0歳からの歯のケア

歯育・子どもの歯を育てる

4.
0歳からの歯のケア【Part.1】

取材協力・監修:北原信也 先生(2007年3月掲載・2017年12月再編集)

食べ物を噛む、つぶす、やわらかくして消化しやすくする…。歯は、人間が健康なからだを維持するうえでなくてはならないもの。「いちばん始めの消化器官」とも言われ、これからどんどん成長していく赤ちゃんの「食べる力」を支えます。そのうえ、骨格や容貌、発声や発音にも大きく関係する歯。虫歯だけでなく打撲など、歯に何らかのトラブルが起きてしまうと、その後の発達にも影響を与えてしまいます。

健康な歯を維持するためには、毎日のていねいな歯みがきが欠かせません。歯みがきタイムは、子どもとの大切なコミュニケーションの時間。いかに楽しく過ごすか、そしてきちんとブラッシングができるよう、工夫してみましょう。シリーズ4回目は、健康な歯を維持するための、正しいケアの仕方について学びます。

【Part.1】はじめての歯のケア、どうやればいいの?

【Part.2】歯みがきに勝る予防なし。正しくみがいて虫歯を防ぐ

【Part.3】歯みがきタイムを楽しくするコツ



生える前の歯茎のケア

6か月前後から乳歯が生えはじめ、ひとつ、またひとつと歯が増えていくにつれ、母乳やミルク以外のものを口にするようになる赤ちゃん。離乳が完了する1歳半頃になると、奥歯も生えはじめ、たいていのものは食べられるようになります。食べる時間は、赤ちゃんにとっても楽しみのひとつ。歯が痛かったり、食べにくかったりすると、食も細くなりがちです。健康な歯は健やかなからだと心の発達を促すために必要不可欠なのです。

歯が生えはじめる萌出期(6か月頃)から、赤ちゃんは歯ぐきがむずむずするようになります。自分の指や近くにあるものをなめたり、しゃぶったりするようになりますが、これは口やその周辺の感覚を刺激し、食べる、噛む動作の準備段階。この時期になるべく親が赤ちゃんの歯ぐきをさわったり、口まわりへの刺激を与えることで、歯ブラシの導入をスムーズにすることができます。この頃は、歯の萌出によって口腔内環境が変化するため、唾液の分泌量が多くなります。唾液には殺菌力や抗菌作用があるため、これから生えてくる歯のためにもこの時期に口まわりに適切な刺激を与え、唾液の分泌を増やすことは大切です。歯が生える前の歯ぐきのケアとしては、ぬるま湯でぬらしたガーゼで歯ぐきをぬぐってあげるとよいでしょう。

はじめての乳歯が生えたら、いよいよ歯みがき

はじめての乳歯が生えてきたら、いよいよ歯みがきのはじまりです。たいていの場合は下の前歯から生えてきますが、下の前歯は唾液を分泌する腺から近いため、歯の裏についたミルクは唾液で洗い流されます。この時期は、歯ブラシに慣れさせることを第一にし、無理やりきれいに磨こうとしなくても大丈夫です。上の前歯は、唾液の洗浄作用が及びにくい場所に生えます。そのため、上の前歯が生えてくる時期を目標に赤ちゃんの歯みがき習慣を定着させ、スムーズにブラッシングができるよう準備をするとよいでしょう。

歯の数が増えてくると、それだけみがく本数も増え、歯間や隙間、臼歯のギザギザなど、みがきづらい箇所も出てきます。歯と歯ぐきの間、歯と歯の間、奥歯、上の歯の裏側など、虫歯ができやすい場所は決まっています。「みがきやすいところだけみがいていては、虫歯を防ぐことはできません。みがきにくいところこそ虫歯の発生ポイントと心得て、しっかりケアする工夫を」と、北原先生は呼びかけます。

>歯ブラシ選びのポイント

歯ブラシ選びのポイントは?

正しい歯のケアのためには、何と言っても歯ブラシ選びは最重要ポイント。
「赤ちゃんの歯ぐきはとてもやわらかく、敏感です。歯肉に硬い歯ブラシが当たってしまうと、痛がったり、チクチクしてしまいます。痛ければ、赤ちゃんは泣いてしまうはず。赤ちゃんが歯ブラシ嫌いにならないようにするには、まずはやさしく、ていねいにブラッシングしてあげることが大切」と、北原先生は話します。

そのためにはまず、赤ちゃんにぴったりな歯ブラシを選ぶこと。ヘッドがコンパクトで毛がやわらかく、弾力性のあるものを選びましょう。
歯ブラシは鉛筆を持つように握り、歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを当ててやさしく振動させるようにみがきます。奥歯が生えてきたら、噛む面(ギザギザの面)と直角に歯ブラシを当て、奥から手前に掻き出すようにみがきます。また、歯と歯の間の歯垢をとるためには、フロス(糸ようじ)も必須アイテム。のこぎりをひくように小さく動かしながら、歯と歯の間にフロスを入れていきましょう。


0歳からの歯のケア

One Point Advice
北原先生のワンポイント・アドバイス
赤・緑・黄・白「歯」育歯ブラシで正しくブラッシング!

北原 信也(きたはら・のぶや)先生(ノブデンタルオフィス院長)
顔、唇、歯、歯肉それぞれを科学的かつ審美的に分析し、一般治療から審美修復治療、メインテナンスプログラムにおけるまで、口腔プロデューサーとして治療・予防に全力を尽くす。著書や講演会も多数。歯のケアを通して子どもの知的発達を促すことを目的とした歯科医と教育カウンセラーによる日本初の「歯育」プロジェクト、ノブキッズ・プロジェクトの代表でもある。


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歯育・子どもの歯を育てるデンタルケア

歯育・子どもの歯を育てる インデックス

1.赤ちゃんのために知っておきたい
 マタニティの歯のケア

2.赤ちゃんの歯の健康は胎内からスタート

3.乳歯の生える時期と赤ちゃんの虫歯

4.0歳からの歯のケア

5.はじめての離乳食と歯の健康

6.よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!

北原先生のワンポイント・アドバイス


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