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子どもの虫歯の原因は、親の虫歯菌?-2

子どもの虫歯の原因は、親の虫歯菌

親が虫歯が多いと、その子どもも虫歯が多くなりがち。「虫歯は遺伝する」。そう信じている人は意外と多いかもしれません。
ところが、これはまったくの間違いだと北原先生は言います。「歯並びや骨格が遺伝することはあっても、虫歯が遺伝することはありえません。なぜなら、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯の原因菌であるミュータンス菌は存在しないからです」

虫歯は、細菌の感染によって引き起こされる、一種の感染症です。虫歯を引き起こす代表的なな細菌として、ミュータンス菌(ミュータンスレンサ球菌=mutans streptococci)が挙げられます。虫歯菌は食べ物のカスなどが歯にくっついてできた歯垢(プラーク)に棲息し、長く歯の表面に留まります。


これら種々の虫歯菌が生産する「酸」によって、歯のカルシウムやリンなどの無機成分が溶け出し、エナメル質や象牙質が破壊され、最終的に歯根まで達して歯を崩壊させます。これが「虫歯」のメカニズムなのです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、ミュータンス菌を持っていません。では、いったいどのようにしてミュータンス菌は赤ちゃんの口の中に侵入するのでしょうか?

「実は、お父さんやお母さんなど、身のまわりにいる大人によって、赤ちゃんがミュータンス菌に感染してしまうのです」と、北原先生。
例えばお父さんが口をつけた箸やスプーンで赤ちゃんにごはんを食べさせる、固い食べ物をお母さんが自分の歯で噛んでそれを与えてしまうなどの行為によって、そこから両親のミュータンス菌が赤ちゃんの口の中に入ってしまうことが考えられます。現在、虫歯の人はもちろん、過去に虫歯になったことがある人は必ずミュータンス菌を持っており、その割合は日本人の9割にのぼると言われています。
母乳による免疫が切れ、自分でつくる免疫機能が安定するまでの1歳半〜2歳半の間は、特に要注意。乳歯が生えそろう3歳までに虫歯に罹患する子どもは、実に36.5%にものぼると言われています。そのうち、すでに2.1本が虫歯になっているのです(1999年、厚生省調べ)。ひとたびミュータンス菌が口の中に入り込んでしまうと、その後も虫歯になりやすい性質になります。逆に、ミュータンス菌への感染の機会を遅らせれば遅らせるほど、虫歯にはなりにくい体になります。

「両親の口腔内環境は、驚くほどその子どもに反映されます。これは、遺伝ではなく、生活習慣が反映されているのです。極端な話をすると、口の中にミュータンス菌が入ってこなければ、一生虫歯になることはないのですから」と、北原先生。例えば、ダラダラ間食をし続ける、砂糖が大量に入ったスポーツドリンクを好んで飲む、歯の隙間や奥など細かいところまでていねいにブラッシングしないなど、口の中の環境が悪化する理由はさまざま。赤ちゃんにミュータンス菌を感染させないためにも、両親が歯をきちんとケアする、口の中を清潔に保つことがいかに大切かがわかります。



妊婦の食事が赤ちゃんの健康な歯をつくる

ところが、「乳歯はどうせ永久歯に生え替わるから、虫歯になっても大丈夫なのでは?」と思っている人は、案外多いようです。赤ちゃんの多くは歯みがきをいやがったり、親が忙しいからとついついケアをおろそかにしてしまいがちですが、虫歯や、歯に何らかのトラブルが起こると、のちのちの成長にも大きな影響を及ぼしてしまいます。
たとえば、虫歯が悪化して抜歯をするようなことがあると、噛むことがうまくできなくなったり、変な噛みぐせがついてしまう場合があります。そうすると、うまく食べられないから食欲がわかない、ひいては体重の低下や成長の抑制を引き起こします。また、顎の発達にも悪影響を与えます。発音や発声がうまくいかないなど、口まわりの機能の成長が遅れたり、骨格や容貌に影響を及ぼすことも。何よりも、乳歯は永久歯のガイドラインの役割も果たしているため、歯根まで達するような虫歯ができると永久歯のエナメル質や象牙質の発達が不完全になることもあります。

乳歯は永久歯と比べるとエナメル質が薄くてやわらかいため、どうしても酸に溶けやすいもの。そのため、ひとたび虫歯菌が入ってしまうと、あっという間に進行してしまいます。放っておけば5〜6カ月で神経まで達することも。特に乳児の場合は自覚症状がなかったり、痛くてもそれを伝えられなかったりします。そのため、親がきちんとケアしてあげることが何よりも大切なのです。
よだれの多い子は虫歯が少ないというデータもあるように、唾液には口の中を洗い流したり、殺菌する作用があります。唾液に含まれるリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ素は、歯の再石灰化を促進する作用があります。一般に、唾液の出る腺のある下の前歯の裏側は虫歯になりにくく、逆に唾液が届きにくい上の前歯や奥歯は虫歯になりやすいので、重点的にケアしてあげるとよいでしょう。


北原先生のワンポイント・アドバイス

虫歯は、治療より予防が大切!
赤ちゃんの時から「かかりつけ歯科医」を持とう

赤ちゃんの様子が、何だか変。どこか痛いみたい…。口の中に何らかのトラブルが起こっても、赤ちゃんはそれを自分の言葉で伝えることはできません。親がこまめにチェックするのはもちろんですが、個人レベルではどうしても限界があります。そんな時の強い味方が「かかりつけ歯科医」。

社会福祉が進んでいるスウェーデンでは、生まれてから20歳までの間は、半年に一度歯のクリーニングとチェックをすることが義務づけられています。予防やメンテナンスに力を注ぎ、虫歯や歯周病のリスクを徹底して廃除しているから、就学児童で虫歯になっている子はほとんどゼロに近い数字だそう。メンテナンスのために定期的に歯科医に通う人は、スウェーデンは9割、アメリカでは6〜7割もいるのに対して、日本ではたったの5%しかいないのです。
赤ちゃんが虫歯と縁がない生活を送るためには、プロによる定期的なチェックは必要不可欠。「かかりつけ歯科医」を持って最低でも半年に1回、プロフェッショナルによるアドバイスを受けるようにしましょう。


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取材協力:北原信也先生
ノブデンタルオフィス院長)

顔、唇、歯、歯肉それぞれを科学的かつ審美的に分析し、一般治療から審美修復治療、メインテナンスプログラムにおけるまで、口腔プロデューサーとして治療・予防に全力を尽くす。著書や講演会も多数。
歯のケアを通して子どもの知的発達を促すことを目的とした歯科医と教育カウンセラーによる日本初の「歯育」プロジェクト、ノブキッズ・プロジェクトの代表でもある。





歯育・子どもの歯を育てる


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2.歯の健康は胎内からスタート

・虫歯予防はマイナス1歳から!
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・歯みがきを楽しくするコツ


5.はじめての離乳食と歯の健康

・離乳食開始のサイン
・6歳までの食生活が将来を?
・子どもの口の中は、家庭の鏡


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