赤ちゃんの歯の健康は、胎内からスタート!

歯育・子どもの歯を育てる

2. 赤ちゃんの歯の健康は、胎内からスタート!【Part.1】

取材協力・監修:北原信也 先生(2006年11月掲載・2017年11月再編集)

妊娠初期の胎生7週目には乳歯のもとが、14週目には永久歯のもとがつくられ始めます。しかも、胎児の時期からお母さんの羊水を通して味覚も形成されていくのです。
赤ちゃんの歯や味覚が健やかに発育するためには、お母さんの食生活やライフスタイルは重要なポイント。
シリーズ2回目は、胎児の歯はどのようにつくられるのか、妊娠中の喫煙や化学物質が胎児に及ぼす影響、そして赤ちゃんの健康な歯をつくるマタニティの食事について学んでいきます。

【Part.1】虫歯予防はマイナス1歳から!

【Part.2】喫煙が妊婦と赤ちゃんの歯に及ぼす影響

【Part.3】妊婦の食事が赤ちゃんの健康な歯をつくる



妊娠7周目に乳歯のもとがつくられる

赤ちゃんがお母さんのおなかの中に宿って、活発に細胞分裂を繰り返すころ。妊娠7週目にはすでに「歯のもと」がつくられていることを知っていますか?

乳歯の「芽」とも言える「歯胚」は、胎生7週目ころにつくり始められ、10週までにすべての乳歯がすでに発生しているのです。永久歯は胎生14週目ころから。第一大臼歯や前歯は妊娠中にすでに歯胚が発生します。出生後、乳歯が生えてからも永久歯は歯肉の中でゆっくりと時間をかけて成長していきます。
このように、赤ちゃんの歯はマイナス1歳からつくられ始め、母体の健康状態や栄養状態が赤ちゃんの歯に大きく影響します。北原先生は「妊娠中の正しい食生活が、赤ちゃんの歯や味覚をつくるもとになる」と言います。

おなかの中で「食べる」準備

脳に味覚を伝達する機能をもつ「味蕾」も、妊娠7週目ころから形成されます。赤ちゃんが生後2〜3カ月にはすでに自分の好みの味をもっているのはよく知られていますが、実は、おなかの中で羊水を通して味覚を形成しているのです。羊水とはおなかの中にいる赤ちゃんのおっぱいのようなもので、赤ちゃんが飲むこともあります。この羊水の味や成分は、母親の食事が大きく影響しています。また、味蕾の形成のピークは妊娠5カ月〜生後3カ月で、その数は10000を超えます。成人の味蕾の数が7500〜8500なのに比べて約3割多く、それだけ鋭敏な味覚を赤ちゃんは持っているのです。

また、赤ちゃんが出生後すぐにおっぱいを飲むための「ほ乳」の能力も、おなかの中で育まれます。胎児が口を開けるようになるのは8〜9週目ごろ、口唇を動かすようになるのは14週、指しゃぶりは15〜20週目に、おっぱいを吸うための吸啜行動は24週目ころに行われるようになります。

妊娠したその時から始まる「歯育」

このように、おなかの中ですでに「食べる」という発達過程はつくられており、それだけに妊娠中の食生活やライフスタイルはとても重要。「歯の強さ弱さは遺伝によるものと考えられがちですが、歯の形、歯並びや骨格が遺伝することはあっても、虫歯は遺伝しません。歯の性質の強さは、妊娠中の母体の栄養状態に大きく影響を受けるのです」と北原先生は話します。

歯の強さは「歯の石灰化」に由来していますが、これを促進するのはカルシウムやリンなどのミネラル分。胎盤が完成し、胎児と母体が臍帯でつながるようになる4〜5カ月ごろに胎児の歯の石灰化はどんどん進んでゆきます。この時期にお母さんの栄養状態が悪いと、赤ちゃんの歯が弱くなったり虫歯ができやすい性質になると考えられます。

つまり、妊娠したその時から赤ちゃんの「歯育」は始まっているということ。「マイナス1歳からの虫歯予防」をキーワードに、妊娠中の食生活を考えてみませんか。


マタニティの歯のケア

One Point Advice
北原先生のワンポイント・アドバイス
妊娠中は赤ちゃんにカルシウムが取られるって、 本当?

北原 信也(きたはら・のぶや)先生(ノブデンタルオフィス院長)
顔、唇、歯、歯肉それぞれを科学的かつ審美的に分析し、一般治療から審美修復治療、メインテナンスプログラムにおけるまで、口腔プロデューサーとして治療・予防に全力を尽くす。著書や講演会も多数。歯のケアを通して子どもの知的発達を促すことを目的とした歯科医と教育カウンセラーによる日本初の「歯育」プロジェクト、ノブキッズ・プロジェクトの代表でもある。


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1.赤ちゃんのために知っておきたい
 マタニティの歯のケア

2.赤ちゃんの歯の健康は胎内からスタート

3.乳歯の生える時期と赤ちゃんの虫歯

4.0歳からの歯のケア

5.はじめての離乳食と歯の健康

6.よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!

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