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The Cambridge Birth Center<ボストン>

アメリカやヨーロッパでは、病院でのアメニティ(居住性)がとても大切にされていています。「世界の分娩室から」では、最新の設備と居住性を備え、注目を集めている分娩室を取材し紹介します。


ボストンのバースセンターThe Cambridge Birth Center

The Cambridge Birth Center


今回は、アメリカ東海岸、ボストンにあるバースセンターをご紹介します。

病院の敷地内にあるバースセンター

バースセンターというのは、日本の助産院にあたる施設で、助産婦が診療、運営をしている施設です。アメリカは日本に比べ、バースセンターの数はあまり多くないのですが、それでも都市部にはいくつかのバースセンターがあり、自然なお産を望むカップルたちに人気があります。

ボストンには、3つのバース・センターがあり、The Cambridge Birth Center もそのひとつ。この施設は、1997年12月にオープンしたばかりの新しい建物。ビクトリア調のおしゃれな一軒家です。
このバース・センターの一番の特徴は、なんといってもThe Cambridge Hospital の敷地の中に建てられているということ。The Cambridge Hospital は、ケンブリッジ周辺の医療を担っている大きな総合病院ですが、バースセンターはその病院の産婦人科部門が独立した形態になっています。


助産婦によるケア

病院の正面玄関の真ん前が、バースセンターのロケーション。通りに面した階段を上ると、赤いかわいらしいドアが迎えてくれます。中に入るとふつうの家庭におじゃましたような、アットホームな雰囲気。正面に受付があり、そのとなりにある居間が待ち合い室です。奥に外来が2部屋。助産婦たちが大忙しで、妊婦外来や、産後の母子ケアを行なっていました。

助産婦は11人。バースセンターには交替で勤務していますが、全員が向かいの病院の産婦人科部門にも勤務しています。日本の場合、助産院は助産師の個人経営がほとんどで、助産師の自宅を兼ねているところが多いのですが、アメリカのバースセンターの場合は、助産婦はパート勤務のため、夜間は出産があるときに担当の助産婦がやってくるというシステムになっています。

The Cambridge Hospital は、年間800人の出産が行なわれている周辺では大きな病院のひとつ。一方、こちらのバースセンターでは、年間およそ100例のお産が行なわれています。アメリカは全国どこでも病院出産が主流ですが、ボストンでは全分娩の2%ほどがバースセンターで出産をしているのだとか。これはアメリカの中では比較的、高い数字と言えるかもしれません。


アットホームな環境とドゥーラサービス

分娩室
受付の奥の階段を上がると、2階に分娩室が3部屋。分娩室といっても、まったくふつうの家庭の寝室といったところ。それぞれにダブルベッドが置かれ、バスルームを備えています。カーテンやブラインドは部屋ごとに趣向がこらされ、カリビアン、ビクトリア、ラベンダーと名前がつけられています。

水中出産ができるように大きなサイズのバスタブ
バスルームには、水中出産ができるように大きなサイズのバスタブが。ジャグジー付きのものもあります。このバースセンターでは全体の半数の人が水中でお産しているのだそう。アメリカでは、バースセンターや自宅などでの自然なお産の場合、水中出産はすでにあたりまえのチョイスの中に入っていて、かなり一般的になっているようです。


アメリカの病院では、出産後24時間以内に自宅に戻ることが一般的ですが、ここでは産後6時間から12時間で帰宅。ですから、お産がはじまって入院してから退院までを同じ部屋で過ごすことになります。 ここでのもうひとつの特徴に、ドゥーラサービスがあります。ドゥーラというのは、お産に付き添ったり、産後のケアをしてくれる人のこと。医療者ではありませんが、専門的なトレーニングを受けていて、独立して仕事をしています。カップルでの出産でも、お産のとき腰をさすってくれたり、母親をケアしてくれる人がいるのは心強いもの。このドゥーラは、出産する人たちが希望すれば、個人でお願いすることができるようになっています。産後、12時間で帰宅しなければならないので、その後、家に来てくれるお助けウーマンでもあります。

バースセンターでのお産とはいえ、中には医学的な処置が必要になるケースもあります。そうした場合には、すぐに病院へ移動します。病院へ搬送されるケースは全体の5%。目の前にバックアップ病院があるのですから、搬送はとてもスムーズですし、なにより安心です。そのときには助産婦がいっしょについて行き、そのままサポートしているのだとか。
出産料金は、ほとんどの保険でカバーすることができます。


いろいろな情報発信の場

1階の待ち合い室には、夫たちが待っていました。どうやら、外来の診察に付き添ってきたようです。 アフリカ系、カリブ系、ロシア系アメリカ人など、いろいろな人種がいり交じっています。スペイン語を話す人の受診が多いことから、待ち合い室にもスペイン語のパンフレットが置かれ、助産婦の中にもスペイン語を話す人が何人もいます。

待ち合い室のテーブルの上には、数多くのパンフレットがファイルされている資料集が置かれていました。ボストン市内で行なわれているマタニティ・クラスや、マタニティ・ヨーガクラスの案内、ドゥーラの連絡先などもファイルされています。そのほか「出産のときの写真を撮ります」という写真家の宣伝なども。 アメリカでは、マタニティ・クラスやマタニティ・エクササイズクラスなどは、施設外で行なわれていることが多いようです。出産準備のためのマタニティ・クラスも、バースセンターの中ではなく、地域のバース・エデュケーターによって行なわれています。妊娠中のカップルは、そのファイルで情報を得て、自分で必要なクラスに参加するのです。

バースセンター以外にも、地域のスーパーマーケットなどの掲示版などに、マタニティ関係のサポートグループやヨーガクラスの情報が貼ってありました。インターネットですべてが検索できるようになったとはいえ、アメリカのスーパーマーケットの掲示板情報は今も健在です。 2週間前にこのバースセンターで出産したというカップルが、赤ちゃんを連れて健診に来ていました。赤ちゃんは、チャイルドシート用の小さなコットの中ですやすや眠っています。
母親は「ここでのお産はとてもすばらしい体験でした。夫もいっしょに、水中で出産したの」と、とても元気。出産のときに手伝ってくれた助産婦と抱きあって、再開を喜んでいました。

he Cambridge Birth Center in Boston
10 Camelia Ave, Cambridge, MA 02139,USA  Tel  (617) 665-2229 
診療内容/産科
外来診察時間/平日
外来休診日/土日、祝祭日  
特徴/助産師による外来健診、LDRP室、フリースタイル出産、水中出産、夫・家族の立会い、ドゥーラによる付き添い
HP/ http://www.cambridgebirthcenter.org/
アクセス/ ケンブリッジ、The Cambridge Hospital の向かい側。Cambridge Street 、Harvard Square そば。地下鉄、Red LineのHarvard T 駅よりバス。

写真/文 きくちさかえ 2003.1掲載


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