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私の出産体験記

自宅出産レポート

感動!家族に囲まれての自宅出産
〜助産婦ママの第2子晃司出産体験記〜 おぞねさん(1999.12.27)

1999年5月末に無事に自宅での出産を終え、今は6ヶ月。のんびり楽しい育児をしています。これから自宅出産とか考えてる方々の少しでも参考になればとレポートしました。

…….自宅での出産を決めたわけ

.......病院でのお産と違うところ

.......自宅出産にして良かったこと(メリット)

.......自宅出産で大変だったことは

.......自宅出産で感動したこと

.......自宅のお産で不安だったことは


第一に、葵を産んだときに分娩台に仰向けで息む・・・というスタイルが私自身に合わなかった事、もっと自由な姿勢で産みい・・・と考えたら、自由な姿勢で産ませてくれる病院などが近くにありませんでした。葵の時は初めてのお産なのに経産婦並に早かったから、自分が病院に向かうよりも自宅で介助者を待っている方が安心だと思いました。

第二に、妊娠中お腹の中の赤ちゃんやお産する私自身にとって、最も安心してリラックスして産める所は毎日生活している「我が家」であり、愛する家族に囲まれてお産がしたかったこと、お産後大変な思いをして荷物を運ぶ必要のないこと、上の子葵にも赤ちゃんが、きょうだいが産まれてくるところを見てもらいたかったこと・・・。

第三に、自分が助産婦だから。今後助産婦としてお産に携わる上で、自宅出産は自分のプラスになると思ったからです。



基本的には、病院でもどこでも正常分娩ならば誰でも自分が主体になって、お産は出来ると思います。
自宅出産出来る産婦は、母子共に妊娠中から健全で異常兆候が見られない人に限られています。つまり、明らかに大出血や妊娠中毒症状のある人や、お腹の中の赤ちゃんの具合が悪い人、逆子や双子・・・などは産婦人科の先生の指示に従ったお産をした方が安全であり、このような異常な産婦は助産婦は介助出来ない事に法律で決まっているからです。

病院によって構造や方針は違いますので比較できませんが、今回お世話になった助産婦さんは、74歳の大ベテランの自宅出産を専門に携わってきた方で、妊娠5ヶ月からお世話になりました。病院は毎回違う先生や助産婦さんに健診や保健指導を受けたりするかもしれませんが、助産所に通っての健診は、上の子を連れていってもOKだし、あらかじめ予約すれば、予約時間に行っておけば待たされないし、本当に普通の家なので、緊張しないしプライバシーも守られる・・・妊娠末期には助産婦さんが自宅に健診に来てくれるし、異常がなければ検査も薬もないので検診代が安い・・・などメリットが多々ありました。

なによりもありがたかったのは、私自身が信頼できる産婦人科の先生を指名できたことでした。私は、何か 母子共に危険な事があった場合、バックアップしてくれる産婦人科の先生に私が助産婦として働いていた総合病院の先生に決めました。初診時から自宅出産のことを真剣に相談にのって下さり、病棟の婦長さんやスタッフのかたにも応援してもらえたことがとても嬉しかった事でした。結果安心してお産に望めたのだと思います。



病院では戌の日の着帯は、お金がかかったりするケースもありますが、助産所では毎回着帯は無料でした。サラシの腹帯の巻き方も力強く、私はサラシでなくてはいられない人になってました。自宅出産をする人はそんなにいないので、助産所の健診の後は、助産婦さんと楽しいお茶会に変わっていました(笑)。逆に自宅に来て下さった時は、診察代のほか交通費を支払うことになっています。

自宅出産のメリットは、出産のときどんなに時間がかかっても、ずっと妊娠中から診てもらっている助産婦 さんが側にいてくれることで安心と信頼を得ることが出来ます。家族ともコミュニケーションがはかれます。急なお産の場合、車中分娩の恐れはなく、お産後はそのまま布団に寝られます。上の子を預ける心配が減ります。(ただ、出来たら自宅でもおばあちゃんか誰かに上の子を見てもらうと良い。夫はお産する母親に付き添うため上の子の面倒は難しい。)移動の疲労がなくすぐに体を休められます。(ほとんどの病院では陣痛室、分娩室、褥室と分かれていますが、自宅は自分で出産する場所を選べるし、一枚の布団で産後も過ごせるので楽でした)。
そして産んですぐから赤ちゃんと一緒に過ごせます。なんと言っても、母子共に問題なかったので、産道がビヨーンと伸びて会陰に傷が無くお産が出来たことでした。赤ちゃんが産道をグルグルと廻って産まれてきた感覚が分かり、しかも生まれる寸前は全然陣痛が痛くなく、おしゃべりしてたっけ。写真やビデオが自由に撮れたし、友人や知人も信頼できる人はみな立ち会える。ワイワイ楽しいお産の現場でした。
お産後は1週間通って頂き、赤ちゃんのお風呂は勿論、おっぱいマッサージもしてくださいました。食事も自分の食べたいものが好きなだけ食べられます(おっぱいには和食がいいです)。好きな音楽が聞け、電話も出 来るし、TVも見られます。(TVは産後は疲れるのでほどほどに・・・)。
気になるお産の体勢は、仰向けではなく横向きで産んでみました。両足を開く必要が無く、産む本人としてはとても楽に産めた気がしました。楽なお産だったので、産後の疲労が少なくすごい元気。傷がないので思い切りお尻つけて座れるので、授乳も楽でした。始めから母乳のみで楽な育児。夫が家事や育児にスムーズに参加出来る(いちいち命令しなくてもやってくれる)。家族の絆が深まる。などなど・・・。



家族の理解が必要です。夫だけでなく両家の両親にも協力頂くので、家族全員で話し合いが必要です。近所や夫の職場の理解も必要です。
ラッキーなことに今回は日曜日の出産だったので、本当に助かりました。私個人としては、助産婦の先輩やバックアップして下さった病院のスタッフの人の協力にも感謝しています。自宅出産する個々の助産所の先生のやり方があり、私の担当の助産婦さんは74歳と少々高齢の方のため、ちょっと気を使いました。自分で用意したのは、お産セット(パットとか)とか、新生児の採血道具とか、お産の時の記録用紙作成など。
でもこれらは一般の人は用意しなくて大丈夫な物で、後は病院でお産する時と同じものを用意しました。バックに詰める必要がなく、タンスの引き出しに入れておけばいいのだから・・・楽でしたね。
困ったことは、役所に出生証明書用紙を頂に行きましたら「普通は病院から証明をもらうのですが・・・」と断られそうになり「自宅出産で助産婦さんに証明していただくのですが・・・」と説明してもなかなか理解して頂けなかった事でした。介助してくださる助産婦によっては産婦があらかじめ用意しなくてもいいのかもしれませんが。後は集合住宅地で駐車場がなかったので路上駐車になってしまうことでした。



愛する家族(夫、葵、義母)や友人らに囲まれて応援してもらって出産が出来た事がやはり嬉しかったです。「もうすぐ生まれるよー」のかけ声のあと、生まれてくる所を自分でも見ましたが、ぬるっと晃司がきれいな羊水に濡れた体を輝かせて出てきた瞬間、「わあー」しか私は声が出ませんでした。
本当に血液の付いていないきれいな赤ちゃんに感動。ああ、これが本当の自然なお産だったんだ・・・て思いました。
他にも遠方の友人からFAXでエール頂いたり。その場にはいなかったけどたくさんの友人のエールを受け、無事にお産が出来たと報告が出来て感無量!当時1歳10ヶ月の葵は、ママのお腹にいた赤ちゃんが産声をあげた瞬間を手をたたいて喜んでくれた事も印象的でした。
それまでは、赤ちゃんが産まれるところを見てママの辛い姿見て泣くかなあ・・・と思っていたけど、「バンザイー」したときは嬉しかったですね。パパは相変わらずクール。「早くお産してくれて良い嫁だ」とふざけた事を言っていました。でも取り乱さないから返って信頼できるんですけどね。産後1,2ヶ月は水に触れられないので、パパが会社から早く帰ってきてくれて、お風呂に食事の支度、洗濯をやってくれました。未だにおむつの洗濯をして、干して会社に出かけて行くパパ。ほんとありがたいです。

74歳の助産婦さんと生まれたての我が子

介助してくださった74歳の助産婦さんと生まれたての我が子、生まれて3時間たった時の写真。


次に感動したのは、産んでから我が子を抱きしめることが出来たこと。へその緒が付いたままおっぱいをあげて、へその緒の脈が触れた事で、本当に我が子とつながっていたんだ・・・と実感できたこと。パパが晃司とママをつないでいた「へその緒」を切ってくれたこと。
パパとママふたりでお産したって感じがしました。へその緒はスパッと切れない事は私自身知っていたから、パパにその感触を味わってもらえて良かったです。つまり母と子を結ぶへその緒は簡単に切れないって事、絆は強いんだって事分かってもらえた気がして・・・。そしてへその緒切るのは別れではなく、我が子との新たな出会いだと思えました。ビデオにも収め、将来葵も晃司も「赤ちゃんがどこから産まれてきたの?」と疑問を持ったらこのお産のビデオを見せて話をしてあげたいですね。ビデオは我が家の宝物です。


自由な姿勢でお産が出来た方が楽しいし、楽にお産が出来ると気づいたこともよかったです。私は妊娠中イメージトレーニングをして、お腹の中の赤ちゃんの事をイメージしたり、お産後の母乳をあげるシーンをイメージして過ごしてきました。その際に自分がリラックス出来る音楽を毎日聴いていたので、それをBGMにしてお産に臨んだこと、すごく良かったです。陣痛がどんどん進むうちに余裕が無くなった自分もいたけど間歇時力が抜けて聞き慣れた音楽が耳に入ってきてリラックス出来たのね。赤ちゃんがツルッと産道を降りて出てきた感覚が分かったのが、びっくり感動。「すごいあたしって!」って自画自賛してしまいました。
病院ではラマーズ法とか呼吸法を一生懸命に指導されるけど、私はラマーズ法は合わないので、イメージ法でひたすら深呼吸していたほうが楽と思いました。息まなくても赤ちゃんは産まれてくるのです。そして陣痛の痛みは快感にさえ思えました。お産を前向きに、陣痛を素直に喜び受け入れ、我が子の誕生を楽しみに出来たと・・・これが一番の嬉しかったことだったと今振り返り思います。



集合住宅だったので、夜のお産になった場合、声とかが外や近所に漏れて迷惑にならないか・・・前回葵を出産したとき早かったので、万一誰もいないときにお産になってしまったら・・・と。
もし助産婦さんが間に合わなかったら、自分は何を一番にしたらいいのか、万一のことも考えていました。でも、今は携帯電話あり、車あり、いざとなれば119番が頼れるこの世の中だからいいけれど、自宅でのお産がメジャーだった時代の人はもっと不安だったのではないでしょうか。実際、晃司を2時間で産んだのですが、陣痛が来たときが夕方の6時。助産婦さんがなかなか来なくて、息みたいのを逃して到着するのを待っていました。このまま生まれちゃったら・・・と流石に不安にもなりましたが。でも一人ではなかったし、絶対間に合うと信じてま した。
晃司も助産婦さんを待っていたのね、助産婦さんが到着と同時に破水だったので間に合ったのでしょう。あとは、助産婦さんが通ってくれた間は、事故に遭わないように祈っていました。それから、妊娠中は逆子とかにならないように祈っていました。
逆子は絶対に病院でなければなりません。産婦人科の先生や小児科の先生の立ち会いが不可欠だからです。そうなると、自分の望んだお産ができないから。あとはお 腹の赤ちゃんが元気で産まれて欲しいと。これは誰もが思うことですよね。万一我が子に危機が訪れたら、無理しないで病院で産むこと、帝王切開など素直に受け入れようと思っていました。最悪な場合自分はどうあるべきか考えておいたからこそ、自宅での出産に挑めたのかもしれませんね。


私はまだまだ助産婦と胸を張って言えない未熟な人間ですが、今回74歳の大先輩に取り上げて頂き、又ひとつお産に対する見方考え方が変わってきた気がします。
無事にお産できたのは、この大先輩のお陰であり、家族や友人・病院の協力や支えがあったからです。心から感謝しています。74歳の助産婦さんが私にくれた言葉を紹介します。「お産は息まなくたって赤ちゃんが自分で回転して上手く産道を通って来るから、待っていれば生まれるの。」私も将来こんな風に言える助産婦になりたいです。そして思うようにお産できないケースもありますが、すべての女性が自分の望むすてきなお産が出来るよう心から祈ってしまいます。自宅で生まれた晃司はとても穏やかでいつもニコニコの元気な子に育っています。おっぱいを飲むのも上手だし母乳育児も順調です。お姉ちゃんになった葵も今では「こうちゃん」と呼び二人で見つめ合ったりしてますよ。きょうだいはいいですね。

(1999.12.27)


妊娠・出産、母乳ワード101妊娠・出産・産後ワード101
安産と楽しいマタニティライフに役立つ101用語を解説。 監修/医学博士・産婦人科医師(故)進 純郎先生(監修当時)葛飾赤十字産院院長





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