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不妊体験・不妊治療レポート
不妊を考える「ウノトリはやってくる?」


不妊治療体験レポート-8
hさん
サポートグループで知り合った人達と 結婚17年目

 41才で念願の赤ちゃんが授かりました。この間、ずっと治療に専念していたわけではありませんが、ここ3年は人工授精をくり返し、やっと授かりました。

 結婚して10年ほどは共働き。もともと排卵不全で、薬を常用しなければ生理がこない状態でした。子どもを産みたいと考えていましたし、そのままでは将来、更年期になったとき別な症状が出たりするのではないかと、それも不安で治療に通っていました。まず自分のからだを治すほうが先決。医師から「もっと積極的に子どもをつくる気がないなら、治療をする意味がない」と言われ、治療方針にも疑問があったので、病院を変えることに。 37才になった頃、親が倒れて介護の問題が出てきました。私としても、年齢を考えると最後のチャンスかもしれないという気持ちもあって、思いきって退職。治療に専念できるようになり、人工授精に切り替えました。

 結局、3年間続け、何回やったか覚えていないくらいです。40才でやめようという覚悟ではじめたのですが、いざ40才を目の前にしたとき、その気持ちがぐらぐら揺らぎました。私の場合、不妊治療をやめても、排卵不全の薬をもらいにずっと婦人科に通わなければなりません。そのときの気持ちが一番辛かったですね。仕事もやめてしまった。子どももできない。なんて中途半端な人生だろうと。 そんなとき、夫が「もう少しがんばってみれば」と言ってくれた一言で気持ちが楽になりました。そして父が亡くなった1周忌のときに、子どもが授かっていることがわかり、これは父がくれたいのちの贈り物なのではないかと、神様に感謝しました。

 この間、不妊の辛さを話すことができたのは1册のノートでした。それは、10年ほど前、サポートグループに入っていたときに知り合った仲間でつくった回覧ノートです。ある人が、同じ悩みをもった者同士、いっしょにやりませんかと声をかけてくださって、それに賛同した人が集まりました。不妊への世間の偏見に傷ついたり、同じ思いの人たちが集まっているので、長く続けてこられたんだと思います。

 現在の仲間は10人。そのうち私を含めて3人が妊娠、出産しましたが、あとのカップルは子どものいない人生を楽しんでいらっしゃいます。
みんな同年代なので夫婦のこと、介護のこと、年齢を重ねていくことなど、身近なことをノートにそれぞれがつづります。それを読むと、同じような問題を抱えて生きているんだなあということがよくわかる。悩みや愚痴を聞いてくれる人がいると思うと、どんなに慰められたことか。私が妊娠したことも、みなさん喜んでくれました。各地に住んでいるので、なかなか会うチャンスはないのですが、ときどき集まることはあります。

 今の時代、郵送されてくるノートを回覧しているなんて、むしろ貴重よねと話しています。久しぶりにノートが送られてくると、みんな元気かなあと、うれしくなります。


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