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世界のお産と育児事情 きくちさかえ海外リポート
赤ちゃんはかつて、世界中どこでも、自宅で生まれていました。そんな伝統的な出産が、今も残っている地域があります。
世界の伝統的な、自然のままのお産を紹介します。

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状況、情勢が変化しておりますので、参考情報としてお読みください。

チベット Part1「伝統的な助産婦がいない国」

チベット

チベットは近年、中国の進出が進み、都市部には西洋医学と中医学を融合させた病院が建てられ、町の周辺の女性たちは、そうした病院の産婦人科で出産する人が増えてきました。けれど、今でも多くの赤ちゃんが自宅で生まれています。

首都ラサには、中国系の病院とは別に、伝統的なチベット医学の病院があります。そこを訪れて驚いたのは、婦人科という診療科はあるのですが産科がないということでした。

伝統的にチベットでは、出産は病気ではなく、あくまで自然な営みとされていたため、出産は施設ではなく、自宅で行なわれるのがあたりまえと考えられてきたのです。ですから、その病院には分娩室はありませんでした。


●ヤクの毛皮の上で

東チベットのカム地方。標高4500メートルの高地に、理塘県曲登郷という小さな村があります。そこはかつて遊牧民たちの一時的な住居地でしたが、今は定住のための家屋が少しづつ建てられるようになってきました。チベットでも、子どもたちに教育を受けさせようという動きが出てきて、そのために一定の土地で定住することが求められるようになってきたのです。

その村は無医村で、子どもたちは全員、自宅で生まれています。生後6ケ月の赤ちゃんのいる家を訪ねました。
家の中は、石で組んだ竈(かまど)があり、ほかにはほとんど家具は見あたりません。「家の中のどこで赤ちゃんを産んだのですか」とたずねると、母親は家のコーナーにある毛皮の上を指さしました。毛皮はチベットの家畜、ヤクのもの。この家にはベッドはなくて、家族はその毛皮を寝具にしていました。赤ちゃんもその上で生まれたというわけです。

お産は夫が介助しました。この家族は、いわゆる核家族。チベットの新しいニューファミリーなのでしょう。同居する両親や親戚がいないので、夫がとり上げたのです。

昔から赤ちゃんは家族の中で生まれてきたので、多くの人が、小さなときから家庭の中で出産を身近に見てきています。そういう意味で、お産は特別なことではなく、日常のひとこま。 世界各地、伝統的なお産は、家族の中で、こうして行なわれてきたのです。

2003年 きくちさかえ記


「世界お産」生まれやすい国ニッポンへ!
著)きくちさかえ 2019年


30年間で18ヵ国を巡り、取材・撮影のフィールドワークを続けてきたきくちさかえ氏が送る、出産の現状と問題提起。


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安産と楽しいマタニティライフに役立つ101用語を解説。 監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長





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