胎内からはじめる食育


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掲載:2006.5

The Best Start in Life

 参考資料

 胎内で成人病は始まっている

 母親の正しい食生活が子どもを
 未来の病気から守る

 デイヴィッド・バーカー著
 福岡 秀興 監修・解説
 ソニーマガジンズ
胎児が危ない!危険な妊婦のダイエット、正しい食事は赤ちゃんへの最高のプレゼント

24時間営業のコンビニエンスストアや惣菜店で、いつでも手軽に調理済み食品が手に入る現代。飢える心配から開放された反面、現代人は、「生きるために食べる」「食べものが体を作る」という基本的なことさえ、忘れがちになっているのかもしれません。

食事によって体が変わることは、人間以外の数々の生き物によって証明されています。例えば、女王バチと働きバチは、遺伝子的にはまったく同じです。成長期に与えられた食べものの違いで、その役割が変わってくるのです。
人間も、この世に生を受ける前、つまり、母親のおなかの中にいるときに受け取る栄養によって、体の組織やシステムの構造、機能が決定づけられることが分かってきました。そして、胎児のときに栄養不足になって、成長が抑制され、小さく生まれた赤ちゃんは、成人後の高血圧、糖尿病、動脈硬化、高脂血症などの病気になるリスクが高いことが、近年の研究によって明らかにされています(成人病胎児期発症説)。

おなかの中の赤ちゃんがよりよく育つ環境を整えるためには、妊娠中、そして妊娠前に何ができるのかーー。厚生労働省の「食を通じた妊産婦の健康支援方策研究会」の報告と、東京大学大学院助教授の福岡秀興先生のお話をもとに、妊娠中の食生活について考えてみましょう。




ダイエットは胎児の成長を抑制する


「1カ月に増えていいのは、1キロまで」「妊娠中の体重増加は7〜10キロに押さえましょう」。つい最近まで、妊婦の体重制限は、常識といってよいものでした。その根拠となっていたのは、妊娠中に太ると、産道に脂肪がついたり、赤ちゃんが大きくなり過ぎたりして、難産になりやすく、妊娠中毒症(※1)や妊娠糖尿病のリスクも高くなる、という説でした。
しかし、妊娠中の女性といっても、もともと太っている人もいれば、痩せている人もいます。太っている人、あるいは、体質的に高血圧や糖尿病のリスクを抱えている人の場合、妊娠中の体重コントロールは確かに必要でしょう。しかし、痩せている女性、特別なリスクのない女性までもが、妊娠中の体重増加を制限する必要があるのでしょうか? 体重コントロールのために、妊娠中に食事制限をすることで、赤ちゃんに影響が及ぶことはないのでしょうか? こんな当たり前といえば当たり前の疑問が、最近になって大きく取り上げられるようになってきました。

日本の女性の「やせ願望」は根強く、若い女性の多くがダイエット経験者です。15歳〜29歳では、全体の約4分の1がBMI(体重を身長の2乗で割った数値)が18.5以下の「痩せ」女性であるというデータが出ています。「痩せ」の中身もさまざまで、BMIだけですべてを語ることはできませんが、この中には、適切ではない食生活やダイエットなどの影響で、栄養不良となっている女性も相当数いるはずです。平成15年の国民健康・栄養調査によると、朝食の欠食(何も食べない、あるいは、サプリメントや菓子などで済ませる)率は20代女性で23.6%、30代で12.7%にのぼっています。また、食事の内容をみても、ビタミンやミネラル、カルシウムなどの摂取や、エネルギー摂取が必要量を下回る女性も多くみられます。東京大学大学院助教授の福岡秀興先生は、「このような食生活を送っている女性が妊娠し、体重を増やさないために、さらなる食事制限を行った場合、おなかの赤ちゃんが栄養不足になり、成長が抑制されてしまう可能性が高い」と、若い女性の痩せと食生活に警告を発します。


グラフ1「低出生体重児の増加」

右のグラフは、2500g未満で生まれた赤ちゃん(低出生体重児)の出生率の推移を現したものです。1980年には5%ほどだった低出生体重児が、その後少しずつ増え続け、2003年には9.1%になっています。つまり、生まれてくる赤ちゃんの10人に1人は低出生体重児ということになります。低出生体重児の増加は、若い女性の喫煙率や飲酒率が上がっていること、体外受精など生殖医学の発展によって多胎妊娠が増えたこととも、深い関係があるといわれています。しかし、それだけではなく、赤ちゃんを生む前の女性に「痩せ」が増えていること、さらに、妊娠中も体重制限を行うことが、大きく影響している可能性は否めないのです。

小さく生まれた赤ちゃんは、将来、高血圧や心臓病、糖尿病などの成人病になる可能性が高くなるという「バーカー説」については、第一回「胎内で将来の病気の原因が作られる?」で紹介した通りです。このようなリスクを少しでも減らすためには、まず、妊娠前〜妊娠中の体重コントロールや食生活について、もう一度考える必要がありそうです。


第2回:胎児が危ない!危険な妊婦のダイエット
 胎児が危ない!危険な妊婦のダイエット >>次のページへ

 体重増加はどこまで?

 正しい食事は赤ちゃんへの最高のプレゼント


 第1回「胎内で将来の病気の原因が作られる?」

 第3回「母乳は赤ちゃんにとっての完全食品」

 第4回「母乳は赤ちゃんの体をアレルギーから守る」

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取材協力
福岡秀興(ふくおか・ひでおき)氏

兵庫県出身。医学博士。東京大学大学院医学系研究科発達医科学助教授。米国内分泌学会・骨代謝学会正会員。日本内分泌学会代議員。
産婦人科生殖内分泌学の視点より、妊娠中や思春期の女性の骨代謝の研究を行っている。第6次、第7次日本人の栄養所要量の策定委員。




※1妊娠中毒症

妊娠中に、高血圧、むくみ、蛋白尿の三大症状が現れた場合には、「妊娠中毒症」とされ、危険なお産につながる兆候とされていたが、三大症状のうち、高血圧以外は必ずしも危険と関係あるとはいえないことが分かってきた。
そのため、現在では、「妊娠高血圧症候群」と改名され、高血圧を伴わない限り、むくみも蛋白尿も病気とはみなされない。





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