マタニティと子育てに役立つ栄養学、シーフードベジタリアン

マタニティと育てに役立つ栄養学


7.海と大地のテーブル
シーフードで離乳食


赤ちゃんが母乳やミルク以外にはじめて口にする食べ物はどんなものがいいのでしょう? 離乳食の時期になった赤ちゃんがいるお母さんなら、みんな頭を悩ませていることと思います。
では、離乳食は何のために必要なのか? まずはそのことを知っておきたいと思います。そうすればおのずと何が必要なのかが見えてくることでしょう。
シリーズ7回目は、離乳食にお魚を上手にとり入れるコツをお話します。


鉄分、DHAたっぷりのシーフード離乳食のすすめ

シーフード離乳食の第一歩

シーフード離乳食の作り方と要注意点

お母さんの笑顔も赤ちゃんのごちそうです


取材協力:鈴木たね子(すずき・たねこ)氏

農林水産省研究機関を経て、日本大学教授、国際学院埼玉短期大学教授。大日本水産会おさかな普及学術諮問会議座長、海洋開発審議会委員等を歴任。 現在は、国際学院埼玉短期大学客員教授、おさかなマイスター協会講師。「健康のための食生活」をテーマに、執筆、講演活動をしている。著書に『なぜ、魚は健康にいいと言われるのか?』(成山堂書)、『お魚を毎日食べて健康になる』(キクロス出版)など多数。



5、6ヶ月を迎えた赤ちゃんは、体重も身長も急激に増え始めるころ。骨や筋肉の材料となるタンパク質がたくさん必要となります。また、赤ちゃんはお母さんのおなかのなかから、たくさんの鉄分をおみやげにもらって生まれてきますが、生まれて半年も経つと、その鉄も品切れに。新たに摂取することが必要となるのです。しかし、残念ながら母乳だけではタンパク質も鉄分も不足してしまいがちなんですね。そのため、離乳食からこの二つの栄養素を補給することが欠かせなくなるというわけです。
 つまり、離乳食はたんぱく質と鉄分を補給するという意味が大きいのです。しかも、未熟な赤ちゃんの消化器でも十分に栄養が吸収できる消化のよいものがいい。その条件にすべてあてはまるのが魚です。良質なタンパク質、鉄分も豊富で消化よし。しかも、赤ちゃんの脳の発達に欠かせないDHAもたっぷり。理想的な離乳食の食材というわけです。

では、具体的に赤ちゃんの成長時期によって、どのように使いこなせばいいのかというお話を。


まずは離乳食の第一歩となる月齢5、6か月頃の初期。離乳食の回数は一日のうち1回が目安です。この頃に使える魚はたら、さわら、たいなどの白身魚やサケ。これらをだし汁や野菜スープに加えてよく火を通し、すりつぶしてドロドロ状にします。骨が心配なら、裏ごしをすれば安心でしょう。

歯ブラシ
7、8か月頃の中期になったらこれを、様子をみながら舌でつぶせるくらいの固さにします。毎回魚をゆでてすりつぶすのは大変!という人には、はんぺんがおすすめ。赤ちゃんの一口大に切ってだし汁で煮るだけでおいしい離乳食になります。この場合、1.5%くらいの塩分が含まれるので調味料は使わないようにしましょう。また、表示をよくみて添加物の発泡剤ではなく「やまいも」「やまいもでんぷん」とあるものを選ぶといいですね。



初期から中期にかけての注意点としては、サバ、サンマ、イワシなどの赤身の魚は極力避けてほしいということ。というのも、これらの魚でまれに、じんましんのような症状を起こすことがあるからです。赤身の魚には「ヒスチジン」という成分が含まれていますが、魚の鮮度が悪くなるとこのヒスチジンを「ヒスタミン」という物質に変えてしまう菌がたくさん現れます。このヒスタミンがじんましん症状の原因に。解毒能力の低い赤ちゃんは大事をとって食べない方がいいでしょう。

後期(9〜11か月頃)、完了期(12〜18か月頃)に入れば、赤ちゃんの消化器も発達してくるので赤身の魚もそろそろOK。イワシ、アジ、ブリなどの赤身の魚にはDHAが豊富に含まれるので、ぜひメニューに加えてあげてください。骨が心配でしたらすりばちで練って団子にすれば、カルシウムたっぷりの離乳食に。ホイル焼きなんかも手早くできて栄養たっぷりのおすすめメニューです。皮と骨を取り除いた切り身に少量のだし汁としょうゆをふりかけ、下ゆでした野菜といっしょにホイルに包んでオーブンで5〜10分加熱します。
また、市販されているつみれやだて巻きならそのまま刻んでだし汁やスープで煮込むだけでOK。手間ひまなしの手軽さが魅力です。ツナ缶も原料はビンチョウマグロですからおすすめ。その場合、オイル漬よりスープ煮タイプがいいでしょう。また、最初から小さくほぐれているフレークタイプなら、手間がかからず便利。こちらもスープや野菜の煮物などに合わせて使えます。


こんなふうに、いろいろと手間を省く工夫はたくさんあります。とはいえ、大人の食事に加えて一日2、3回の離乳食を毎日作り続けるのは大変なこと。食べやすくて栄養たっぷりにしなければ!とがんばりすぎてヘトヘトに疲れてしまっているお母さんは多いように思えます。それがストレスになるのは、母子双方にとっていいことではないでしょう。栄養なら一日単位で考え、ちょっと野菜が足りなかったかなと思ったら次の食事で補う、くらいの考えでいいと思います。毎回の栄養を完璧に整えなくても、一日単位、2、3日単位でバランスをとればいいのです。
また、食べてくれない赤ちゃんに悩むお母さんも多いと思いますが、それなら母乳やミルクを多めに足していいでしょう。母乳やミルクの栄養バランスは完璧ですから、もっと頼っていいんです。一生ミルクを飲む人はいない、と考えて気長に様子を見てほしいと思います。

いずれにしてもあまり離乳食作りにストレスを感じないようにしてほしいと思います。お母さんがリラックスして食事を一緒にとる、というのもこの時期の大切なことですから。離乳食は赤ちゃんのこれからの食生活の基盤づくりでもあります。この時期に覚えた味は大人になっても忘れないとはよく言われますが、食事の雰囲気もそうでしょう。食事は楽しいもの、家族で笑顔で食卓を囲むもの。そんな食生活の根幹を赤ちゃんに最初に印象づけてあげたいものですね。

(談/鈴木たね子 構成・文/babycom)



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