べるとよい食材の量です。
これに合わせて食材を選び料理を作ってみて下さい。
(   )は、一日に食べると良い必要な食材の量です。
「   」は実際にこれがどのくらいの量なのか目安を示してあります。
例えば、いも類では、じゃがいも、さといも、さつまいも、があげてありますがこれは、そのどれを選んでも良いように、家庭で食べられている食材について示しました。、それぞれの食品群のすべてから好みに合った食材を選んで料理してください。
これらの量は、乳児に母乳のみを与えて保育しているお母さんの場合です。また、乳児をかかえて働いているお母さんは、エネルギー消費量も大きいので、これよりやや多めも良いでしょう。


食品群
米(250g)約1.6合
種実類(5g) 「皮付き甘ぐり1個」「ぎんなん皮なし5個」「栗 皮なし中1個」
「アーモンド 5個」 「ごま 大さじ1.5杯」

いも類(60g) 「じやがいも大1/2個」「さといも皮付き中1.5個」「さつまいも1/2個」
砂糖類(30g)「大さじ4杯」
油脂類(20g) 「バター大さじ1.5 」「ドレッシング大さじ2杯」「マヨネーズ大さじ1.5」
「サラダオイル、オリーブオイル大さじ2杯」
大豆製品(80g) 「とうふ 1/2丁」「焼きとうふ1/3丁」「納豆小1包」
がんもどき中1個」「ゆで大豆大さじ6杯」
果実類(30g) 「はっさく1個」「みかん3個」「びわ6個」「バナナ2本」
緑黄色野菜(200g) ほうれんそう、ピーマン、にんじん、トマト、春菊などがこれに入ります。
いろいろ組み合わせるのが良いでしょう。
その他の野菜(200g) 色のうすい野菜で、かぶ、きゅうり、セロリー、カリフラワー、なす、もやし、はくさい、だいこん等がこれに入ります。
海藻(4g) 「浅草海苔1枚」、「ひじき大さじ2杯」
魚介類(80g) 「かつお切り身1切れ」、「さば切り身1切れ」「さけ切り身1切れ」
「あじ大1尾」「まぐろ刺身8切れ」「はんぺん1枚」
肉類(60g) 牛肉、豚肉、とり肉、ハム、ソーセージ
卵チーズ類(75g) 「鶏卵大1.5個」、「プロセスチーズ6個入り扇形3個」
乳類(500g) 「牛乳コップ2.5杯」
この食品構成では鉄がやや不足するので、同じ食品分類のなかでも鉄の多いものを選びましょう。魚はなるべく赤身、肉も赤い色の肉にが多い。吸収は悪いが、野菜ではほうれんそう、海藻ではひじきに多い。

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