子ども環境問題1
子どもの健康と環境の新しいとらえ方
2004年10月掲載(専門家のプロフィールは掲載当時)
喘息、アレルギー、化学物質過敏症、電磁波過敏症…数年前まで見られなかったこれらの病気の急増は、子どもたちの身体と環境に大きな異変が起きているシグナル。 「日本だけでなく世界的にも増加がみられる問題」と市民科学研究室の上田昌文さんは言います。 「子どもたちの身体に起きている異常とは?何が原因なのか?」実際のデータを交えて上田さんに教えてもらいました。
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![]() | 教えて!上田さん1 子どもの身体と環境の何が変化しているのか |
「年々深刻化しているのはアトピーや喘息の急増です。喘息は、日本医師会の調査によると30年前は全小児の1%程度だったのが、今は6%。6倍に増えています。アトピー性皮膚炎も、2004年には子どもの3割がそれにあたるというデータがあります。また、最近ではシックスクール症候群やシックハウス症候群などの化学物質過敏症や注意欠陥多動性障害(ADHD※1参照)、自閉症の増加も目立ってきました」
「小児異常の増加を示すデータがいくつかの国で得られています(※2参照)。
「そうです。もうひとつ注目すべきこととして、同じく30年前、1970年代から急増しているのが男児の死産数。厚生労働省の人口動態統計によると、1970年代では女児に対する男児の死産比は約1.3倍だったのが、1990年には約1.9倍、2000年には2.1倍に増えています。特に妊娠中期の12週から15週ではこの傾向が強く現れて、たとえば2002年では女子死産483人に対して 男子死産4840人と、10倍になっています」
「電磁波のシリーズのなかの『妊娠と電磁波』のときも話しましたが、女の子の胎児より、男の子のほうがリスクに対して敏感であると言われています。動物実験ではオスの胎児は放射線や熱や環境的なストレスに弱いことが示されたデータがありますし、水俣病で男子死産の割合が高くなったことも知られています」
「胎児期の健康異変にも気になる傾向が現れています。男児の死産の増加以外にも、未熟児、先天異常児、発達遅滞、神経・代謝・免疫の異常、性分化の異常などがいろいろな健康異変がありますが、たとえば、先天異常について見ると、日本母性保護産婦人科医会が行っている『先天異常モニタリング』によれば、1972年から1997年の25年の調査結果から『徐々に増加する傾向の見られるものに、口唇・口蓋裂、二分脊椎、ダウン症候群、尿道下裂がある』と指摘されています。
「そうです。もうひとつ注目すべきこととして、同じく30年前、1970年代から急増しているのが男児の死産数。厚生労働省の人口動態統計によると、1970年代では女児に対する男児の死産比は約1.3倍だったのが、1990年には約1.9倍、2000年には2.1倍に増えています。特に妊娠中期の12週から15週ではこの傾向が強く現れて、たとえば2002年では女子死産483人に対して 男子死産4840人と、10倍になっています」
「胎児、乳児、幼児の健康異変の原因は3つあります。ひとつは遺伝的要素。両親がアレルギー体質だと子どももそうなりやすいといいますね。ふたつめは生活環境。これは衣食住に加えて親の職業やタバコ、アルコールなどの摂取の有無、ストレスや摂取している薬品なども関係してきます。3つめが化学物質や電磁波、ダニやカビなどの外的な有害因子によるものです(※3参照)」
「確実に増加している原因といえます。しかし、異常の原因はこれ、と特定するのはなかなか難しい場合があるのです。たとえば30年前は今よりも排ガスが多かった時代ですが、喘息は現代の方が6倍も多い。つまり、原因は排ガスだけではないということです。同じように、ヘビースモーカーが全員肺がんになるわけでもない。つまり、遺伝的な要素や生活環境も大きく関わっているということ。3つの原因がそれぞれ影響しあっていると考えられるわけです。
「実際に母親のへその緒にいろいろな化学物質が残留していることはわかっていますから、物質自体が取り込まれていることは確実で、何らかの影響は与えているはずです。ただ、それがどう現れるのか、いつ現れるのかははっきりとは解明されていません。しかし、一つ言えることは胎児、乳幼児は化学物質に対して大人よりもリスクが大きくなる場合があるということです。
「そうですね。特に胎児の場合はどんな化学物質にさらされているのか、正確に把握することもとても難しい。ですから母親である妊婦さんは、少しでもリスクがあるものは避ける努力が必要だと思うのです。| babycom おすすめ記事 babycom Site |
子どもの発達の基礎知識とともに、最新の脳科学や発達科学の研究成果なども紹介し、環境や発達の視点から、健やかな脳に育てるために親が知っておきたいこと、親ができることを考える。

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