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妊娠と電磁波
電磁波の影響、おなかの赤ちゃんは大丈夫?

妊娠中の女性にとって、元気で健康な赤ちゃんを生みたい!というのは一番の願い。そのために食べ物や生活習慣など、今まで以上に気をつけるようになるものです。そんなプレママさんたちにとって気になるものの一つは、やっぱり電磁波の影響。お腹のなかの赤ちゃんにどんな影響があるの? どうすれば電磁波から赤ちゃんを守れるの? など気になる疑問を、上田さんに教えてもらいました。

妊婦さんだけでなく、これから赤ちゃんが欲しいと考えている人にとっても知っておきたい情報です。
電磁波研究を進める市民科学研究室の上田さんにお話を伺いました。



胎児は環境リスクにとてもセンシティブ
電磁波を浴びることで不妊になる可能性も
妊娠したら周囲に理解を求めて
胎児の基準で考えたい安全基準


photo by きくちさかえ

電磁波、どんな影響があるの?

家の中にも電磁波がいっぱい?

街やオフィスの危険な電磁波

子どもと電磁波

妊娠と電磁波

今、未来の子どもたちのために







胎児は環境リスクにとてもセンシティブ

お腹のなかの赤ちゃんに電磁波はどんな影響があるのか?妊娠した女性たちが一番気になる疑問ですが、このことについては、今どれくらいのことがわかっているのでしょうか?

「まだまだ研究段階で、確実なことはわかっていないのが現状です。受精卵から60兆もの細胞になって、1人の人間となってゆく過程を猛スピードで経てゆくのが胎児期ですから、それぞれのステージでどれだけの影響を受けたのかをお腹のなかにいる状態で調べることはとても難しいんですね。しかし、はっきりしているのは電磁波に限らず、胎児が環境リスクに対してとてもセンシティブであるということ。既に生まれた子どもや大人と比べて、放射線や化学物質、電磁波などの影響を受けやすいということは確実です」


イギリスでは、子ども達は脳がまだ発達の途上で頭蓋骨も薄いから、携帯電話からの電磁波の影響を受けやすいということが発表されていましたね。それを考えると、胎児は子ども以上に電磁波に対して無防備だと……。国立環境研究所の疫学調査では、小児白血病の原因に妊娠中のお母さんが電磁波を浴びたことが関係している可能性をあげていましたが?

「そのとおりです。疫学調査や動物実験では、いくつか妊婦と関係する電磁波の影響がデータとしてあがってきています。
とくにはっきりと結果が出たもののひとつに、流産のリスクを調べたものがあります。アメリカの研究機関がサンフランシスコの妊婦を対象に行なった研究では、最大で16ミリガウスの電磁波を日常的に浴びていた10週目未満の妊婦さんは、流産のリスクが5.7倍にもなるという結果がでました」


約6倍ですね! ずいぶん確率が高くなるようですが、その16ミリガウスというのはすごく強い電磁波なんですか?

「それが、特別に強いものではないんです。身の回りの家電でも数十ミリガウスの電磁波を出しているものがありますし、電車に乗っていても場所によってはそれくらい被曝します。あとは影響の大きいものとして一番にあげられるのが携帯電話ですね。鶏卵を使った動物実験をフランスのBastideたちが行っていますが、携帯電話と同じレベルの電磁波を21日間鶏卵にあて続けたところ、ひよこの死亡率が50〜60%にもなったという結果が出ています」


死産、流産に電磁波が関係するかもしれないことを示しているのですね。

「死産に関してもうひとつ注目したい驚くべきデータがあるんです。
厚生労働省の『子どものからだと心白書』によると、1970年代では男の子の死産は女の子にくらべて1.3倍くらいだったのが、この頃から胎児の男の子の死亡率がどんどん上がり、2001年では2.23倍にもなっているんです」


ずいぶん急激に増えていますね! 男の子の出生数が減っているということですか?

「死産の性比の変化がただちに出生性比の変化に影響するとは言えないのですが、出生性比は確かに変わってきているのです。一般に出生数は女の子より男の子が多く、その出生性比は一定であることが知られています。女100に対し男106で1.06です。ところが戦後、主に先進諸国では男の子の出生比が徐々に下がってきました。このこと自体も何らかの環境の影響の現れだと考えられます。男の子の胎児というのは、環境のリスクを女の子よりも受けやすいと言われています。
1970年以降といえば電磁波や化学物質が環境中に溢れはじめた頃ですよね。そのころから、男児の死産の比率が急激に増加しているわけです。こんな増加がはっきり確認できたのは今のところ日本だけのようです。」


大人達が気づかないレベルの環境の変化でも、胎児は敏感に受けてしまっているんですね。



電磁波を浴びることで不妊になる可能性も

死産、流産に電磁波が影響していることがわかりましたが、不妊はどうなんでしょうか?
今、子どもが欲しいと考えているカップルの10組にひと組が不妊ともいわれていますが、不妊の原因と電磁波とは何か関係がありますか?

「不妊というのはプライバシーに関わることから、なかなか表に出づらい問題ですが、子宮内膜症の増加や精子数の減少を指摘する報告が出てきていることは事実です。
電磁波だけでなく、環境ホルモンなどの影響で男女ともに生殖機能が低下していることが今、問題視されています。電磁波や有害化学物質の氾濫、生活習慣の変化など複合的な影響があるとは思いますが、電磁波と不妊の因果関係を考えさせる動物実験のひとつに、1997年にギリシャの研究者たちが行なった実験があります。
ここでは、マウスに高周波を5世代にわたってあて続けたところ、不妊が起こるという結果が出ているんです」

高周波というと、やっぱり携帯電話ですよね……。
妊娠しているしていないに関わらず、やっぱり携帯電話には特に気をつけたほうがよさそうですね。



妊娠したら周囲に理解を求めて

電磁波が妊娠、出産に何らかの影響を与えてしまうことを示すデータが出てきているんですね。
しかも、普通に生活している環境のなかで浴びてしまうレベルとは!妊婦さんはよっぽど神経質になるべきということでしょうか…。

「いつどれくらいの量を受けると危険とか、どの程度なら安全とかがはっきりとしていない以上、胎児の影響を考えればできる限りリスクを避けることは大切です。
以前も話にでましたが、ドイツやロシアでは、妊婦に対して携帯電話の使用を制限するように指導しています。イギリスでも同じように子ども達に対してそういった措置がとられていますから、さらに影響を受けやすい胎児にはなおさらでしょう」

日本ではまだそういった国レベルでの指導がない以上、お母さん達は自分でできるかぎり気をつける必要がありますね。

「そのとおり。以前にお話したような予防方法(「電磁波から身を守るには」、「この家電のここに注意!&こんな対策」参照)は最低限とって欲しいものです。
妊婦さんは携帯電話を極力使わないようにして、使うにしてもお腹のあたりに電磁波が当たるようなことは避けた方が無難だと思います。あとは夫や両親などの身近な人たちにも理解してもらうことも大切だと思いますよ」


自宅だと自分で気をつけてある程度対策もとれますが、働いている妊婦さんの場合、オフィスでの対策が難しいと思いますが……。こういうことを言い出すのはとても勇気がいりますよね。少し変わった人、といった風にみられてしまうことも……。

「一般にはあまり知られていないことですから、なかなか口に出して言いずらいでしょうね。こういった、電磁波の弊害や対策についてはっきりと口にできない現状が、電磁波問題のやっかいな点です。勇気を出して、職場の人たちと相談してみてください。
先程話にでたような電磁波の悪影響のデータを伝えたりして、理解を求めることから始めてみてはどうでしょうか」


病院によっては電磁波過敏症の診断書を出したり、妊婦に電磁波を避けるように指導するところもありますからね。
そういったことを職場に伝えてみることもいいかも。



胎児の基準で考えたい安全基準

電磁波問題は、身体にどう有害なのかといったメカニズムがまだ解明されていないため、なかなか社会全体に認知されていません。きっと科学的に解明されてゆくのはまだまだ先ですよね。
もしかしてわからないままなのかもしれません。そう考えると、上田さんが今日お話してくれたような実験データや統計をもっと重いものとして受け止めることが大切に思えるんです。このデータが発信している何らかのシグナルをちゃんと受け止めて、予防と対策を考えなくては、と。

「そのとおりです。今まさに妊娠しているお母さんたちにとってはまったなしの問題ですから。社会が対策をとってくれるまでのんびりと待っていられないんです。
電磁波や化学物質等の環境リスクに対して、もっとも敏感で影響を受けやすい存在が、妊婦さんや胎児です。社会が考える環境の安全基準というのは、たいていが健康な大人が基準になっています。妊婦さんや胎児にとってはどうなのか?といったことは考えられていない。
本当は安全基準をもっと敏感な妊婦さんや胎児のほうへシフトさせることを考えなくてはいけません。より弱い者を守るための規制です。それが次の世代の健康にもつながっていきます」


お腹の赤ちゃんにも無害、となれば本当の安全基準ですよね。
妊婦さんだけに限らず、将来子どもをもつ女性たちにもあてはめたい基準です。妊娠していなくても、女性は生まれた時から赤ちゃんになる卵をすでに身体に持っていますからね。


2003年11月掲載 2005年9月更新


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