よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!

歯育・子どもの歯を育てる

6.
よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!【Part.2】

取材協力・監修:北原信也 先生(2007年7月掲載・2017年12月再編集)

乳歯が生えそろうと、赤ちゃんはたいていのものを自分で噛んで食べることができるようになります。小さいうちからなるべくいろいろな食感のものを与え、口の中でさまざまな刺激を味わうことで、赤ちゃんの感性はどんどん豊かになっていきます。硬いものを噛むために口をしっかり動かすことで脳にリズミカルな刺激を与え、脳内細胞が活性化。そのうえ、口の周りや顎の筋肉も発達し、きれいな発音で言葉をしゃべることができるようになります。

乳歯の健康は、将来生えてくる永久歯の状態にも影響します。きちんと歯磨きをして虫歯のリスクから歯を守ることが、健康な永久歯をつくることにもつながります。
シリーズ6回目の最終回では、歯の咬み合わせが骨格に及ぼす影響、よく噛んで食べることのメリットについて学びます。

【Part.1】乳歯が生えそろったら気をつけたいこと

【Part.2】歯並びがよいと、「食べる」「しゃべる」が上手に

【Part.3】噛むことの効用「ひみこのはがいーぜ」

【Part.4】「歯育」から「食育」を考える



全身の発育に影響する歯並び

おっぱいやほ乳瓶を吸うことは、子どもが安心感を覚える、食事では足りない栄養を補うといったメリットがあります。しかし、就寝時にほ乳瓶やおっぱいをくわえることが習慣化すると、歯の周りに常に養分があるため、それだけ虫歯の原因にもなりやすいと言えます。ある程度の年齢(1歳〜1歳半)になったら、自然と卒乳させてあげるのが子どもの歯のためです。おしゃぶりを与えるのも一つの手ですが、長時間与えると歯並びが悪くなるという説もあり、使い方には注意が必要です。おしゃぶりは、乳歯が生えそろう2歳を目処に卒業するとよいでしょう。また、赤ちゃんの指しゃぶりが気になる方もいるようですが、1歳くらいまでの間は生理的な反応として当然のこと。ただし、これが長く続くようだと、「食べる」「しゃべる」といった口腔機能の妨げになることもあります。指しゃぶりには不安やストレスなど、心理的な要因も考えられます。親子のスキンシップをとることで、上手にやめさせたいものです。

よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!
乳歯が生えそろうのはだいたい2歳ごろですから、それまでは歯並びや咬み合わせについてあまり神経質になることはありません。しかし、歯並びが悪いと十分に食べ物を咀嚼することができず、虫歯や歯周病の原因となったり、体の成長や脳の発育にも影響を与えます。乳歯で歯列矯正が必要なのは、例えば歯が欠けて永久歯がきちんと生えない、食べ方がおかしいため消化機能が劣る、発音や話し方がおかしい、顔の骨格が歪んでいるなどの場合。いずれも専門家の所見が必要なので、相談してみるとよいでしょう。

全身の発育に影響する歯並び

それより、気にすべきなのは「きちんと鼻呼吸できているかどうか」。日本人の半数以上、小学生だと8割以上が口呼吸だと言われています。口呼吸だと喉が乾燥し、十分に加湿されていない空気が病原菌とともに肺の中に入って全身に運ばれるので、病気や感染症にかかりやすい。また、鼻腔や鼻の粘膜に汚れがたまるため、体内で細菌やウィルスが繁殖しやすくなります。
一方鼻呼吸であれば鼻の粘膜で汚れた空気を除塵。吸い込んだ空気が鼻腔で加湿されて肺胞の粘膜になじみやすい状態になり、酸素がスムーズに血液に行き渡るので脳細胞が活性化、筋肉も生き生きと働き始めます。口呼吸が習慣になると口の周りの筋肉がゆるんで常に口が開いている状態となります。
さらに、鼻の機能が低下して嗅覚障害を起こす、口の粘膜が乾燥するため味覚障害になることも考えられます。母乳やミルクを飲むことで栄養を補給する赤ちゃんは、本質的には鼻呼吸です。離乳を機に口呼吸に移行することが多いので、口をしっかり閉じさせる習慣をつけるよう、目を配りましょう。口呼吸が直るまでの一定期間、おしゃぶりを使うことも有効です。


北原 信也(きたはら・のぶや)先生(ノブデンタルオフィス院長)
顔、唇、歯、歯肉それぞれを科学的かつ審美的に分析し、一般治療から審美修復治療、メインテナンスプログラムにおけるまで、口腔プロデューサーとして治療・予防に全力を尽くす。著書や講演会も多数。歯のケアを通して子どもの知的発達を促すことを目的とした歯科医と教育カウンセラーによる日本初の「歯育」プロジェクト、ノブキッズ・プロジェクトの代表でもある。


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歯育・子どもの歯を育てるデンタルケア

歯育・子どもの歯を育てる インデックス

1.赤ちゃんのために知っておきたい
 マタニティの歯のケア

2.赤ちゃんの歯の健康は胎内からスタート

3.乳歯の生える時期と赤ちゃんの虫歯

4.0歳からの歯のケア

5.はじめての離乳食と歯の健康

6.よく噛んで、健康で頭のいい子に育てよう!

北原先生のワンポイント・アドバイス


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