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電磁波
電磁波対策 緊急レポート
「日本の電磁界の規制のゆくえは?」

第3回:規制は不要、リスクコミュニケーションで、というけれど…




  電磁界対策ワーキンググループの委員会が終了しました(2007年12月20日の第6回にて)。最終報告書案が経済産業省のホームページに掲げられ、それに対するパブリックコメントを2月22日まで応募しています。

 委員会の最終的な結論は、この報告書案の32ページ以下の「政策提言」にまとめられています。規制に関しての結論は、「高レベルの磁界の短期的な曝露」に対しては、
「ICNIRP が1998 年に定めた一般の人々への曝露ガイドラインの制限値(参考レベル)(100μT(50Hz)、83μT(60Hz))を基準値として採り入れる等必要な諸規定の整備、改正を行うべきである」(34ページ)
つまり、これまで磁界の規制値がなかったことを改めて、東日本では100マイクロテスラ、西日本は83マイクロテスラの規制値を採用することを決定しました。ただし、このレベルの曝露は日常生活ではまず生じることがありませんから、この改正が行われたからといって、何が変わるわけでもありません。問題は次の「低レベルの磁界の長期的な影響」です。これに対しては、最も争点となる小児白血病との関連について、
「疫学調査で関連性が示される、磁界曝露と小児白血病に関する証拠は、因果関係があると見なせるほど強くないというのが一般的な理解である」(24ページ)
との判断に立ち、WHOの報告書を引いて
「EHC No.238 では“慢性影響の閾値は認められていない”、また、“小児白血病のデータに基づいて超低周波磁界への曝露が0.4μT を下回るように低減させるための曝露制限値を導入することは社会全体の便益をもたらすことはありそうもない”と述べられている」(33ページ)
を論拠に、規制や新しい電磁波低減対策の導入は行わないことを決めました。したがって、結果的には、高圧線や家電製品などから曝露する低周波磁界は100マイクロテスラ(あるいは83マイクロテスラ)以下なら「安全」とみなしてよい(=危険だとみなす理由はない)、との現状容認に落ちついたことになります。

 しかし一方で、これでは一般市民の中に「安心」できない人も少なくないだろうことにと配慮して、新設の電力設備や高圧線については従来とられてきた
「高鉄塔化、鉄塔コンパクト化、逆相配列化などの磁界低減に向けた努力を可能な範囲で引き続き継続することが望ましい」(37ページ)
とし、磁界曝露と健康影響との関係の不確かさを減らすために各省庁が連携しての研究プログラムを推進することが必要だと指摘し、そして
「電磁界の健康リスクを中心とする様々な情報を収集し、例えば、最新の知見や日常生活における曝露状況等の情報について双方向のやりとりをきめ細かく行い、不安や疑問を持つ人々との信頼感の構築を目指すリスクコミュニケーションの増進を目的とした、中立的な常設の電磁界情報センター機能の構築が必要である」(36ページ)
と述べています。

 この最後の、「不安」を減らすにはリスクコミュニケーションをもって臨むべし、との提言は、具体的には例えば、電気事業者が幼稚園、保育所、小学校等多数の子供が定常的に集まる場所近くに電力設備を新たに設置する場合には、
「近隣住民等の心情に配慮して、住民との合意形成に格別の努力を払うべきである」(36ページ)
といった、これまで疎かにされてきた点にまで言及していることは評価できるでしょう。しかしこれも、「格別の努力」を求めるだけで、住民の合意を得ることをルール化しようとするものでないだけに、実際にどれくらい生かされるのか、疑問が残ります。また、「中立的な情報センター」と言うならば、そのセンターに専門的助言をなす人々の人選からして誰もが納得できるように組まねばなりません(例えば、「携帯電話電磁波の人体影響はなし」との結論を出した、総務省の「生体電磁環境研究推進委員会」のメンバーの約3分の1が情報通信関連業界から選ばれているのは、中立からの逸脱の典型です)。まずは、そのセンターは、今回のワーキンググループに対して提出された様々な市民団体からの意見(このサイトの中に「資料10」としてPDFファイルで収められています)を丁寧に検討してきちんと応えていくことから始めるべきではないでしょうか(ちなみにこの中の「意見番号12」は私が提出したものです)。省庁の枠を超えての研究と言うのなら、すでにイギリス、オランダ、アイルランド、イタリアなどとられているリスク対策を詳しく調べて、それが市民にどう受け入れられているかを明らかにしてほしいと思います。

 電磁波問題は科学的には不確定な要素が多いからこそ、よりいっそう開かれた「参加と議論」が求められます。冒頭に述べたように、この報告書案に対して意見募集がなされていますから、皆さんもぜひ送ってみませんか。

文中のHP
経済産業省 電磁界対策ワーキンググループのページ
最終報告書、パブリックコメント募集(2月22日締切)のページ
市民団体からの意見掲載のページ
総務省 生体電磁環境研究推進委員会のページ

上田昌文(NPO法人市民科学研究室 代表)2008.2

<<第1回:日本の対策はこれで大丈夫か?
      市民の不安に向き合っていこうとする対策を

<<第2回:「どれくらい電磁波を浴びているのか」を調べないままでよいのか?

上田昌文さん
NPO「市民科学研究室」代表。
科学技術に関連するさまざまな社会問題に注目して、多くの専門家やグループと連携しながら、市民が必要としている研究、調査をすすめている。
大阪出身。大学では生物学を専攻(分子遺伝学、発生生物学)。英語を使った仕事(教育や翻訳)も多い。






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