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不妊体験・不妊治療レポート
不妊を考える「ウノトリはやってくる?」


子どもを産むのはあたりまえのこと?
 鈴木良子さん(フィンレージの会会員)

いまどきの不妊

不妊は病気?

だれのための不妊治療?

なぜ子どもを産みたいのか

仲間同士の支え合い


 最近は、結婚して3ケ月ほどで「もしや不妊では?」と悩む人が多くなりました。10年ほど前は、結婚1〜2年目だったのに、今は悩みはじめるのが早くなっていますね。結婚してふつうにセックスをしていていれば、1ケ月でできると思っている人もいますが、排卵に合わせてタイミングよくセックスをしても妊娠する確立は20%と言われています。

 新聞などに不妊や生殖医療のことが頻繁にとり上げられるようになったことで、不妊への不安が広がっているのかもしれません。
不妊は年々、医療化が進み、生殖技術は高度化しています。そうした中で象徴的なニュースがマスコミに報道されることも多くなりました。

 そのひとつが60才で妊娠、出産した女性の話です。閉経後の、自然に妊娠できる年齢を越えた女性が、人から卵子提供を受け、出産したケースです。厚生科学審議会では、卵提供に関しての年齢制限を設けようとしていますが、そうした措置に不満を感じる人たちもいます。このニュースは、多くの女性に可能性を示してくれたかもしれませんが、一方で閉経しても治療をやめることができなくなる恐ろしさを感じたという人たちも大勢いるはずです。

 もうひとつは死んだ夫の凍結精子で妊娠した、最近のニュースです。この場合は夫の精子ということで踏み切ったのだろうと思いますが、先端技術は父親の死をも越えられることを証明する出来事でした。海外では、交通事故で死んだ子どものクローンをつくる計画も公表されています。

 もちろんこうしたニュースはごく一部のことで、一般の多くの人の不妊治療は、愛する夫との子どもがほしいという純粋な願いに答えるものです。でも、生殖技術が進めば進むほど、そこにある技術をつかえばどうにかなるという期待はふくらみ、治療がやめられなくなってしまうこともあります。

 タレントの向井亜紀さんが、アメリカで代理母出産を計画していることが週刊誌で報じられています。病気で子宮を摘出した彼女は、夫の精子と自分の卵子を授精させ、代理母に託す予定のようです。もし成功すれば、日本でははじめての代理母出産におけるカミングアウトとなるでしょう。

 代理母の議論は日本でもなされていますが、お産という場合によってはリスクの高い、死に直面する可能性のある大変なことを、どうして他人に頼めるのだろうかと私は思います。産む女性に万が一のことがあったらどうするのか、それが一番心配です。


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