ハウスダストが原因のアレルギー
ダニの死骸やフンまじりのハウスダストは空気中を浮遊しながら目や鼻の中の粘膜にくっついたり、口の中へ入ってゆくことで様々なアレルギーを引き起こします。そのメカニズムは、このシリーズ1回目「
子育て環境とアレルギー」で説明しましたが、主に
鼻炎、結膜炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎の発症に関係しています。
現在、鼻アレルギーの人の7、8割、アレルギー結膜炎の人の8割、気管支喘息の人の7割が、ハウスダストが原因であるとか。なかでも気管支喘息の子どものほとんどがダニをアレルゲンとしています。
また、ハウスダストはアトピー性皮膚炎との関与も深いと考えられています。というのも、アトピーは皮膚の浅い部分に異常がみられることから、アレルゲンは外から侵入してくるものと見られているのです。また、同時にダニに対する抗体ができていることが多いということからも、ダニ混じりのハウスダストが直接の原因となっている可能性が高いと推測できます。それに加えて、食べ物や掻いたりする刺激が、さらにアトピー性皮膚炎を悪化させていると考えられています。
住環境の変化がハウスダストの増加に
ハウスダストは人が室内で生活してゆくなかで、どうしても発生してしまうものです。しかし、戦後の住宅事情の変化から格段に発生しやすくなったのは間違いありません。
現在では気密性が高い住宅が増え、そこへカーテンを下げてソファを置き、カーペットを敷く
洋風のインテリアが普及しました。それらは室内でダニやカビを発生させ、繁殖しやすい環境を作ることになったのです。さらに住宅密集地が増えて庭がある家は減り、家のなかにカビがつきやすい観葉植物を置いたり、アレルゲンとなる毛や羽毛をもつ
ペットを家の中で飼うことも多くなりました。
このように、昨今の住環境はハウスダストの発生源がとても多いと言えます。この
住環境の変化と、アレルギーをもつ人が増えていったことは深く関係しているのです。
アレルギーマーチのひきがねを引かないために、
空気環境を見直そう
「
アレルギーマーチ」という言葉があります。これは、アレルギーの症状が年齢によって変わる現象をいいます。一般に、肌のバリア機能が弱い乳幼児期には湿疹、気管支が過敏な幼児期には喘息、成人すると鼻炎へとアレルギー症状が移行してゆくとか。アレルギーが次々と変化して行進(マーチ)してゆくことからそう呼ばれています。これらのアレルギーを引き起こす一番のアレルゲンが、先に述べたダニまじりのハウスダスト。室内の空気汚染が原因なのです。
生まれてまもない赤ちゃんは、ほとんどを室内で過ごします。そして、肌はまだうすく、バリア機能が未熟でダニなどの外界からアレルゲンを容易に侵入させてしまいます。このシリーズ1回目「子育て環境とアレルギー」で詳しく紹介したとおり、アレルギーが発症する前には、アレルゲンがからだに入りそれに対する抗体をつくるという準備段階があります。再度アレルゲンが侵入した時に初めて抗体が機能し、発症するのです。つまり、この
準備段階を作らないようにすることが、
アレルギー予防の重要な手立てのひとつ。アレルギー体質をもつ人が身内にいる赤ちゃんなら、皮膚のバリアがしっかりするまでの乳幼児期にある程度アレルゲンを排除することが必要です。
小さな子どもをもつ親として、アレルギーマーチのひきがねとなるハウスダストはできるかぎり減らす努力を心掛けたいもの。先に挙げた
ハウスダストの発生源を総点検することから始めてみてはいかがでしょうか。
子どものための快適空気環境
「ダニ/ほこり」
ホコリ1グラムの中に、約100万個のカビ胞子、約3000匹のダニ
|