妊娠準備のための健康術

プレマタニティ養生学

産院選びのチェックポイント【2】

産院選びの最大のポイントは、医療者とよいコミュニケーションがとれること。小さなことでも相談でき、検査や薬が必要な場合は、その内容を説明してくれる医療機関を探すこと。


...........検診時のプライバシーについて

...........転院の可能性も考えておこう

...........どんなお産がしたいか--バースプランを知っていますか?

...........お産をする部屋についての基礎知識

...........快適な入院生活を送るために



産婦人科に通うようになると、にわかに気になりだすのがプライバシーの問題です。
特に、大病院などでは、大部屋に内診台がずらりと並べられていて、仕切りはカーテンだけ、というところがいまだに多いもの。姿が見えるわけではありませんが、隣の患者さんに声が筒抜けというのは、あまり気持ちのよいものではありません。
また、診察室と待合室の間もカーテン1枚で、医師との会話が待っている人の耳に届いてしまう、というところも案外多い様子。これは、こじんまりとした個人病院でもよくあることです。

「病気ではなく、妊娠という喜ばしい出来事なのだから、プライバシーはそれほど気にしない」という人もいるかもしれません。でも、妊婦検診というものは、赤ちゃんの育ち具合だけではなく、妊婦自身の体の状態を細かくチェックする場でもあるのです。検査をしてみたら、自分でも身に覚えのない性感染症の病歴があった、などということもありますし、おなかが大きくなるにつれて、人には知られたくない症状が出てくる場合もあります。そんなとき、人の目を気にせずに相談ができるような気配りくらいは、ぜひとも産院に求めたいものです。
検診時のプライバシーがどの程度重んじられるかは、初診でだいたい分かるはず。気になる点があったら、遠慮せずに質問し、確認しておいたほうがいいでしょう。聞きにくい場合は、すでにおなかが大きくなっている妊婦さんを待合室でつかまえて、何気なく話しかけてみるのも手。これは、プライバシーに限らず、産院のあれこれを知るためにはかなり有効な方法です。



妊婦検診は、妊娠の経過を見守るためのものですが、同時に、医療者とのコミュニケーションの場でもあり、よい産院かどうかをみきわめる絶好の機会ともいえます。
その産院で産むかどうかの結論は、4ヶ月検診くらいまでに出すのがベスト。妊娠4ヶ月というと、ずいぶん時間があるようにも思いますが、実際に検診に通う回数は、初診も含めて3〜4回といったところ。意外に早い決断が必要なのです。もちろん、この時期を逃してしまったからといって、転院できなくなるわけではありませんが、受け入れ先の選択肢が少なくなるのは確か。それに、実際に出産する産院の医師や助産婦には、早いうちかに妊娠経過を知っておいてもらったほうがなにかと安心です。

転院を考える場合は、まず、今の産院のどこが不満なのか、自分なりに考えをまとめてみることが大切。そして、条件に合った施設をいくつかピックアップし、今通っている産院とよく比較検討してみましょう。可能であれば、候補先の産院に見学に行ってみるのもいい方法。その産院の雰囲気がよく分かるはずです。 快く院内を案内してくれ、助産婦さんなどが親身になって相談に乗ってくれるようなら、安心できるでしょう。ただし、「見学費」をとられるところもあるようなので事前にチェックが必要です。他にも、産む方法や予算などの条件を確認し、問題がないようであれば、次回の検診を受けてみるといいでしょう。
なお、感情に任せて産院を変えたものの、しっくりいかず、結局もとの産院で出産することになってばつの悪い思いをした…などという人もいますので、転院先選びはくれぐれも慎重に。



産院選びの基準となるのは、「どんなお産がしたいか」ということ。お産の方法というと、「水中出産とかラマーズ法とか、ちょっと特殊な方法を選ぶ人が考えること」と思われがちですが、そうではありません。ごくふつうの「自然分娩」でさえも、実はかなりの幅があるものなのです。
とはいえ、プレマタニティの今は、出産についての具体的なイメージなど全くわかないかもしれません。でも、実際に妊娠すると、今までは考えもしなかったことが気になったり、出産に対するさまざまな希望やこだわりが出てきたりするもの。それが、ほんの小さなことだとしても、きちんと聞く耳を持った医療スタッフがいることが、産院選びの大きなポイントといえます。
そういう産院をみつけるのは、なかなかたいへんなことですが、目安のひとつとして、「バースプラン」のことを知っておくといいかもしれません。バースプランとは、どんなお産がしたいか、というビジョンのこと。このバースプランを積極的に受け入れる産院が最近少しずつ増えてきました。
バースプランを受け入れてくれるということは、産院のマニュアルや方針に乗っ取ったお産ではなく、ひとりひとりの希望に合わせた出産が可能だということ。つまり、レンジが広く、かなり柔軟な対応ができる産院と考えていいでしょう。



お産で入院する場合の一般的な手順ですが、まず、入院手続きをしたのちに、陣痛を過ごす「準備室」に通され、お産が近づいてきたところで「分娩室」に移り、産後「回復室」で数時間過ごしてからやっと入院部屋に戻る、というのが一般的。そのわずらわしさを避けたいという人には、陣痛から出産、回復までを過ごせる「LDR」という部屋がある産院がおすすめです。

また、お産をする場所は、分娩台の上と決まっているわけではありません。清潔で、ある程度の広さがあるところなら、それこそ自宅の寝室だって可能なのです。出産のスタイルも、本人のもっとも楽な姿勢で臨むのがベスト。仰臥位(仰向けで足を開いた体勢)は、赤ちゃんを取り上げる医療者にとっては楽ですが、産婦にとっては、案外いきみにくいもの。しゃがむ、四つんばいになる、立つ、など、いろいろな姿勢がとれる場所のほうが楽です。
最近では、分娩台のない産院や、自宅のようにリラックスした雰囲気で出産できる和室を備えた産院も増えてきていますので、いろいろ検討してみるといいでしょう。

なお、出産の際に夫の立ち会いを望むかどうかも大切なポイントです。立ち会いを希望しない場合も、一応産院に確認しておいたほうがいいでしょう。施設によっては、夫の手助けや立ち会いを積極的にすすめる場合もあるからです。



個室か大部屋か
個室と大部屋は、それぞれメリットとデメリットがあります。友だちがたくさんできる大部屋も楽しいものですが、母子同室を希望するなら個室のほうがおすすめ。大部屋で母子同室だと、他の赤ちゃんの泣き声や来客の声で、赤ちゃんもなかなかゆっくり眠れませんし、お母さんのほうも疲れてしまいがちです。

母子同室か別室か
赤ちゃんがずっと一緒だと、疲れてしまうのでは?と考える人も多いようですが、生まれたての赤ちゃんは、お母さんがそばにいれば案外すやすやと寝てくれるもの。特に、母乳育児を希望している人は、同室がおすすめです。赤ちゃんがそばにいたほうが、母乳の分泌がよくなりますし、入院中に母乳のリズムをつかんでしまったほうが、あとあと楽だからです。
なお、産婦の疲れを考慮して、産後2日目から同室というところもあるようですが、産んですぐは、お母さんのほうが興奮していて、赤ちゃんがいてもいなくても眠れなかったりするものなので、あまり気にする必要はないでしょう。

母乳指導は?
母乳での子育てを考えている人は、産院が母乳育児に積極的かどうかも確かめておきましょう。産院によっては、助産婦による母乳指導のほか、分泌を調整するマッサージをしてくれるところもあります。なお、退院後は、母乳マッサージ専門の施設もたくさんありますので、母乳外来があるかどうかはあまりこだわらなくていいでしょう。


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