ワーキングマザー応援エッセイ
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WM特集 エッセイ 子育て・仕事・わたし2

子どもの要求とお母さんの生活

babycom「育児・子育て」で、生後一ヶ月からの『子どものからだと病気 - ひだまりクリニック』を担当していただいているDr.ひだまりさんの連載エッセイ。「子育ても仕事もどちらも大事」と言うひだまりさん。ふたりのお子さんを育てているご自身の体験からの、ほんのりあたたかいワーキングマザーへの応援エッセイです。

 ........なんでも子どものため・・・
 ........折り合いをつける地点を見つける
 ........自分らしい子育てを


生まれたての赤ちゃん、まじまじと観察できる職業であることをつくづく幸せに思います。なんて可愛いんだろう、と素直に思いますし、同時に神秘的で神々しい、大事にしたいと胸が締め付けられるような切なさ、この信頼しきった眼差しに応えられる大人にならなければ、この子に少しでもよりよい世の中を残してあげなければ・・・という気持ちも湧いてきます。たまたま出会ったよその子に対してもそう思いますから、我が子の場合、ましてや初めての子どものときは、どんなにかその気持ちが強いことでしょう。

大事で大事で何でもしてあげたい。そんな風に思ってしまうのがお母さんです。だから、泣いたら、ずーっと抱っこ、ずーっとおっぱい。泣く状態を取り除いてあげるのが、お母さんの仕事、子どもの不快を快にしてあげるのがお母さんの仕事、とすると、それこそエンドレスかつ大変ハードな仕事になります。泣くのはお母さんを信頼してのこと、心地よくしてもらうと子どもは本当に幸せなんですよ、と言いますし、もちろんそのとおりに思っています。

親って不思議です。子どものために動ける、子どもが気持ちいい、嬉しいお顔をすると、それだけで報われる気がするんですものね。そういう力や気持ちが何処からくるのか、どのように育つのか、時々考えます。お母さんが愛された遠い昔の記憶にもないような記憶、自分を愛すること、他人を愛すること、他人から愛されること、そういうところからくるんだと思います。愛が愛を生むんでしょうね。そして、愛は無限に広がっていくこともあるだろうと思います。
でも、子どものために生活することは、お母さんの生活を脅かすことになるのは経験者には身につまされる事実なんですよね。まず眠れない、肩が凝る、汚れる、自分のための時間が作れない、慢性疲労状態、おっぱいのトラブル、病気、いくらでも出てくる家事、大変さはいくらでもあげられます。

子どものために・・・と必死になっていて見えにくくなっていることがあります。 それは、親が苦しすぎると、子どもも苦しくなっていくこと。そして、悪循環に陥っていくこともあります。親がこうあらねば、きちんとしなくては、と自分に無理をさせつづけると、そして無理が限界を超えると、それは子どもに跳ね返ってくるんだと思います。身体が辛すぎて子どもが可愛いと思えないとか、ウツウツして育児が楽しく思えないとか、そんな状況になっている人にたまに出会います。もちろん、だれにだってそういう時間ってあると思います。そんな風に思うことがいけないというのでなくて、そういう気分から抜け出られなくなることになるほど無理をしすぎないでね、と思うのです。


がんばれる範囲というのも人それぞれ、考え方も人それぞれ、育児はお母さんと子の組み合わせだけあるような気がします。自分のやり方は自分で見つける、自信を持って私らしい子育てを見つけていく、育児生活ってそういうことだと思います。それは、一ヶ月やそこらでは普通見つかりません。失敗しつつ見つけていくんですよね。だれだって。
中には早い人もいます。そして、私のように何年も悩みつづけてやっと、という人もいます。その何年という長い回り道も無駄ではないと信じたいです。
子どもの幸せな顔がすなわち自分の幸せになる、という育児であればいうことないですし、そういう人も確かにたまにいます。でも、子どもの要求と自分の生活がぶつかる場合、子どもと自分、相談しあって、この辺で双方我慢しようというあたりがそれぞれにあると思います。そういう折り合いをつけられる地点というのを見つけていくのが育児生活の大事な部分ではないかなぁと思います。

赤ちゃんが抱っこ抱っこ…と泣いていても、こちらの都合で抱けないこともありますよね。ごめんねー、もうちょっと待っててねー、今これをしないとだめなんだよね、すぐだよー、ごめんねー、と心から謝れば、子どもは許してくれるんですよ。お母さんの心を不思議なほど、子どもはよく感じているんです。そういう意味で、子どもって天才!って思います。仕事を中断してかけつけて抱っこしてあげて、泣き止んでも、心が子どもに向いていなかったりイライラと不満いっぱいの心で抱いているのとでは、どちらがいいのでしょう。そんなことを考えてしまいます。


育児は生活です。その時々、気分や状況で、いろいろ待ったなしの選択が迫られます。必ずしも理想的な行動ばかりとれるわけでもありません。そんな生活の中から、自分らしい子育てができるようになってくる、ということではないでしょうか。お母さんの幸せと子どもの幸せ、一致すれば一番いいです。でも、ぶつかる場面も暮らしの中には多々でてくるでしょう。そういう時は、流動的に様子をみつつ、無理のない範囲で頑張ればきっと大丈夫です。心の中の気持ちは子どもにきっと通じていると思います。

一言、書き足しておくと、実は私はいまだに失敗だらけで後悔の多い子育ての修正に苦しんでいる最中です。 だから、人にアドバイスをするというよりも自分に「無理のない範囲で頑張る」ということをいいきかせているような部分があるんです。それでも、やっとこの苦しむ、悩む、ということを肯定的にとらえられるようになりました。そう、成長しているんだと思えるようになったんです。微々たる成長ですけどね。 お互いがんばりましょう。



ワーキングマザー応援エッセイ

子育て・仕事・わたし CONTENTS

昔の常識、今の非常識?

子どもの要求とお母さんの生活

お母さんの秘けつ

力を持っているからこそ.......

「母性のかたち」

子育てはキャリア(1)

子育てはキャリア(2)

ワーキングマザーの5月病


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