ガスと電気の違いはどこにある?Lohas ロハスな台所
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ガスと電気の違いはどこにある?


ガスと電気の違いはどこにある?ロハスな視点から考える台所の「火」について。
今回は、つぶつぶカフェの大谷ゆみこさんとNPO市民科学研究室の上田さんと台所のエネルギーの使い方が地球にどんな影響を与えるのか、というテーマで話し合って頂きました。
お話のなかから “ロハスな台所仕事”を実現するために、私たちができることのヒントが見えてきました。


協力/NPO法人市民科学研究室 2006年1月掲載



ueda
Ueda
大谷さんが提案する「穀物菜食」は活力たっぷりで作る手間も少ない。その上ゴミも出なくて電気やガスなどの消費エネルギーも最小限。人にも地球にも実に好都合な食のかたちであることが、前回ではよくわかりました。

今回は、もう少しマクロ的な視点からキッチンを眺めたいと思います。たとえば、キッチンへ入ってくる食材、そしてガスや電気などのエネルギーはどこからどのようにやってくるのか?
普段はあまりそこまで考えないと思います。

ohtani
Ohtani

では、一番わかりやすいところで食材の調達から考えてみましょうか。
たとえば、デパートで生鮮食品を買うとき、いちばん新しい日付のものを探して購入する、という人は多いでしょう。一番新しいものは一番おいしい、と考えているのかもしれない。もしくは少しでも古いものは体に悪い!と思っているのかもしれませんね。

でも、この行動をロハスな視点から考えてみると、残った古い日付の食材はどうなるのか?ということが浮かんできます。もちろん最終的には食材はもちろん、パッケージもゴミになるわけです。さらに、デパートに並ぶまでの輸送コストや品質管理のための冷蔵、冷凍にかかったエネルギーなど、すべてが無駄になる。

一番新しいものを選ぶことで自分は満足かもしれないけど、地球にとっては大きなロスとなるわけです。


Ueda
その通りですね。ひとつの食材には見えないエネルギーコストもある、ということですね。
見えないエネルギーが使われている、という点ではカップラーメンなどのインスタント食品やレトルト食品もありますね。消費者の手間は省けているけど、実は製造の過程で多くのエネルギーが消費されている上、容器がゴミにもなるし。

Ohtani
そう! 安くて手軽なファーストフード、なんていうけど本質を考えればそれは違う、と言いたい。100円のものだって、栄養的には10円くらいのものです。
私は、小腹が好いたときのファーストフードなら、そば粉をおすすめしたい。カップにそば粉とお湯を1対1ぐらいの分量入れて、練るだけでおいしいそばがきのできあがり。しょうゆとネギを加えたり、大根おろしをのせてもいい。3分もかからずにできるうえ、ミネラルや食物繊維、ポリフェノールも豊富で体にもいいでしょう。
上質なそば粉を家庭にいつも常備しておけば、いつでもロハスなファーストフードができますよ。


つぶつぶカフェ1
Ueda
家庭のキッチンのなかだけを見ていたり利便性だけを考えていては、ロハスな視点は身につかない、ということですね。 同じように、エネルギーの種類によっても、使う側からは見えないロスが存在するということも知ってもらいたいと思います。

つぶつぶカフェ2
たとえばトーストを焼くとき。電気トースターを使うか、ガスコンロにのせたグリルパンを使うか、どちらのほうがエネルギーロスは少ないと思いますか? キッチンのなかだけで見れば、多少の差こそあれ、さほど変わらないかもしれない。しかし、地球規模の視点から眺めてみると、これが大きく違うのです。 都市ガスは製造時や家庭へ送り届ける輸送時のエネルギーロスがほとんどなく、工場で生まれた100のエネルギー量は、家庭に運ばれたときもほぼ100のままです。
それに対して、電気のほうはといえば石油や石炭、天然ガスなどのエネルギーを使って、初めて得られるもの。製造、輸送する間のロスはガスに比べると格段に多くなります。家庭で電気を100使うとしたら、工場ではほぼ270のエネルギー量(※)が必要になります。工場での廃熱ロス、輸送時の送電ロスでそこまで減ってしまう。

※『エネルギー白書2004』(経済産業省)より
 (日本の電力効率37.3%との記載から100÷0.37=270を導いた)

Ohtani
得られる熱源だけを見ていてはわからないことですね。地球レベルの視点を身につけると、
トーストひとつ焼くにしても、どちらが地球にやさしいのかがはっきり見えてきます。


Ueda
熱源として電気を使うことは効率がよいとは限らない、と推測することができます。
だからこそ、今、急速に広まりつつある電化住宅は本当に省エネルギーなものといえるのかどうか、疑問が生じるわけです。



Ohtani
今、IHクッキングヒーターが広まってきたでしょう。
調理の熱の使い方として本当に適切なのかしら、と疑問に思えます。

Ueda
エネルギー効率の問題に加えて、家電製品の中で特に強い電磁波を出していることから、健康への影響も懸念しています。
特に注目しなければいけないのは妊婦・胎児への影響です。すでにこのサイトの「妊娠と電磁波」で紹介しましたが、アメリカの研究機関がサンフランシスコの妊婦を対象に行なった研究では、ピーク値でみて16mG(ミリガウス)を超える低周波磁場(家電製品や送電線から出る電磁波)を日常的に浴びていた10週目未満の妊婦さんは、流産のリスクが5.7倍にもなるという結果が出たのでした。

家電製品は、身体を製品から1メートルほど離せばそこから出る電磁波がほとんどゼロになるものが大半ですが、電気毛布のように密着して使うタイプのものや、IHのように身体を近づけてそれなりに長い時間使うタイプのものは、被曝の避けようがありません。私たちが10機種ほどのIHを計測した結果でも、普通に調理する位置で20mG を超えるような場合が数件ありました。学校給食やレストランの調理室に置かれている大型の業務用IHは家庭用よりもかなり強い電磁波を出しています。
長時間調理に携わることを考えると「国際的な基準値(50Hz で1000mG)以下だから安全だ」とばかり言ってはおれないと私は考えています。調理器の高さが腹部に近い位置にあることを考え合わせれば、とりわけ妊婦さんにとっては決してお薦めできない調理機器と言わざるをえないのです。


つぶつぶカフェインテリア
Ohtani
電磁波のリスクもそうですが、もうひとつ、IHクッキングヒーターに対して、私が心配しているリスクがあります。
それは、火に対する感覚を養う場がなくなるということ。火を使わないから安全、というのは確かにそうだけど、私は逆に、燃え立つ炎の怖さを知らない子どもが大人になってゆくことも不自然だと思うのです。

炎を自在に使いこなして調理する感覚は、古い昔から台所で培われてきた、人間が生きてゆくための感覚でしょう。火や食材の様子を伺いながら、それとじっくり向き合うことで自らの手も自動的に調理器の役割をこなしてゆくの。それは「スイッチポン」でおまかせの調理器具じゃ養われないものです。
力がこもった食を得るための、サバイバルな感覚が得られなくなるでしょう。マニュアルだけの人間になってしまう。

食べるということは、命を頂くということ。命のある食材を食べるのだから。命はマニュアルではかれるものではないでしょう?
大根ひとつとっても、みずみずしいもの、固いものがある。葉に近いところ、根に近いところによって辛かったり甘かったり、味もいろいろです。
食材の様子をみながら、また、自分自身の体調も考えながら調理に自分なりのさじ加減を加える。食の豊かさって、豪華な食材や手のこんだ調理法だけじゃなく、そんな作り手のさじ加減に本質があると思います。



Lohas ロハスな台所

Lohas ロハスな台所 INDEX

1.キッチンの中のエネルギー

2.ロハス的思考で変わる台所仕事

3.ガスと電気の違いはどこにある?

4.一日に電磁波どれくらい?電磁波チェック!

5.ロハスな生活・新しい発想の提案

地球とわたしのロハスライフ by 中村幸代


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