マタニティと子育てに役立つ栄養学、シーフードベジタリアン

マタニティと育てに役立つ栄養学


6.海と大地のテーブル
妊婦さん、授乳期のお母さんに
“鉄分強化”


今、若い女性たちに「鉄欠乏性貧血」の方たちが多い、という話を聞きます。無理なダイエットや食事の偏りがその大きな原因でしょう。ただでさえ、女性の身体は毎月多くの血液を必要とするもの。成人男性が一日に必要な鉄分摂取量10mgに対し、女性はそれよりも多い12mg。これが妊娠、授乳期に入ると、自分と赤ちゃんの二人分の血液を作らなくてはならないのですから、さらに1.7倍の鉄分が必要となります。なるべくたくさんの鉄分を身体に貯蓄しなければなりません。


女性に不足しがちな鉄分。妊婦さんはさらに普段より1.7倍必要に。

低カロリー、脂肪燃焼成分も!

鉄分を吸収しやすくするお助け栄養素とは?

鉄分補給に便利な黒いかまぼこ


取材協力:鈴木たね子(すずき・たねこ)氏

農林水産省研究機関を経て、日本大学教授、国際学院埼玉短期大学教授。大日本水産会おさかな普及学術諮問会議座長、海洋開発審議会委員等を歴任。 現在は、国際学院埼玉短期大学客員教授、おさかなマイスター協会講師。「健康のための食生活」をテーマに、執筆、講演活動をしている。著書に『なぜ、魚は健康にいいと言われるのか?』(成山堂書)、『お魚を毎日食べて健康になる』(キクロス出版)など多数。



鉄分をとりましょう、というと、せっせとレバーを食べる絵が思い浮かびますね。しかし、妊婦さんがレバーを頻繁に食べるのは実は問題があるのです。確かに鉄分豊富なレバーですが、同時にビタミンAもとてもリッチ。このビタミンAが問題で、妊婦さんが過剰にとることで赤ちゃんが奇形になる確率が高くなると言われているのです。特に妊娠初期から3ヶ月頃は注意が必要です。
それに、レバー(肝臓)はそもそも体内の有害物質を処理する働きをもつ内臓……と考えると、妊婦の時期にせっせと食べるのは少し抵抗がありますね。つわりの辛い人だと、独特の匂いが気になり、食べづらいかもしれません。
貝では他の食べ物で鉄をとろう、ということになりますが、鉄は動物性、植物性、両方に含まれるものなので、選択肢はたくさんあります。動物性だったらアサリ、シジミ、カキなどの貝類やカツオやサンマ、サバなどの赤身の魚。植物性ならほうれん草や小松菜が鉄分豊富です。


 ではこのなかの一つを毎日せっせと食べればいいのかというと、そうではありません。なぜなら鉄分は「これ」という単品で効率良くとれる栄養分ではないからです。鉄の吸収は十二指腸で行われますが、その吸収率はわずかに20〜30%です。体内への鉄の吸収率を高めるビタミンCやビタミンB12などの栄養成分を同時にとることで、始めて効率よく吸収されていきます。単品の食品だけを毎日食べ続けても効率が悪いということです。

「何種類もたくさん食べなくてはいけないの?」とか「組み合わせが大変そう」と不安になってきた人もいるかもしれません。でも心配御無用。食べ物とはうまくできているもので、理想的な栄養成分の組み合わせがひと品、ふた品の食べ物のなかにしっかりセットされているのですから。むずかしいことは何もありません。

例えば「アサリと小松菜の味噌汁」。お互いに鉄分豊富なうえ、小松菜はビタミンC、アサリはビタミンB12と、吸収を助ける栄養分も持ち合わせている理想的なカップル。これひと椀でしっかり鉄分がとれます。貝はシジミでもOK。鉄分補給のためには少し面倒ですが、貝の身は残さず頂きましょう。小さな身のひとつひとつが、鉄分のサプリメントですから。


そして、もっと手軽で栄養的にも理想的なのが「黒いすり身プロダクト」。つみれや筋、じゃこ天など、水にさらしていないためにビタミン類がしっかり残っているかまぼこです。鉄分、亜鉛やビタミンB12を含んでいるうえ、タンパク質やカルシウムも豊富という、何ともありがたい食べ物。これにビタミンCを組み合わせれば妊産婦時期の栄養補給に最適。つみれと小松菜のお味噌汁でもいいし、じゃがいもと小松菜とじゃこ天炒めもおすすめ。筋とじゃがいもの煮物も旨味たっぷりの一鉢になります。
つみれ
「つみれ」
写真提供:鈴廣かまぼこ

調理のコツとしては、ビタミンを熱で壊さないこと。鉄分は熱で壊れませんが、ビタミン類は熱で壊れたり、水に溶け出したりします。小松菜は調理の最後のほうに加えて熱を入れ過ぎないように、じゃがいもは長時間水にさらさないようにしましょう。
働く妊婦さん、授乳中のお母さんたちにおすすめな手間ひまいらない「黒かまぼこの鉄分強化お味噌汁」。ぜひお試しを。

(談/鈴木たね子 構成・文/babycom)



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